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【翻訳の指輪Lv1】を発見してからさらに数日。
アイテムの鑑定作業に加えて、翻訳作業も加わり、常に魔力切れです。
・・・ダンジョンでの戦闘よりキツイ、死にそうだ。
ダンジョンの考察を行ううえで、必須ともいえる効果【翻訳】
この指輪の発見が遅れた理由から説明しよう。
*******
基本的に武器やアクセサリーなどのアイテムは「敵を倒したときのドロップ」もしくは「宝箱やダンジョン内の宝物庫」などでゲットできる。
スケルトンダンジョンの場合は副葬品として棺の中に入っていたり、棺内の死者の指にそのまま嵌っていたりする。
一層目以外に宝箱は設置されていないが、その分2~5層目自体が宝部屋ともいえる。
副葬品として棺に入れられているのは「死者の生前の思い出の品」や、死後に困らないように親族が持たせたもの。
価値の無いアイテムの方が珍しいぐらいで、墓荒らし側としてはありがたいことこの上ない。
だが例外もある。
このダンジョン(地下墓地)を、「荷物置き場」あるいは「食料の貯蔵所」、「秘密の隠し場所」として使っていた不届き物がいたようなのだ。
確かに、一年を通して涼しく、湿気も少ないこの環境は保管場所にはもってこいだ。だが、だからと言って酒や加工品を死体と一緒に貯蔵するのはいかがなものか。
それ以外にも、誰かが隠したへそくりや、やばそうな研究資料が棺にカモフラージュして隠されていたりなど、バレないのをいいことにやりたい放題した痕跡があった。
そりゃあ死者も化けて出てくるわといった具合だ。
これらの「隠された品」は、質の安定した副葬品に比べてあまりにも玉石混交なため、インベントリでも隅の方に避けていた。
今回この【翻訳の指輪Lv1】が見つかったのはその中のひとつ。具体的には棺にカモフラージュされた「資料」の一部として見つかった。
どうやらこの【翻訳の指輪Lv1】は試作の一部だったようだ。
後に翻訳したこの隠された資料も興味深い内容だった。
ともかくこれで、かねてより気になっていた謎の紙片たちを解読できる!!
と喜んだのも束の間。恒例の「装備のレベル問題」によって振出しに戻りかけた。
装備のレベルによって効果に差があることをすっかり忘れていた。
使えないLv1の指輪と”地獄の鑑定作業”の再開に呆然としたものの、これは過去の偉人によって救われた。
同じ試作品の中からLv1~Lv4の【翻訳の指輪】が見つかったのだ。
棺にカモフラージュしてまで資料の保全を行った先人に感謝!!
では【翻訳の指輪】の効果を見ていこう!!
**********
まず活用を諦めた【翻訳の指輪Lv1】の効果と、「仮称:ダンジョン文字」がどのようなものか、軽く説明しよう。
Lv1の指輪の効果は単純。
「文字の種類の区別」と「文の区切り、語句のまとまりの見極め」だ。
・・・正直、この段階では“翻訳”というより“解読”に近い。名前負け感がすごい。
だが、指輪の効果によって、ダンジョン文字には少なくとも二種類あることが分かった。
英語における「大文字」と「小文字」。もしくは、日本語における「ひらがな」と「漢字」のような関係なのかもしれない。
文末や単語の区切りを見分けられるのは、解読の専門家なら喉から手が出るほど欲しい能力だろう。
残念ながら、私には使いこなせなかったが。
これに比べて、【翻訳の指輪Lv4】の効果は分かりやすかった。
効果は「一部の単語の翻訳」だ。
これのおかげでようやく内容の推測が出来るようになった。
これまでは時々ある落書きや挿絵、記号から書いてある内容を推測するしかなかった。
だが、一部の語句が分かるようになり、前後の単語・文字の意味、役割がある程度推測できるようになったのだ。
主に翻訳されたのは、一部の一般名詞と動詞。名詞は特に武器や魔法などが詳しく翻訳された。
加えて数字に当たる文字も分かるようになった。おそらく10進数だ。
まあ、スケルトンの指の骨を見れば、私たちと同じ本数だったので推測はできたが。
ただし、翻訳された単語は少なく偏りもある。未だに通しで読める文章はほとんどない。
加えて、人の『名前』や『地名』などの固有名詞は現段階では翻訳されなかった。非常に残念。
このため、書いてある内容の詳細。特に、彼ら独自の文化や文明については、未だに分からないことが多い。
だが、翻訳された語句周辺の大雑把な内容や、「単語」の出現頻度からの推測ぐらいならできる。
これらの翻訳結果と、これまでの考察を組み合わせることで、おぼろげながら次の点が見えてきた。
・このダンジョン、墓地に埋葬された人々について。
・彼らの住む世界とその環境について。
・彼らの使う道具と武器、その変遷について。
そして
・氏族間の対立・迫害について
コメント
1件
いやあ、翻訳作業って地味にめっちゃ魔力持ってかれますよね……! 戦闘よりキツイって言うのがもう、本当に大変そうで笑っちゃいました。でも「Lv1だと翻訳じゃなくて解読」ってところとか、段階的に効果が変わっていく指輪の設定がすごく丁寧で好きです。それにしても、死者と一緒に酒や加工品を保管してた不届き者がいたっていうのが、なかなか狂ってて笑える。このダンジョン、ただの墓地じゃなくて「荷物置き場」にされてた過去があるっていうのが、世界観の深みを感じさせてグッときました。次は氏族間の対立って話が出てきそうで楽しみです!