ある日の深夜1人の男が酔った状態で
道を歩いていた
仕事の飲み会でかなり飲みすぎたようだ
ぽつぽつとある街灯が暗い道を
照らしている
ふらふらと足元がおぼつかない中
帰り道を歩いていると気のせいだろうか
見覚えの無い所に来ていた
酒のせいか道を間違ったのだろうかと
来た方へ戻ろうとする
すると何メートルか先に人の姿が見えた
丁度いいあの人に道を聞こうと
男はその場からのそのそと
歩き声をかけた
「なにかぁごようでしょうかぁ」
と女性の声が聞こえたかと思うと
すぐ目の前に女性の顔があった
ただあったのは「顔」だけだった
女性の体はさっきと同じ何メートル先に
あり、首を伸ばし顔だけの状態で男の方へ
行っていたのだ
男は悲鳴を上げその場から逃げ出した
逃げてもその女性が追いかけてくる
逃げた先の道の端に和傘が落ちているの
見つけた
それを拾い上げ女性の方へ向けた
…その和傘の持ち手が変だった
持ち手にしては異様に太く感触も
肌のようだった
その瞬間ばっと和傘が勝手に開き
向きを変え
「ばぁっ!」
と驚かして来た
その和傘の表に1つの目と舌を出した口が
ついていた
「ば、化け物!」
男はそう叫び再び逃げ出した
走っている途中で後ろを振り返る
と首が伸びた女性と和傘以外
にも恐ろしい姿をした化け物が
追いかけてきていた
男は必死に走っていると何かに足を
とられ転んでしまった
急いで起き上がろうとすると上から
声がした
「ちょっと大丈夫ですか?」
顔を上げるとそこには警察官が2人
立っていた
男は後ろにいる化け物の話をしたが
「化け物?何もいませんよ?」
男も後ろを振り返るが確かに何もいない
「あなた相当呑んでるでしょ
酔って変なものでも見たんじゃ
ないですか?」
警察官に言われ、あの化け物達は幻覚
だったのか…?と考えていた
「ほら、ふらふらじゃないですか
ちゃんと家まで帰れますか?」
警察官に助けられながら男は家に
帰って行った
その影から数匹の狸が愉快そうに笑った