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なにやら微妙に距離を開けて歩く人々(大体リーリー一頭分くらい=ルイ君一人分くらい)は、それぞれの獣舎の前を殆(ほとん)ど立ち止まる事無く通り過ぎるように歩いていた。

揃って顔をマスクで覆い、たまに装着していない人間がいると、親の仇でも見るように、


『新ガタコロナに感染(うつ)ったらどうするんですか?』


的な言葉で注意しているようだった。


――――新ガタコロナに映る? 見られるだけでヤバいって事か? 顔を覚えられるとか?


どうやらそれで皆顔を隠しているようで、その事からもガタコロナは、かなり知能の高い生き物である事が分かる。


更に驚いた事に、ガタコロナの脅威に対して、園側はジャイアントパンダの子供、大人気のシャンシャンの写真撮影を禁止しているらしい。

マジでか? 昨今一番の人気者をガタコロナの目から隠匿(いんとく)し、彼奴(きゃつ)の魔の手から守ろうという意図は分かる。

分かるがしかし、あの子を見に全国からやって来る人間が、良く素直に従っている物だ、と感心させられた。

それほど、人類全体が『ガタコロナ』を恐れている証拠に感じられ、俺は戦慄を覚えずには居られなかった。


「新ガタコロナ恐い」


「新ガタコロナまた増えたんだって」


「野球? 新ガタコロナだよ? 」


「真直ぐ帰ろ、新ガタコロナだし」


「ご飯食べるの止めとこうよ、新ガタコロナ恐いし」


「俺、新ガタコロナなんだぜ」「嘘やめろよ! 恐ーよ」


「消毒しとけよ、新ガタコロナだぞ」


「まだ、会社行けて無いんだよな~、新ガタコロナのせいで」


「お盆帰省出来なかったね、新ガタコロナだから仕方ないけどさ」


…………俺は思った。

こりゃ、ガチなヤツだなと。

世の中コイツにメチャクチャにされているようだ。

生活様式がガラリと変化してしまっている事をヒシヒシと感じる。

その上、人間達の話題の殆ど(ほとんど)が『ガタコロナ』の事柄で塗り尽くされている。

シャンシャンは今年一杯で中国に行ってしまうと言うのに、『ガタコロナ』の方がバズワードになっているなんて…… (実際には令和三年五月まで延長したのち、再延長を経て令和三年十二月返還が見直され、再々延長で令和四年六月に返す筈でしたが、再々々延長の結果、令和四年十二月に決まったらしいです)


『……羨ましい(ボソっ)』


気が付いたら呟いていたようだ。

いかんいかん!

幾ら話題の中心で目立ちまくっているとは言え『ガタコロナ』は人に仇なす大悪党だった。

人類のアイドルたる我々正義の動物とは対極にある存在、ではないか。


しかし、人々は折角お金を払って、動物達を見に来ていると言うのに、揃って沈痛な面持ちをしているな。

流石に子供達は以前と同じ様に、キラキラした目で俺達を見ているが、分別ある大人としては、心から楽しむ事など出来ないのだろう。


! そうか! いまこそ!



ある考えが頭に浮かんだ俺はすぐさまユイに声を掛けた。


『ユイちゃ! 今日実行するぞ! 食事の後にぶっつけ本番だ!』


『え! でも良いの? オリパラに合わせるって、一番効果的な時にやるって……』


『いいんだ、今が人間達にとって一番必要な時なんだよ! 頼む、俺を信じて一緒にやって欲しい!』


『…………わかったよ。 うん、がんばろうね、旦那様 (ニコっ)』


ここの所、数年に渡って二人で密かに準備して来た、取って置きのパフォーマンスを、予定変更し突然披露するという俺の我が儘(わがまま)にも関わらず、ユイは黙って付いて来てくれると言う。

なんて良い雌カバなんだ、この『ガタコロナ』を人々が乗り切ったら子作りをしよう、俺は心に誓ったのである。


そして、ついにその時は来た。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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