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『佐野さん!◯◯CMのオファーきましたよ!』
『佐野さん◯◯役で映画のオファーきてます!』
『佐野さん、◯◯の単独表紙のオファーきてますけど、引き受けますか?』
佐野さん!
佐野さん、、
佐野s…
昔はあんなにもマネに呼ばれる度に心が踊っていたのに、今はどうだろうか。
別に仕事が嫌いな訳では無いし、引き受けたからには俺も本気でやる。
けど仕事を引き受けたぶん、メンバーとの時間が減るのは当たり前で、一緒に住んでいる仁人ですらなかなか会えない。
『佐野さーん、◯◯の映画のオファーきましたよ!海外での撮影ですって!受けます?』
「…もちろん、受けるにきまってるでしょ!」
この言葉とマネに向けた笑顔には、どれほどの本心がこもっているのだろう。
「ただいまー」
「お、勇斗おかえり」
そう言って笑顔で迎え入れる仁人の姿に、手を広げて向かおうとした、が…止めた。
「映画出演決まったわ」
「えー!?すごいじゃん!おめでとう」
その後の言葉を詰まらせた。
こんなにも喜んでくれているのに、いつものように全力でいける気がしなかった。
ただ"離れたくない"という勝手な私情が俺の足を固定している。
そんな俺を見た仁人が何かを察したのか、優しく抱きしめた。
「勇斗どうした?いつもなら喜んで俺に伝えてくれるのに…辛い?」
「いや、別にそういうわけじゃない…ただ、、」
「…ただ?」
「次の映画、海外なんだよね。約3ヶ月間向こうで暮らすらしくて…」
「海外の映画なの?尚更すごいじゃん!」
「そうなんだけど…」
「ん?」
「…寂しい、、最近ろくにメンバー全員と会えてねぇし、仁人とも一緒に住んでるはずなのに..」
「笑笑笑そうだよね。うちの佐野さん、今超絶人気だからなかなか会えないよね」
1度俺から離れ、手を握りながら見つめて言った。
「でも、引き受けたからには全力で挑むのが佐野勇斗なんじゃないの?」
「…」
「寂しいならいつでも連絡すればいいし、寝れないなら電話かければいい。俺も全力でサポートするから。だからさ、俺にかっこいい"佐野勇斗"見せて?」
「…ん。」
仁人ならそういうと思った。
なんならこの言葉を期待していたのかもしれない。
変に"断る?"なんて同情の言葉をかけられるより、"俺の為に頑張れ"のように言われた方が頑張る理由が出来ていい。
その目標が仁人ならなおさら。
仁人が望むなら何でも出来るような気がする
日が巡るのは早く、とうとう出発日になった。
「じゃ、そろそろ行くわ」
「映画、楽しみにしてる」
「おう。空港まで来てくれてありがと。んじゃ、行ってくるわ」
そう言って気持ちを切り替え、便へ向かおうとした時、仁人が俺を引き止めた。
「あ、勇斗!1回こっちおいで」
「ん?」
何かと思って1度仁人の方へ戻ると、そのまま俺を抱きしめた。
「行く前に、少しでもエネルギーチャージ。前にも言ったけど、辛いなら電話でもいいから、すぐ連絡しろよ?」
「分かってるよ。てか、人前でやるの、いつもは嫌がんのにいいんだ?笑」
「あんたのためだよ」
「ごめんごめん笑ありがとう。ちゃんとチャージされました。」
「笑そう。じゃ、勇斗…行ってらっしゃい」
「行ってきます。」
to be continued…