第2話「声がした気がした」
静かな部屋。
時計の針の音すら、遠くに感じる。
愛美は、ベッドの端に座ったまま、うつむいている。
スマホの通知は…やっぱり何も来ていない。
「ねぇ…ほんとは、もう誰も、わたしのことなんて思い出してないよね」
ウサちゃんが、じっとこっちを見てる。
無表情の、縫いぐるみのくせに。
「聞いてるの? ウサちゃん。
あんたくらいは、黙ってそばにいてよ」
ポツリ、ポツリと、涙がこぼれる。
部屋の空気は重たくて、胸の奥がざらざらする。
静寂。
……でもその中で、ふっと、どこかから声がした気がした。
『きいてるよ』
「…………え?」
声?……いや、そんなわけない。
わたししか、いないんだから。
「ちがう、わたし、そんなの……聞こえるはずない」
部屋の空気が歪んでいく。
照明が少しちらついたような気がしたけど、それすらも幻に思えて――
『ひとりじゃないって、言ってほしかったんでしょ』
その声は、耳の中じゃなくて、頭の中に響いた。
誰の声でもないのに、やさしくて、あたたかくて、怖かった。
「やめて…喋らないでよ……ウサちゃんは、喋らないで……!」
愛美は頭を抱えてうずくまる。
部屋の隅にぽつんと座る、ぬいぐるみ。
ぬいぐるみは、何も言わない。
何も動かない。
だけど、さっきの声は、確かに聞こえた。
「……ねぇ、本当に、わたし、壊れちゃったのかな」
ウサちゃんは黙ったまま、じっとこちらを見ていた。
フォロー増えたので出したけど
許してくれますか?
コメント
6件
続きが気になる終わり方憧れる✨