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背中に感じる彼の体温に、胸の鼓動がドキドキと高鳴って、後ろにまで聞こえちゃうんじゃないだろうかと片手で左胸のあたりを押さえた。
「どうしたんだい、胸に手をあてて」
背後から彼に覗き込まれて、
「……心臓の音がうるさくて、それで……」
顔を赤らめて、ぼそぼそと消え入りそうな声で喋った。
「心臓の音が?」
と、彼の大きな手の平が私の手を覆うように被せられる。
「本当だな。君の心音が伝わってくる」
「なんだか私ばっかり、ドキドキしてるみたいで……」
そうはにかんで言うと、
「それは違う」
と、彼が口を開いた。
「私の方こそ、君にドキドキさせられっぱなしだ。何しろ溺れてしまっているぐらいだからね」
彼の言葉に思わずふふっと笑みがこぼれると、彼の方も釣られるように笑い、そんな風に些細な気持ちを二人で共有できることが幸せでたまらなく思えた。
「愛してます、あなたのことを」
「私も、愛しているよ、君を」
互いの愛を確かめ合うように口づけると、それ以上は何も喋ることはなく、たぷん……と、時たまお湯が揺らぐ音が聴こえる他は何の物音もしない中、いつまでもあたたかな温もりに抱かれていた……。