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第9話:「写真流出!?文化祭の“2人の瞬間”が話題に!?」
文化祭、翌日。
朝イチで私を襲ったのは、クラスメイトのテンションだった。
「いちかあああああ!!!」
「うおっ!なになになに!?!?私なんかやらかした!?」
「やらかしてはないけど……やられてはいた」
「なんやそのホラー映画のキャッチコピーみたいな言い方」
そして、指差された掲示板を見た瞬間、私の脳みそがバグった。
でっかく貼られているのは——
『文化祭ベストショット:第1位!』
〜体育館裏の青春〜
……写真に写ってるのは、
私とツム。
あのとき、ツムが「俺のもんでええ?」ってふざけながら笑った瞬間。
私、照れて笑ってる。
しかも、ツムの後ろにキラキラした花が飾られてて、なんか雰囲気までラブい。
「いやいやいや!!!誰が貼った!!誰がこんなん貼った!!」
「撮影者、角名倫太郎!!」
「安定の角名ァァァ!!!!」
その瞬間、LINEがピコンピコン鳴りまくる。
え、付き合ってんの?
え、え、え!?ガチ???
絵もうまくてイケメン彼氏ってなにそれ異次元?
あれ背景の花の位置も完璧だった。プロの仕事やん。
「なんか……すごい勢いで広まってない!?」
「お前、いま校内の“美術界のアイドル”やぞ」
「知らん肩書きできてるぅ!!」
そして昼休み、美術室のドアがバタン!と開いて。
「いっちゃーーーん!!俺やぁ!!主犯の彼氏候補やぁ!!」
「“主犯”って自覚あるなら黙ってろォ!!」
ツムは全然気にしてない様子で、ドヤ顔でポスターの前に立った。
「……これで正式に“いちかちゃんの彼氏候補”名乗ってもええな?」
「お前もう自分で“彼氏候補”って名乗ってんのやばいからな?」
「じゃあ……“彼氏になりたい人ランキング第1位”にする?」
「自作ランキングやめろ」
でも、冗談っぽく言ってるくせに、
ツムの目はふとまっすぐで、私のこと、ちゃんと見てて。
……なんか、こういうの、ずるい。
「……あの写真、変な顔してなくてよかったわ」
「変な顔でも、俺は好きやけどな?」
「いや照れることサラッと言うな!しかも真顔やんか!!」
とりあえず、今日は全校にバレたってことで——
もう、隠すのも何もかもムリやなって思った。
ちょっとだけ、私も、ちゃんと答えって思った。
コメント
3件
良かったないっちゃん ( ᐛ )