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│ 第6章 もう一人の犠牲者 │
警察からの連絡は夜遅くに入った。
「……え?」
電話を取ったのは、塩﨑だった。
「はい、、分かりました…」
短く答えて切る。
全員が、塩﨑を見る。
「何?」
曽野が聞く。
「……昨日の館の管理人」
太智は言葉を選びながら言った。
「亡くなったらしい…」
「は、?管理人?」
佐野が立ち上がる。
「ほら、館を定期的に見回っとった人や」
曽野が補足する。
「俺ら、顔は見てへんけど」
「死因は?」
吉田が聞く。
「首を吊ってたって」
太智は視線を落とす。
「警察は、自殺の線が濃いって、、」
その瞬間、 全員が黙った。
翌日、 警察署で 説明を受ける。
《管理人の男性は、借金を抱えていた》
《館の維持費も、かなり厳しかったようです》
《事件の発覚後、精神的に追い詰められた可能性が高い》
警察官は、淡々と話す。
「つまり……」
佐野が言う。
「最初の件と、関係ないってこと?」
《現時点では、そう見ています。》
その言葉に違和感を覚えたのは、吉田だった。
「あのー……一つ、確認していいですか、?」
《どうぞ》
「管理人は、館の鍵を全部持っていましたよね?」
《はい》
「じゃあ、管理室の鍵がなくなっていた件は、?」
警察官は、 一瞬だけ言葉を止めた。
《……管理人の部屋から、見つかりました》
「え、じゃあ」
吉田は続ける。
「佐野が持っていた鍵は?」
《…複製品でした》
空気がざわつく。
警察署を出たあと、曽野が言った。
「複製ってそんな簡単に作れるもんなん?」
「鍵屋行けば作れる」
塩﨑が答える。
「元があればの話やけどな」
「元?」
佐野が聞く。
「管理人が持っとった鍵」
「……じゃあ」
佐野は息を呑む。
「管理人が、 最初の事件に関わってた可能性は?」
「ゼロじゃない」
吉田が言った。
「でも、自殺で片付けられたら、 真相は闇に埋もれるだろうな」
宿に戻る途中、山中がぽつりと言った。
「自殺ってさ」
「理由が説明できると、 安心するよね。人は…」
誰もすぐには返事をしなかった。
その夜、 曽野は再びスマホを見ていた。
昨日の写真。
そして、もう一枚。
管理人の部屋の前。
撮影日時は、事件当日の午後。
「……俺、ここ行ってない」
背中に、冷たいものが走る。
一方吉田は、 ノートに線を引いていた。
• 鍵 → 複製
• 管理人 → 死亡
• スタッフ男性 → 事故扱い
「……簡単すぎる」
そう呟いた。
佐野は、自分の部屋で鍵を見つめていた。
複製
誰が作ったのか
いつ、渡されたのか
「……俺じゃない」
だが、そう言い切る材料はもう残っていなかった。