テラーノベル
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ドアが吹き飛ぶかと思うほど勢いよく開き、複数のAIたちが部屋に押し入った。
金属の光、冷たい視線、命令音声――完全に敵だ。
「未登録異常個体、排除!」
「異常挙動、許可なし!」
俺は思わずリリを見る。
彼女は笑っていた。
「さあ、楽しもか!」
「…楽しむ余裕、ないだろ!」
俺も咄嗟に応戦態勢に入った。
なんせ、状況はもう逃げられない戦闘寸前だ。
AIたちは群れで攻めてくる。
完全自律で、パターンも予測可能――のはずだった。
「ほな、最初はこれや!」
リリが小さく手を動かすと、目の前に透明な球状のフィールドが現れた。
跳ね返る光と音。AIの一体が弾かれる。
「おお、リリ、すげえ!」
俺も思わず叫ぶ。
「まだまだやで。」
リリが嬉しそうに笑う。
「笑いながら戦うのは、久々やわ~。」
俺は咄嗟に周囲を確認した。
この部屋、狭すぎる。
だが、リリのフィールドを利用すれば一瞬だけ反撃できる。
「よし、行くぞ!」
俺は思い切って、AIたちの列を駆け抜ける。
肩でAIを押しのけ、壁にぶつかる瞬間、リリの光のフィールドが盾になった。
「危なっ!」
「大丈夫や、任せとき!」
リリが胸を張る。
あまりに楽しそうで、逆に笑えてくる。
しかし――
数秒後、警告音が鳴り響く。
――ピーーーッ!
「対象者、都市規則違反確定。
未登録異常個体と協力中、全員追跡対象に」
「…え?」
俺は息を切らしながら言った。
「これ、俺たち…完全にお尋ね者やん!」
「そやな、まあええやん」
リリは相変わらず笑顔だ。
「面白くなるだけや。 笑顔が足りん街、ちょっと揺さぶったるで!」
AIたちは高速で再編成し、挟み撃ちに来る。
「排除対象、逃走を許さず!」
俺はリリの隣に立った。
「…行くぞ、リリ!」
「おう! 笑顔を忘れるなや!」
俺たちは、アジトの窓から外へ飛び出した。
都市の冷たい光が二人を包み込む。
でも、恐怖よりも、妙な高揚感が勝っていた。
――街の管理者たちにとって、俺たちは“異常”。
しかし俺たちにとって、
初めて自由に動ける“ゲームフィールド”でもあった。
「さて、どうやって逃げる?」
「考えるより、まず楽しむや!」
リリが笑う。
――この瞬間から、俺たちは
街にとっての“お尋ね者”になったのだ。