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ミイの名はことね!じゃ!変わった言葉?ふざけるでないぞよ!ミイには隠されし才能があるのじゃ!みておきたまえ!
今はちょっとふざけた口調で言っていたが。
「ミイねぇ、それにはちょっと反対かも」
クラスのみんながちょっとひるむ。
まただ。「ミイ」と自分のことを呼ぶ、その子が口を開くと、なぜか空気が変わる。
ミイ、こと**七海ミイ(ななみ みい)**は小学5年生。
クラスでちょっと浮いてる…というか、なにか“ただものじゃない感”がある女の子だ。
走るのは普通。
テストの点も、まあまあ。
友だちもいるけど、すごく仲良しってわけでもない。
でも、なぜか先生も、学年主任も、校長先生すらも、ミイの意見には耳をかたむける。
その理由?
──誰も知らない。
でもミイには、知られざる“プロ級”の顔がある。
実はミイ、小学1年のときから、**「こども会議アドバイザー」**として活動している。
え?なにそれ?って思うよね。
それは、全国の子ども代表が集まって、本当にこどもにとって大事なことを決める、ひみつのオンライン会議。
その中で、ミイはなんと「進行役(ファシリテーター)」をつとめているのだ。
そう。
みんなが「うーん…どうする?」ってなるとき、
ミイはスッと入って、こう言う。
「じゃあ、ミイがちょっとまとめるね。今出てるのは、①公園をきれいにする、②学校に言う、③ポスター作戦、の3つだよね」
全国の大人たちがびっくりする。
「この子…話まとめるの、プロすぎる…!」
でも、本人はにっこり言うだけ。
「ミイは、ただ聞いてるだけだよ」
最初はただのくせだった。
でも、小2のある日、会議で出会った高校生リーダーにこう言われた。
「ミイってさ、自分のことミイって呼ぶから、なんか”キャラ”が立つよね。忘れられないもん」
そのとき、ミイは思った。
「あ、自分を名乗る言葉って、考えたら”武器”になるんだ」
そこからミイは、“自分をミイと呼ぶ”のを意識して使い続けた。
会議でも、学校でも、どこでも。
プロの“こどもアドバイザー”として、自分の印象を残すために。
朝のホームルーム、先生が言う。
「今度の学年レクリエーション、どうやって決めようか?」
みんながザワザワしはじめたとき、
ひとりの女の子が、するっと手をあげる。
「ミイねぇ、くじびきもいいけど、希望を聞いてみるのもアリかなって思うよ?」
その声に、クラスがスッと静かになる。
──だれも知らない。
この子が、全国会議のプロ進行役だなんて。
でも、ミイは今日も、静かに思っている。