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-scene6- Ren Meguro



犯人が起訴されて、罪が確定し、拘置所へ護送されることになった。

事件から10ヶ月以上が経ち、ニュースの取り扱いは小さく、もう世間も忘れかけている。

この世の中の移ろいが想像以上に早いことが、今の俺たちを紛れもなく救ってくれている。

事件はいずれ風化していく。

翔太くんも、少しずつ、明るさを取り戻していた。




今日は心療内科の待合室で、俺と翔太くんは名前を呼ばれるのを待っていた。

もう一人で大丈夫というけど、時間が許す限りそばにいてやりたかった。


「渡辺さん診察室へお入りください」


💙「はい」


流石に診察室での会話は聞かれたくないと言われているので、俺は待合室で大人しく雑誌を読みながら終わるのを待つ。

すると、携帯に着信があった。

発信元は佐久間くんだった。

俺は通話エリアへと移動した。


🖤「もしもし」


🩷「おお、蓮。今、翔太も一緒か?」


🖤「今診察室に入っちゃって俺一人だけど、どうかした?」


🩷「そっか。それはタイミング悪かったなー」


電話口の佐久間くんの声のトーンが明らかに下がった。


🖤「なに?」


🩷「翔太のこと、気になるって子が今ここにいてさ」


🖤「え?」


🩷「いい子いたら紹介してって翔太に頼まれてたんだ。女優でも声優でもいいからって」


🖤「え?え?」


翔太くん、彼女なんか探してるの?

俺は自分の心臓がバクバクいっているのに気づいて思わず黙った。


🩷「あんなことがあっただろ。ふっかとか俺に声をかけて、気分を変えるために今は彼女を探してるみたい」


佐久間くんは少し言いづらそうにしていたけど、翔太が元気になった証拠だから俺はいい考えだと思うと言った。


🖤「…………」


🩷「とりあえず、後でまた翔太に掛けてみるわ。じゃあな。…あ、ごめんねー?」


隣りにいるであろう女の子に佐久間くんが謝り、可愛らしい女の子の声が電話の向こうで何か言うのが聞こえた。

俺はショックを受けていた。

今まで俺のしてきたことって一体なんだったんだろう。

俺はその時、自分の中で優しさだと思っていたものが、単なる独占欲に過ぎなかったことに気付かされて大きなショックを受けた。

同時に激しい自己嫌悪にも襲われていた。

翔太くんはもう、過去を捨てて前へ進もうとしている。

俺だけが翔太くんを癒して、守れるなんて思い上がっていたのかもしれない。

そう思うと、すごく胸が苦しかった。


💙「めめ、終わったよ」


翔太くんが診察室から出て来た。

幾分すっきりした顔をしている。


🖤「佐久間くんから電話あったよ。良さそうな子がいたって」


翔太くんの顔が少し歪んだ気がした。


💙「そうか」


🖤「うん」


それは、俺たちの間に見えない距離が生まれた瞬間だった。

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