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レジと恋とテラディフェンダー2章

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レジと恋とテラディフェンダー2章

11 - 第11話 マリアとルナの戦い

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2025年06月11日

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守が走り去った後も、マリアとルナはひたすら戦い続けていた。

彼女たちの周りには、次々と現れるモンスターの群れが取り囲み、

絶え間ない攻撃を繰り出してきた。マリアは息を切らしながら、

巨大な火炎放射器「ドラゴンズモウ」を構え、敵に向けて猛火を吐き続けていた。

この武器は、扱える者が限られるほど高い攻撃力を誇り、その火力は目の前のモンスターを一掃していた。

しかし、母体から生み出される卵が次々と孵化し、スウォームフライが飛び出してくる。

卵が割れる音が響くたびに、無数のスウォームフライが周囲を飛び交い、群れを成して迫ってきた。

母体は休むことなく、次々と卵を産み出している。その姿は、まるで無限に続くように見えた。

さらに驚くべきことに、母体は死んだスウォームフライを食べ、その栄養で新たな卵を産んでいる。

死んだスウォームフライの遺体を、まるで命令に従うかのように、

他のスウォームフライがせっせと母体の元へと運び続けている。

それは単なる共食いではなく、母体を核とした、恐るべき生態系と連携プレーだった。

倒しても倒しても、母体が死骸を糧に新たな命を生み出す。

この無限に湧き出るフライの群れに、マリアとルナは次第に追い詰められ、

体力も、そして戦うための精神力も、容赦なく削られていった。

「やっぱり二人じゃきついね…」

マリアが肩で息をしながら呟く。その目はもう疲労に満ちていたが、決してあきらめる気配はない。

「応援を呼ぼうか?」ルナが息を切らしながらも冷静に提案する。その特殊な銃からは、

周囲を一掃するほどの広範囲攻撃が繰り出され、何体ものモンスターが倒されていくが、

それでも次々に現れる敵を捌ききれない。

「そうだね、一旦引こうか。」マリアが背後に目を向けると、何かを決意したように後ろに下がる。

マリアは唇を噛みしめながら背後を振り返った。撤退することへの悔しさが込み上げる。

それでも、無謀な戦いを続けるわけにいかない。負けを認めるわけじゃない。ただ、今は戦略的撤退が必要だ。

そう決意し、一歩、後退した——その瞬間だった

母体から強烈な粘液が噴き出す音が響き渡った。

ルナは反射的に素早く横に飛び退くが、マリアはその動作が一瞬遅れ、足元に絡みつく粘液に捕らえられてしまった。

「うぁぁぁ!」マリアが必死に足を引き抜こうとするが、粘液の強力な引き寄せに足が動かない。

ドラゴンズモウを力任せに持ち上げようとするが、その重さに手元が狂い、ついに地面に落としてしまう。

その衝撃で、武器が派手に音を立てて転がり、周囲のモンスターたちがそれを狙うように近づいてきた。

「マリア! 」ルナは素早く近づき、銃を構えながらその場に立ちふさがる。

だが、もう時間がない。マリアの足元を拘束する粘液はますます強くなり、逃げる余地はない。

ルナの目には焦りの色が見え、すぐにでも応援を呼ばなければならないと感じていた。


「ルナ! ここはいいから、逃げて応援を呼んで!」

マリアは息を切らしながら叫んだ。彼女の足はまだ粘液に絡め取られたまま。

武器も手元になく、状況は絶望的だった。それでも、その瞳には未だ闘志が燃えていた。

「マリアを一人にできない!」

ルナは歯を食いしばり、マリアの周りに押し寄せるモンスターを撃ち続けた。

火花と血飛沫が飛び散り、倒しても倒しても、次の敵が絶え間なく襲いかかってくる。

「大丈夫、私はまだ戦える! 応援がくるまでは粘れるはずだから!」

たしかに、マリアは高レベルの戦士だ。まだスキルも残っているかもしれない。

しかし、この数を相手に、一人で本当に戦い抜けるのか……?

ルナは唇を噛んだ。戦い続けてもキリがない。マリアの言葉を信じ、今は助けを呼ぶべきかもしれない。

「……マリア、待っていて! 必ず助けるから!」

「大丈夫、私を誰だと思ってるの?」

マリアは一瞬、強気な笑みを浮かべた。その笑顔にルナは迷いを振り切り、背を向けて駆け出す——その刹那。

「——ぅぁぁぁ!!」

マリアの悲鳴が響き渡った。

ルナが振り向いた瞬間、彼女の目に映ったのは、巨大な母体が粘液ごとマリアを引きずり込む光景だった。

粘液の塊が蠢きながら、まるで生きているかのように絡みつき、マリアの体をずるずると引き寄せていく。

「マリア!!」

「ルナ! 早く行って!!」

マリアはもがきながら叫んだ。しかし、その声は今にも飲み込まれそうな恐怖と焦りに満ちていた。

ルナは走る。全速力で駆ける——だが、足が止まった。

このまま行って、本当に助けを呼べるのか? マリアは、その間に……。

「……くそっ!」

ルナは踵を返し、マリアの元へと飛び込んだ。そして、全てのMPを解放し、最後のスキルを発動させる——!!

限界を超えるほどの魔力を叩きつける——光が迸り、ルナの体を包み込むようにエネルギーが弾けた。


ルナが引き金を引いた瞬間、蒼白の弾丸が炸裂し、無数の光の刃となって宙を舞った。

「——砕け散れ!!」

刃は疾風のごとく母体の粘液を切り裂き、その場にいたスウォームフライごと貫通する。

断ち切られた粘液が悲鳴のような音を立てながら四方に飛び散り、

拘束されていたマリアの体が一瞬だけ解放された。

「ギィィィィィ!!」

母体が震え、耳障りな絶叫が響く。その巨体がのたうち回り、黒い粘液をまき散らしながら地面を抉った。

周囲のモンスターたちが、怯えたように後ずさる。

しかし——それでも終わらない。

その時、背後、母体の巨大な影から、異形の怪物たちがぬるりと蠢きながら姿を現した。

黒く濁った甲殻、異様に膨れ上がった四肢、そして鋭い鉤爪。何より恐ろしいのは、

その赤黒く光る無数の瞳——まるでこちらの絶望を楽しんでいるかのようだった。

「くそっまたガーディアン……!」

マリアは地面に転がるドラゴンズモウに手を伸ばす。だが、指先があと数センチ届かない。

ルナもまた、MPを使い果たし、もうスキルを発動する余力はなかった。

そして、時間稼ぎは終わりだと告げるかのように、ガーディアンたちが一斉に、

マリアとルナめがけて飛びかかってきた——!

逃げることも、抗うこともできない。


絶体絶命——その瞬間


遠くから、それまでの羽音や爆音を打ち消すような、

耳をつんざくほど激しいマシンガンの轟音が響き渡った。それは、どこか馴染みのある音だった。


ズガガガガガッ!!


マリアは驚き「まさか!?」

辺りに立ち込める硝煙の中から、ありえないほどの勢いで駆けてくる影が見えた。

その影は迷いなく、ガーディアンとスウォームフライの間に割って入ってくる。

影から放たれる銃弾の嵐が、ガーディアンとスウォームフライを容赦なく薙ぎ払っていく。

黒い体液が飛び散り、怪物の悲鳴が上がる。


「マリアさん!ルナさん!」


その声とともに、敵を薙ぎ払う銃弾の嵐が炸裂する。

硝煙の中から躍り出たのは、ゲームのアバターと化した「フク」だった。

その存在は紛れもない実在感を放っていた。

つい先刻まで、恐怖に打ちのめされ、戦場から逃げ出そうとしていたあの守が、

舞い戻ってきたのだ。

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