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トラッパーに代わり、ゴスフェが僕のことを見てくれるようになってから楽しい日々が続いた。

スリル満点のゲームだったり、お互いに自分のコレクションしている物を見せたり…


「(ゴスフェといると本当に楽しいな…)」


彼といると、いつもそう思ってしまう。

でも、そんな事がずっと続くわけがなかった。

ゴスフェ…彼は確かに面白いし趣味を分かち合える人だ。

しかし、どんな人にも欠点はある。

彼の場合は…そうだな…


「ねぇゴスフェ、少し良いかな?」

「なに?トリスタ」

「儀式で達成しなきゃいけないデイリーが、まだ僕には難しいから後回しでもいい…かな?」

「なんで?」

「その…まだ僕には難易度が高すぎて…」

「なんで?」

「……デイリー終わらしてきます」

「行ってら~」


一つ目は、悩みを言えるような奴じゃないってこと。

そしてもう一つは…


「ナイフ投げが日に日に下手になってきてる気がする…僕このままでも大丈夫なのかな?」

「あっ!そうだ、思い出した!」

「な、なに?突然だね…」

「君の部屋にクッキーあったでしょ!」

「う、うんあるけど…それがなにか?」

「クッキーちょうだい♡」

「…わかったよ…」


僕の弱音なんて一つも耳に入ってないってこと。

この2つさえなければ、もっと楽しかったのに…でも僕も高望みしすぎたのかな?

そうだそうだと自分に言い聞かせ、何とか持ちこたえようとするがやはりストレスは募るばかり。

悩みや弱音を聞いてもらえないのがどれだけ辛いことなのか…。

僕がトリックスターとして活動していた時でも、ユンジンや関係者の人達が僕を支えてくれた。


「はぁ…僕、トラッパーみたいなキラーになれるのかな?」


今日も儀式で功績を残せずにこの部屋に戻ってくるのが虚しくて仕方がない…。

僕の見方なんて誰もいないんだ…。


「ん?トリックスター?」


前の方を見るとトラッパーが立っていた。

今一番会いたくなかった…彼を見ると昔を思い出してしまうから。

この世界がどれだけ残酷なのか知らなかった僕を思い出してしまうから。


「ゴーストフェイスとの調子は…」

「ごめんっ…」


走って森まで行ってしまった。

罪悪感が募るなか、溜め息をついて僕は無意味な儀式を始めた。


──

────

──────


先程トリックスターと久々に会い、声をかけようとしたら無視をされてしまった…。


「何がいけなかった…」


特に気にしてないが、あの彼がこんなに元気がない姿を見るのは初めてだ。


「ゴーストフェイスに問題が?」


アイツがトリックスターの面倒を見てから彼の様子が可笑しかった。


「聞きに行く価値はありそうだな」


ゴーストフェイスがそう易々と俺の用件を聞くわけがない…何かいい策は…あ、そうだ!

俺は地下の貯蔵庫に行きある物を持って彼の部屋へ行った。

ドアをノックし、目当ての彼が現れたと同時にワインを見せつける。


「何、ワインなんか持って…」

「久々に飲まないか?トリックスターの事についてもいくつか聞きたいことがある」

「うーん…まぁいいよ?お酒が飲めるなら」


奴がこういう時単純で本当に助かる。

ひとまず俺の部屋に連れて行き適当に座らせる。


「相変わらずこじんまりとした部屋だね」

「これが好きなんだよ。ほら」


グラスに注いだワインを渡す。


「乾杯」

「乾杯」


カチンッと心地よい音が部屋中に響く。

ゴーストフェイスは顔が見えないように向こうの方を見ながら飲んでるな…別に口元くらいならばれてもいいだろうに。

俺も彼を見ながら一口飲む。

ワインなんて久々に飲んだな…すぐに今回の用件を忘れてしまいそうだ。


「早速だが、どうだ?トリックスターの調子は」

「どうだって言われても…ずっと元気だよ?昨日なんか一緒に2千ピースのパズルをしたし…一昨日なんか一曲披露してもらったよ」

「うーん…」


俺が聞きたいのはそこじゃないんだ…。


「そういうことじゃなくてだな…。キラーとして、あいつは上達してきてるのか?」

「ううん。最初は調子良かったけど、徐々に弱音吐くようになってさ」

「サポートしてやってるのか?」

「この僕がしてると思う?キラーに弱音なんて付き物。一々サポートしてたらキリがない。特にあのトリスタなら尚更だよ」


確かに彼の言ってることは正しい。

俺だってここに来たときは弱音ばかりだった。

でも確信した事が一つ。

こいつは役目を果たしていない。


「このワイン美味しいね~」

「嗚呼」


邪神に頼んで、もう一度トリックスターの面倒を俺が見れるようにしてもらえないだろうか…。


「君はさ、キラーなのにキラーじゃないよね」

「は?何言ってるんだ?」


俺は正真正銘キラーだぞ?何度も同じ生存者をこの手にかけてきた。


「僕にトリスタの話を聞き出そうとわざとワインなんか持って来たり、彼の話を僕がしてるときの君の雰囲気なんか完全に子を思う親みたいだよ気持ち悪い」

「おい最後の言葉は撤回しろ。」


こいつは一々余計なことを言うからな…だから仲良くしようとは思えないんだ。

しかし…子を思う親か…キラーの俺には似合わなすぎる言葉だ。


「まぁ、トリスタが本当に僕を嫌いになるなら、君に助けを求めるだろうね。それまではそっとしておこうよ。」

「そうだな…」


こいつもたまにはいいこと言うな。


「それよりさ、部屋の窓開けてくれない?鉄臭くてワインが台無しなんだけど」


少しでも心を許した俺がバカだった。

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トリスタ…次回も気になり過ぎる…

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