テラーノベル
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異能フェネックの世話を阿部に任せ、料理なども行える宮舘が阿部の傍にいる事になった。異能フェネックの警戒心を少しでも和らげられるようにふーちゃんを事務所に置いて、他の者は異能猫についての調査を始めた。
動物に詳しい佐久間と、岩本のニコイチ。幻覚に対応できるようにした眼鏡を持つラウールと、渡辺と向井。木の記憶を辿れる目黒と、深澤。
この組み合わせで調査に向かった。
調べるべきは、幻覚の見える池と、何かの姿が映りこむ鏡。そして、猫自体の捜索。猫は佐久間と岩本が担当。ラウールと渡辺と向井が池、目黒と深澤が昨日は回れなかった鏡の所に赴く。
ラウール達が訪れたのは、鏡池公園。四方を木々で囲まれて他から隔絶された大き目の公園で、並木道と奥まった場所にある池が特徴的な公園だ。
鏡池と呼ばれるその池の周辺には柳の木があり、池に枝を垂らしている。木漏れ日が水面に揺れ、風がやむと空と木々が境界なく映り込む様は鏡のようだという事から名付けられている。
中央に木橋があり、晴天の今、幻想的な雰囲気をまとっていた。
🤍「ここで幻覚が見えるんだよね?」
💙「そ。誰も何が見えたかは憶えてないけど、池を覗いたら何かが見えたってことだけは確からしい」
🤍「とりあえず、異能の痕跡がないか見てみるね」
ルーペを取り出して、池の周辺を見てみる。
🧡「池覗いたら、自分じゃない何かが映るって、怖いやん」
🤍「でも、幽霊騒動じゃないんだよね。そっちで噂が広まってもおかしくないのに」
💙「確かに。幻覚より幽霊の方が先に出てきそうなのにな」
🧡「せやね。俺も見たら、おばけ!って叫びそうやもん」
💙「つまり?」
🤍「幽霊じゃない根拠があるか、そう見えない何かだったってこと」
歩きながら話しているが、ラウールの視線はルーペから外れない。
異能猫の仕業なら、痕跡はとても小さいかもしれないから集中しながらだけれど。
そうしてぐるりと池を一周し、中央の木橋の上も通ってみたが、ラウールが立ち止まったのは全て見終えた頃。
🤍「うん、周辺には何もないね」
🧡「じゃあ、池ん中?」
🤍「そっちは……お。あるある。結構な数が残ってるね。痕跡の濃さからすると、頻繁に異能を使ってそう。うーん。頻発してるのは、ここ10日くらいかな」
🧡「そんなんも分かるんやね」
🤍「段々、痕跡は薄くなってくから、僕でも二週間以上前のものは分かんないよ」
💙「そういうもんなのか」
🤍「だって、考えてもみてよ。ずーっと痕跡が残ってたら、そこら中、異能の痕跡だらけになっちゃうよ?」
🧡「確かに」
🤍「もう少し詳しく調べてみるね。何か分かるといいんだけど……」
そう言って、ラウールは眼鏡をかけた。昨日、改造したと言っていた眼鏡だろう。それをかけて、池の中を覗き込んだ。
目黒と深澤は、昨日、深澤に召集されて途中になっていた鏡を回っている。その他の目撃情報は、コンビニの自動扉、バス停のガラス、バイクのバックミラー、エレベーターの鏡、ステンレス製のボトル、トレーニングジムの鏡。
それらを調べてみたけれど特に変わったところはなく、目撃証言を集めてもイマイチこれといったものはない。
木や観葉植物のある場所では目黒が記憶を辿るが、やはり映り込むものは素早くて特定は難しかった。
最後のトレーニングジムの鏡を調べ終え、今は駅前広場のベンチに座っている。
💜「例の猫、いた?」
🖤「いました。どの場所でも見かけてます。コンビニ前とかバス停は分かるけど、建物内で見かけるのはやっぱり変ですよね」
💜「エレベーターに乗る猫なんていなくない?」
🖤「ですね」
💜「じゃあ、やっぱりその猫が幻覚を見せてる?」
🖤「だとするなら、すぐに捕獲しないと被害が増えるばかりですね。まあ、大した被害ではないんですけど」
💜「そこだよね。被害がなくても放っておけないのが厄介だし、もしそれが運転中の車のガラスとかに映ったら、それこそ大事故に繋がりかねない」
🖤「佐久間くん達の方で進展があればいいんですけど」
ニコイチは、鏡池公園の周辺から捜索を始める。
🩷「すいませーん! 顔が黒い仮面をしたような模様の三毛猫、見ませんでしたー?」
誰彼構わず大きな声で話しかけて、特徴を伝えて見た人を探す。とても効率が悪いような気がするけれど、大勢に話が聞けるのも確かだ。
そうして何十件目かで。
「見ましたよ」
そう言うのは、散歩中の老夫婦だ。
🩷「ホントですか!? いつ、どこで!?」
💛「佐久間、落ち着けって。いつ頃ですか?」
「一昨日くらいに、そこのスーパーの前にいましたよ。たまに見かけるんですけど、いつも見るのはお店の前ですかね」
💛「今日は見てないですか?」
「そうねえ。でも、この辺りの猫だと思いますよ」
🩷「ありがとうございます!」
勢いよく頭を下げて別れ、他の人にも声をかけていく。
暗くなった頃、皆が特務調査局へと戻って来ることになった。
❤️「みんなお疲れ様」
🖤「あれ? 阿部ちゃんは?」
❤️「今日も寝てるよ」
💙「えっ、今日も?」
思わず、声が漏れた。あんなに休めと言っても休まない阿部が、今日も日中から寝ているなんて。
💛「何時から?」
❤️「16時頃かな。そろそろ晩御飯の時間だから起こしたかったんだけど、フェネックがそれは許してくれなくて、そのまま」
🤍「そんな、お昼寝するほど疲れるようなことしてたの?」
❤️「いや? ここでのんびりしてたね。昨日寝ちゃったから、午前中にシャワーは浴びてたよ。フェネックのこと宥めてドアの前で待たせてたから。でもあとは、パソコンで作業したり資料を纏めたり、そのくらいかな」
💜「照、阿部ちゃんって今日、何時に起きた?」
💛「……8時くらい……」
🤍「昨日、阿部ちゃん15時頃からお昼寝してたんだけど……」
💙「さすがにおかしくないか? 17時間ぶっ通しで寝て、次の日も昼寝するって、いくらなんでも寝すぎだろ。あのキツネ、阿部ちゃんに何かしてるんじゃないだろうな」
💜「いやでも、あの子の異能は未来予知だよ? 星晶保護機構で調べてるから、それは間違いない。未来予知で人に影響があるなんて話、聞いたことないよ」
❤️「とりあえず、昨日のこともあるからお昼は遅めにしたんだけど、こう立て続けに夕食抜きだと心配だよね」
唐突に目黒と渡辺が休憩室に向かい、ドアを開けた瞬間に異能フェネックが威嚇の体勢になった。岩本の時と同じように歯をむき出しにしている。
💙「お前。阿部ちゃんに変なことしてないよな?」
「グルルルル」
低い唸り声が聞こえてくる。
💜「なべ。その子は阿部ちゃんのこと守ろうとして」
💙「けど、証拠はないだろ。こいつが喋ったわけじゃない」
💜「そうだけどさ」
🖤「阿部ちゃんは俺たちにとって大切な仲間なんだ。阿部ちゃんに何かしてるなら、やめてほしい」
訴えかけても、異能フェネックは威嚇状態から変わらず唸っている。
💙「こいつっ」
🖤「しょっぴー待って」
殴りかかろうとした渡辺を制止する目黒。
💙「なんだよ」
🖤「ふーちゃんも寝てる。阿部ちゃんの害になるような事してたら、ふーちゃんは気付くんじゃない?」
💜「ふーちゃんは俺の異能そのものだからね。多分、気付くと思うよ。だから、害はないんだと思う」
異能フェネックを阿部と挟むように寝ているふーちゃんは、ボーダーコリーの姿のままお腹を出している。それはとてもリラックスをしている状態で、完全に信用しきっている証拠でもある。
💙「ふっか、お前、それ先にっ」
💜「何も聞かずに先走ったの、なべじゃん」
黙りこくってしまった渡辺を後目に、目黒は優しく話しかける。
🖤「あの。阿部ちゃん、ご飯食べないといけないから、起こしていい? 元々小食だから、食べないと元気出ないの。その間だけでいいから……どう?」
唸りはしないけれど、威嚇はしたまま。
これは、説得は難しそうだ。深澤に名を呼ばれ、首を横に振られた事で目黒は頷き、そのまま休憩室から出て行く。
💜「めめの話はちゃんと聞いてるみたいだったけど、あそこまで頑なに拒むのは理由があるんだと思う。舘さん、明日の阿部ちゃんの献立、任せていい? 栄養を多めに摂らせたい」
❤️「二食分抜いてるからね、わかった」
💛「じゃあ、気を取り直して報告。一旦、まとめるぞ」
岩本がパンッと手を叩いて仕切り直し、各々の調査結果を聞いていく。
鏡池公園では、池の周辺に痕跡はなく、異能が使われたのは池の中でのみ。それも、深いところではなく水面で使用されていた。
次に猫の捜索だが、鏡池公園の周辺での目撃情報が多数あって探すも見つからなかった。けれど生息地は間違いなくあの辺りだという。
そして、鏡に映るものの正体は不明ながら、目撃された場所全てにあの異能猫の姿を見つけた。
🩷「つまり、どっちも正体はあの猫ってこと?」
💜「そういうことになるね」
💛「明日も引き続き、猫の捜索。それと、舘さんは阿部についててほしい。料理とかお菓子とか、そういうのは舘さんじゃないと分かんないから」
❤️「了解」
💜「じゃあ、今日の夜は……」
🖤「俺、ついてます」
小さく手を挙げて立候補した目黒に、深澤は頷く。
💜「わかった。じゃあ、めめ、頼むね」
🖤「はい」
💜「阿部ちゃんのことも心配だけど、日中は大丈夫そうだし舘さんに任せて、俺らはやるべきことに集中しよう」
🧡「なんか、ごめんな。俺が最初に、あのフェネック逃がしちゃったせいで」
💜「そう落ち込むなって。こんなことになるなんて思わなかったわけだし。それに阿部ちゃん、今の内に休めるだけ休ませとこ。異能も使えない状況だし、こんなに休んでくれるの今しかないよ、きっと」
🖤「休みの日もずっと勉強って言ってましたしね」
🩷「阿部ちゃんらしいね」
💜「異能猫の方、さっさと終わらせてフェネックを星晶保護機構に返したら、また休んでくれなくなるんだからさ。その時間だと思おう」
🩷「そうだね! あ、蓮。なんか必要なものとかあったら教えて? 俺、取りに行くから」
🖤「ありがとう、佐久間くん」
🩷「涼太もね。明日もずっと事務所で付きっきりになるだろうからさ」
❤️「その時はお願いするね」
💛「めめ。阿部、休憩室で寝ちゃっててベッド使えないから、寝袋使う? 俺も昨日、横に敷いて寝たんだけど」
🖤「ソファで寝るから大丈夫」
💛「わかった」
みんなが事務所から出て行くのを見送って、鍵をかけると休憩室に入る。
ピクリと耳を動かした異能フェネックが顔を上げたのを見て、目黒は優しく微笑んで首を横に振った。
🖤「警戒しなくていいよ、何もしないから。俺は阿部ちゃんのことが大好きで、阿部ちゃんのことがとっても大事だから。むしろ、君と一緒かな」
目黒を見つめたまま、異能フェネックは顔をベッドに乗せる。
星空のような目からは、警戒心は見えなかった。
🖤「君は何で阿部ちゃんの傍にいるの? 何から守ろうとしてくれてるの?」
異能フェネックの目線は外れない。
🖤「俺も阿部ちゃんを守りたいんだ。ずっと、優しさをくれた人だから。俺がまだ、特務調査局に来る前、阿部ちゃんは異能事件の調査で俺のいる高校に来てて、何となく気になったんだ。その時に、俺の異能が役に立つって分かって、一緒に行動して、とても良くしてくれたから……その後も交流が続いて、高校の授業も大学を卒業するのも阿部ちゃんに助けてもらったし、恩返しがしたい」
まるで目黒の話をじっと聞いているかのようで、目黒は美麗な笑みを浮かべる。
🖤「だから、俺も一緒に守らせて。一緒に、阿部ちゃんを守ろう」
不意に体を起こした異能フェネックは、目黒の方に近づいて来た。何となく手を差し出してみると、異能フェネックが頭を摺り寄せてくれる。
🖤「認めてもらえた、のかな」
頭を撫でるとすぐに阿部の方に戻って寝転がったので、目黒はおやすみ、と声をかけてから休憩室を後にした。
💚「そんな感じだったんだ。ずっと寝てたからなぁ」
朝、起きてきた阿部は異能フェネックを抱き、肩にオコジョふーちゃんを乗せて休憩室から出てきた。時刻は7時50分頃で、すでに事務所に来ていた宮館と、宮舘に起こされた目黒がキッチンの方にいたので向かう。
朝ごはんを用意している宮舘を眺めながらキッチンカウンターの椅子に座り、目黒から昨日の出来事を聞いていたのだ。
❤️「寝てる間、変わったこととかなかった? 体調は?」
💚「別になかったよ。すこぶる調子いい」
🖤「阿部ちゃんが元気なら、大丈夫か」
❤️「でも、食事抜いてるから、出したものはちゃんと食べてね。はい、どうぞ」
出てきたプレートには、はちみつとメープルシロップのかかったフレンチトースト。添えられているのは、アボカドとトマトとナッツが散らしてあるサラダとウィンナーソーセージ。それに、キウイやベリーの乗ったヨーグルト。
💚「わぁ! 朝から凄いね!」
❤️「量は食べれないから、高カロリーにしてあるよ。栄養面でも大丈夫だと思う。目黒のは、阿部のより低カロリーだから安心して」
🖤「あざっす」
みんなでいただきますをしてから、食べ始めた。
💚「……はぁ……うまっ」
🖤「お。今日は噛み締めてるね」
💚「うん。なんか、ホッとする」
❤️「それは良かった。かぼちゃのスープも飲めそう?」
💚「ほしい!」
❤️「じゃあ、少な目にするね。目黒は?」
🖤「俺も飲みます」
❤️「おっけ」
ゆっくりと朝食を食べ終えた頃、皆が事務所に集まった。
今日は異能猫の捕獲をする為に動くことになったので、宮舘に阿部の昼食やお菓子を事前に用意しておいてもらい、捕獲にあまり向いていない岩本が今日は阿部と共に事務所に残る事になった。
手分けして捜索を続ける中で、ラウールと向井は鏡池公園で見かけたという目撃情報を得た事で公園内に来ている。
🧡「見た? いつ?」
「さっきだよ。池じゃなくて、丘の方を走ってたよ」
🤍「ありがと! 行ってみるね!」
さっき見た、という事は、今行けばまだ見つけられるかもしれない。走って丘の方に向かうと、遊歩道の先に小高い丘が見えた。この公園の中で丘はここだけだから、辺りを見回す。
🧡「どこにおる? 見当たらへんけど」
眼鏡をかけたラウールも目を凝らす。
すると。
🤍「いた! 康二くん! あそこ、茂みの陰!」
ラウールが指差した先には、植え込みの陰に隠れるような三毛猫の姿。顔の上半分が黒い仮面のようになっているから、間違いないだろう。
すぐに猫の方に向かって行って―――けれど遠くから破裂音が聴こえたラウールは。
🤍「康二くん、危ない!」
前を走っていた向井にダイブするように草むらに倒れ込んだ。
🧡「いたた……ちょお、ラウ、なに?!」
🤍「なんか今、音と一緒に何かが飛んできたのが見えて……これだ」
周囲を見回すと、ラウールの眼鏡のおかげで草むらの中にそれがあるのが分かった。
指でつまんだそれは、黒い弾丸だ。
🧡「それ、鉄砲の弾?」
🤍「そうだね。でも、普通の弾じゃない。これ、鎮静弾だよ。異能獣ハンターがよく使う……マズい、ハンターが近くにいるんだ! あの子をすぐ保護しなきゃ!」
耳につけているイヤホン型の通信機に触れるラウール。
🤍「みんな、鏡池公園にすぐ来て! 異能獣ハンターがいる! 狙いは多分、あの異能猫だよ!」
伝えるべき事だけを話し、ラウールも向井もすぐに異能猫の方に走って行く。
パアンッと銃声が響く。音に驚いたように走り出す異能猫。
🤍「あ、待って!」
続けざまに何度も撃たれ、ラウールと向井は木の陰に隠れてやり過ごす。
🤍「これじゃ近づけない……」
🧡「あっちって、池の方やんな。誰か、鏡池の方行ける?! 異能猫、そっち向かってん!」
❤️『宮館、目黒で向かうよ』
🩷『俺と翔太でラウール達の方に応援に行くね!』
💜『ふーちゃんと俺で上空から探すわ』
💚『鏡池公園に規制をかけてもらったから、他の人は避難してるよ。思い切りやって大丈夫』
阿部の声に、全員が口元に笑みを浮かべた。
手を回すのが早くて助かる。
すぐに佐久間と渡辺がラウール達のいる丘に現れ、銃声が聞こえるも二人ともバク転をしてその場から回避した。
🩷「どっから撃ってんだ?」
💙「俺の花で探る。誰も触んなよ」
ふわりと、渡辺の周囲に花びらが出現し、それは丘のある広場全体に広がっていく。
🩷「んじゃ、俺、囮になってくるねー!」
楽し気に言いながら走り出した佐久間。アクロバットをしながら器用に花びらを避けて走っていて、何発か銃声が鳴り響いた。
渡辺がピクリと反応する。
💙「軌道が丸見えなんだよ。康二、あの木の上だ」
🧡「りょーかい!」
渡辺が指差した木の方に手を向けると、情けない悲鳴と何かが落ちていく音が聞こえてきた。これで大丈夫だろうと、何かが落ちた木の方に向かって行くと、地面に突っ伏している男が見えた。
使い古されたタクティカルベストに、履き古されたカーゴパンツ。どう見ても下級ハンターだろう。
🩷「どうもー」
「くっそ! 邪魔しやがって!」
🤍「そりゃするでしょー。僕らに撃って来たってことは、ケンカも売ったってことだからね?」
🧡「お、ラウ上手い!」
🤍「へへー」
その頃、池に来た目黒と宮館は、その姿を探して見回している。
丘の方から来るならこの方向だと見ていると、凄いスピードで走って来る異能猫の姿を見つけた。
🖤「動きを止めます」
目黒の足元から地面を這うように蔓が伸びていき、異能猫に向かっていった。その足を絡めとろうとした瞬間、異能猫が大きくジャンプする。慌てて軌道を変えたが、異能猫の方が早く、湖へと降りようとしていた。
が。
❤️「甘いよ」
鏡池が一瞬にして凍り付き、異能猫は氷の上に降りることになった。
ゴツゴツとした表面の氷は乱反射しており、滑る氷で歩きにくそうな異能猫の体に蔓を巻き付けると、ゆっくりとこちらに連れて来る。
❤️「手荒なことしてごめん。でも俺たち、危害を加えるつもりはないんだよ」
空中にぷらーんと吊るされた状態の異能猫は、爪を出した前足をブンブンと振って逃げようとしている。
🖤「うーん。これ、どうしたらいいんだろう」
❤️「とにかく、異能獣保全研究センターに連絡じゃない? 俺らがどうこうするより、専門のところでどうにかしてもらった方がいいよ」
🖤「じゃあ、来るまでこのまま、ですかね」
❤️「そうなるね。連絡するよ」
🖤「お願いします」
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