第2話「至近距離」
ーーーーーーーーー
その日も、岩本は静かに
佐久間の家で待機していた。
佐久間がリビングに姿を現すと、
立ったまま、周囲に警戒を向けていた。
🩷)……ほんと、いつも居るよね…笑
💛)住み込みで働いてますので。
🩷)まぁ…確かに、?
🩷)……家の中なのに、そんなに
ピリピリしなくても…笑
💛)……任務中なので。
🩷)仕事熱心なのは…いい事か、
つぶやきながらキッチンへ向かう。
ふと視線が止まったのは、棚の上_
前に父が買ってくれた限定のお菓子の箱。
🩷)あ…昨日食べようと思ってたやつ、
背伸びして、手を伸ばす。
🩷)ん”……届か、ない…
細い腕を目一杯伸ばしても、
数センチの差で指先は空を切る。
軽くジャンプしても、落とせない。
🩷)……もーっ、!
そのとき、指がようやく箱に触れた_が、
同時にバランスを崩し、
横に置いてあったガラスのコップが
カラン、と音を立てて倒れた。
🩷)……あっ、
落下するコップ、思わず 反射で目を瞑る。
🩷)割れ…ちゃっ、__
鋭い音と共に、腕に包まれるような感触。
目を開けると、すぐ目の前に岩本がいた。
片腕で佐久間をかばい、もう片方の手で
見事にガラスのコップをキャッチしていた。
💛)っ……ご無事ですか、佐久間さん。
至近距離。
ほんの数センチ先にある、真剣な瞳。
鼓動の音が耳の奥でやけに大きく聞こえる。
🩷)……うん、だ、大丈夫……
岩本はホッとしたように表情を緩めた。
珍しく、心の底から安堵している顔。
💛)…申し訳ありません。
💛)もっと早く反応すべきでした…
🩷)ち、違うってば!
🩷)めっちゃ助かったし…
すごいなって思ったし……!
照れくささを隠すように、
佐久間はそっぽを向いた。
🩷)…高いとこに 置いたのは俺だし、
💛)佐久間さん
優しい声で、名前を呼ばれる。
再び視線を戻すと、岩本はあの欲しかった
お菓子を、片手で取って差し出していた。
💛)こういう事は、俺に言ってください。
💛)無理をする必要は、ありませんから。
🩷)……ありがとう
その言葉が、なぜか心に
じんわりと広がっていく。
甘い香りのするお菓子よりも、
今はこの人の腕の中の方が安心できる_
そんな気がした。
お菓子の箱を受け取るとき、
お互いの指が触れ合った。
その一瞬に、お互いの心が小さく
震えたことを、二人はまだ知らない。
ーーーーーーーーー
コメント
8件
きゃあぁ!!キュンキュンだ🤭💛🩷
胸キュン❤️ですね。
ニコイチ最高だな!!! はちの作品全部好きすぎる!!!!もう尊いよ!!