テラーノベル
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ソファ。
エリオットはクッションに沈んでいる。
その上からチャンスが覗き込んでいる。
距離は近い。
かなり近い。
さっきから続く軽いキス。
頬。
額。
こめかみ。
エリオットは最初ずっと笑っていた。
「くすぐったいって」
「やめろって」
でも。
ネクタイはまだ握っている。
くい。
また引く。
チャンスの顔が近づく。
チャンスが低く言う。
「まだやるのか」
エリオットは笑おうとする。
「そりゃ…」
でも。
チャンスがまた顔を寄せる。
ちゅ。
頬。
すぐ近く。
ちゅ。
今度は反対側。
エリオットが一瞬だけ止まる。
「……」
ネクタイを握っている指が、ほんの少し緩む。
チャンスはそれを見逃さない。
「エリオット」
低い声。
エリオットは目を逸らす。
「なに」
チャンスが言う。
「さっきまで余裕だったな」
エリオットは少しだけ笑う。
「余裕だけど?」
でも。
その時。
また顔が近づく。
今度はかなり近い。
エリオットの耳の近く。
ちゅ。
エリオットの肩が少し跳ねる。
「……っ」
その瞬間。
ネクタイを握る指がまた少し緩む。
チャンスが小さく言う。
「離しそうだな」
エリオットはすぐにネクタイを握り直す。
くい。
でも。
さっきより少し弱い。
チャンスが少しだけ笑う。
「顔」
エリオットが眉を寄せる。
「なに」
チャンスが静かに言う。
「赤い」
エリオットは一瞬固まる。
「……赤くない」
でも。
ネクタイを握っている指は。
ほんの少しだけ。
迷っていた。
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