憑き物が落ちたようにスッキリした顔をしながら夕食をペロリと完食したつぼ浦。シャワーを浴びて寝て起きて、と実に健康的な朝を迎えた。
「ふぁ〜、アオセンはよっす。…昨日はすまん、もう平気だから。今日は1日雨だってさ。」
椅子に座り青井の手を握りながら話す。自分はもう元気だ、心配無いとアピールも兼ねて明るく、大きな声で語りかけているとすぐに朝食の時間になった。
「俺つぼ浦が全然食べないって聞いてたんだけど?」
「誰だって食欲無い日ぐらいあるだろ、はいごちそうさん。」
「栄養失調て話はどこ行ったんだよ、めちゃめちゃ元気じゃねぇか。」
「こりゃもう病院いる意味ねーなー、な?」
「待て待てかげまるに相談するから。」
神崎からどうしても退院したい旨を伝えてもらい、かげまると話して3日何事も無かったらという事になった。この3日間は今までの不調が嘘のように穏やかに過ごせた。
「世話になりました、青井先輩のこと引き続きよろしくお願いします。」
「ああもちろんだ、今まで通りいつでもお見舞いに来てくれ。つぼ浦君も、心身共に少しでも何か不調があったら早急に診察を受けに来るように。本来ならまだ当分安静にしていてほしい期間だ、くれぐれも無理は禁物。仕事も大事だがそれ以上に身体を…」
「あーもう医局長!つぼ浦さん早く帰りたいって!」
「ん?あぁすまない、喋りすぎか。まとめるととにかく元気になって良かった。」
「あざす、おかげさまで。」
退院してからは連日青井のことを考えないように、青井がいない穴を埋めるように働いて過ごすとすっかり頼れるヘリ要員になってしまった。
「『客船ヘリ出す人いますかー?』」
「『つぼ浦君お願いできる?』」
「『了解出しまーす。』」
IGLもアタックもサポートもお手の物、スムーズな連携で順調に船内が制圧されていった。
「『船内あと何人残ってますか?』」
「『えー、3人だ。…つぼ浦ヘリに追われてるんで一旦報告できませーん。』オラ何しとんじゃあ!!」
「つぼ浦か?やり合おうぜ!」
「臨むところだゴラァ!!!」
「『警察無線失礼します、青井らだおさんが目を覚ましました!』」
無線が入った瞬間、ダウン通知が鳴った。犯人と相討ちになったつぼ浦が壊れたヘリと共に海に落ちていく。
「アオセンすまん、タイミング悪いわー!」
警察も救急隊もいち早く助けようと奮闘したが海中深くまで沈んでしまい、大分遅れて病室に入るとすぐに青井と目が合った。
「…あ、アオセン…」
「つぼ浦、おはよ。」
「……よかっったぁぁぁ…!ったくいつまで寝てんだよ。」
「ごめん寝すぎたわw」
微笑みかける青井に応えるように涙を堪えて精いっぱい笑う。他署員達も続々来てワイワイ騒いだが青井の身体を気遣い早めに解散となった。
「よしじゃあ皆帰るぞー、らだおはゆっくり休んで治してくれ。」
「あ、つぼ浦待って。」
「なんすか?」
「もうちょっといてほしいな。」
「あー、えっと…」
ゆっくりしな、と言う言葉に甘えてベッドの隣に戻った。ならばとつぼ浦の口が止まらず、時間を忘れてすっかり話し込んでしまった。
「は!?もうこんな時間かよ、流石にそろそろ帰らねぇと。アオセンも疲れただろ。」
「待って帰る前に、つぼ浦ほら。」
「……平気なのか?」
「もちろん、おいで。」
「…アオセンっ!」
手を広げた青井の胸に飛び込んで強く抱き締め合い、目を合わせて笑い合う。
コメント
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やっと起きた泣 やっと起きたぁ泣 良かったよぉ泣
あーーー、つぼ浦よかったねええ、!!!