私には夢がある! そう言って憚らない女がいた。
そいつの名はミレニア・アーレント。
聖都大学付属高等学校に通う高校三年生だ。
将来は考古学者になりたいらしく、遺跡発掘のための資金稼ぎと称してアルバイトをしている。
今日も元気に『猫の手』で働きつつ、客寄せパンダよろしく看板娘を務めているのだけれど……
「おいこらミレニア!」
「はいなんでしょう店長?」
「お前さんまたウチの看板商品持ってきてくれたよな!?」
「あぁあれですか? 美味しいですよねー」
「ふざけんなよこっちは毎日それ作るために必死になってんだよ! 在庫だって限りがあるってのに……」
「大丈夫ですよ、店長ならきっとできますから」
「おだてても無駄だよバカ野郎ッ!!」……この通り、口が悪いこと以外はパーフェクトと言ってもいいくらいの美少女なのだが、如何せん性格に問題がある。
まず人を小馬鹿にしたような言動が目立つ。
あとよくわからない理屈を振りかざして他人に迷惑をかけることも多々あり、とにかく何を考えているのかわかりにくい奴だったりするわけで。
そして極めつけは――
「ほぅら見てください店長。私の言ったとおりになったじゃないですか」
「ぐぬぉおおおっ!! マジで悔しいっつーの畜生めぇええっ!!!」
――こいつは何かと言うと俺のことを占いたがる。それもかなりタチの悪い方法で。
さっきまで怒っていたと思ったら突然ニヤリと笑い、今度は一転して優しい笑みを浮かべたりする。
かと思うと急に真面目な顔になったり、逆に真逆の顔をしたりもする。とにかく表情の変化が激しい。しかもコロコロ変わるのではなくて、常に一定なのだからタチが悪い。
成功……寛容、博愛、協調性、向上心、献身、努力家、ポジティブシンキング、社交辞令、責任感、粘り強い、我慢強さ、忍耐力、正義感、気遣い、面倒見の良さ、奉仕の精神、平和主義者、人当たりが良い、親しみやすい、世話好き、リーダーシップがある、カリスマ性が高い、人に慕われる。
失敗……短気、疑心暗鬼、八つ当たり、非協力的、嫉妬深さ、独占欲が強い、人の話を聞かない、強情さ、我がまま、虚栄心、自己中心的、独善的な考えを持つ、自分のことしか考えられない、人を頼ろうとしない、わが道を行く、他力本願。
病名:狂乱の花々病 古来より伝わる秘術により、様々な動植物の特徴を持った人間が誕生することがある。彼らは動物たちのように本能に従い、野生的に生きる者もあれば、理性を持って文明を築く者もいる。
しかし、この国では古来から続く風習のためなのか、一部の人間が奇形的な外見を持つことがある。それ故に差別の対象となったり、迫害されることも多くあったらしい。
明治時代になると西洋の文化が徐々に入ってくるようになり、人々も欧米風の容姿を持つようになる。特に目元を強調したアイメイクを施すことが流行となり、それに伴い、彼らの特徴も次第に薄れていったそうだ。
昭和の時代を迎えると、日本独自の文化であるアニメなどの人気が高まりを見せるようになる。その影響もあってか、現代においても、彼らの特徴はあまり目立たないものとなった。
そんな時代の流れの中、とある男が不思議な力を持つようになった。その男は生まれつき、奇妙な植物を生み出すことができたのだ。
男はその力を悪用し、数々の悪事を重ねていくことになる。やがて、男の力は政府の目に留まり、政府に雇われることとなった。政府の役人になった男は権力を利用し、思う存分悪行を重ねることとなる。
そんなある時、政府は男の持つ力に目をつけるようになる。男は自らの能力を活かし、国の中枢を担う存在となっていった。こうして、国はますます豊かになっていったのだが……。
ある日のこと、突如として謎の疫病が流行し始める。人々は苦しみながらも懸命に治療を試みたが、一向に良くはならなかった。そこで政府が打ち出した対策は、「感染者を隔離すること」だった。感染を防ぐにはそれしか方法がなかったのだ。しかし、この政策に反対する者は大勢いた。感染症に苦しむ人々を目の前にしても、政府は耳を傾けようとしなかったからだ。また、治療法が確立されていない以上、隔離したところで無駄だと言う者もいた。それでも彼らは、政府に抵抗し続けた。自分たちが正しいことを証明しようと、必死になって戦った。そしてその結果、多くの人々の命が失われてしまった。まさに悲劇と呼ぶにふさわしい出来事である。
「今さら何を言ってるんですか?」
「……えっ!?」
「もう忘れたんですか? あなたが言ったんですよね?」
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