テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ーーーー
青桜に付き合おうって言われた
『は?本命彼女さんは』
「いるよ?」
『No.2とか3ってこと?』
「だってセフレ 嫌だって
言うわりに どうせ セフレ
だから とか言うだろ? トビ」
『何が違うの?』
「少なくともヤるために友達に
なったんじゃねぇよ?
オマエとは」
ヤんなくても 友達としては
認識されてたんだな
そんなコトに不覚にも
キュンとしてしまったよ
どうせセフレだし?
とかいう 自虐ネタ
まぁ最近言ってたかもね
もうすぐ26才になろうという
歳だし 本当にこの生活には
ケジメをつけなければいけない
ワタシが終わりを 匂わせて
いるから ソレを 感じ取って
こんなコト言い始めたんだろうな
彼女か.. 聞こえはイイけど
セフレの他に彼女は
何人いるわけ?
それでもワタシは自分の中に
仄暗い優越感が灯ったことに
気がついて ため息をつく
他のコに対しても言ってる
のかもしれないが
オマエみたいなヤツが
自分に執着を見せるとか
そりゃ女冥利につきるってやつだ
でも もう流されてダラダラと
延命はしない
他人を好きになるって
マジで生命の原動力だなって 思う
ありきたりな言いまわしでは
あるが
本当に 灰色だったワタシの世界に
一気に色がつくようだった
このまま 続いていくしかない
と思ってた 単調な人生に
オマエがイタズラに触れた
その瞬間から ぐっちゃぐちゃに
振り回された
大分 被害も被ったけど
楽しかったよ
でもこれ以上続けたら たぶん
ワタシ綺麗に別れられなくなる
オマエのせいでワタシの人生が
ダメになった!とか呪詛を
吐きたくない
全く違う価値観と常識
初見はとんでもない化け物
に見えた
それこそ嘘だったね
今は デカくて派手な虚勢の
着ぐるみ をきた 弱い 普通の
人間 が透けて見えている
絡まって開かなくなっちゃってる
ファスナーをぶっ壊して
本当を引き摺り出して ぶん殴る
もしくは 抱きしめてあげる こと
が 出来るのは
ソレ をして良い のは
本命の彼女さんだけ
なんでそんなに嘘で塗り固めたい
のか 暴きたい気持ちもあるけど
ワタシにはそんな気合いも 根性も
資格もない
責任も取れない予感がする
でも 繋ぎの作業着とか
暴くのは 大好きだったけどね
分厚くゴワゴワした生地を開け
下の 柔らかいTシャツを撫で上げ
剥いて中身の艶っぽい 熱い肌や
傷あと を 喰む
はい 正直 癖になりました
ワタシは恋愛対象は 男性で
攻め? が好きってことみたいだ
受け?も前ほど抵抗はなくなった
けど自分の身体見られるのは
やっぱり嫌いなので電気を消して
もらうか 着衣のまま致すのが
デフォになったな
恋愛経験値レベル30くらいには
なったかな?
ワタシがアナタの人生に触れた
ことでアナタにも何か影響は
ありましたか?
青桜にとってはお気に入りの
オモチャくらいだった?
でも ワタシは一番しんどい時
アナタの体温が隣りにあった
ことで支えられてたんだよ
おかげさまでようやく
自分の足でしっかり 立って
自分の進む道を自分の 意思で
選べるくらいになった
今なら 涙を見せずに
笑顔で別れられるんじゃないか
と思う
ーーーー
ワタシは青桜と別れたあと
病院勤めを辞めて引っ越した
これはしばらく前から決めていた
ワタシがしたかった仕事は
治療 ではないと思ったから
地域で生活を お手伝いする
仕事についた
収入は大きく下がったが
『いつも ありがとうね』
と 言ってもらえる仕事は
やりがいがあり楽しかった
数年がたった
すごく久しぶりに なるみちゃん
とカズくんを見かけた
この二人は結婚していた
本当の夫婦になった
結婚式には行けなかったが
なるみちゃんには会って
お祝いも渡していた
その時以来かな
たまに 青桜の姿も見かける
ことはあった 目が合えば
遠くから軽く手を振る
くらいで わざわざ近寄って
話しかけたりはお互いにしない
一昨年あたりからは見かけても
ないかな?
なるみちゃんが駆け寄ってきた
『久しぶりー!あれ?トビも
結婚したの? 』
ワタシの指輪を見てなるみちゃん
が言う
『うん そうなの 去年ね』
『そっか!おめでとう!』
青桜と別れた後も 恋愛面は
なかなか上手くいかなかった
寂しさに 人肌恋しく
なっちゃって ビッ×化 した
時期も ちょっとあった
でも 出会ったその日にとか
そういうことすると
後から酷く落ち込む
自分も相手も嫌いになると
気がついて すぐやめた
付き合ってみても つまんなく
思えて すぐ別れちゃったり
もした
あんなにヒトを好きになるって
良くも悪くも凄いことだったんだ
って気が付く
そのうち 仕事が楽しくなって
きて なんだか恋愛より仕事って
なってた時 職場で今の旦那に
出会った
移動してきた後輩くんで
仕事は出来るし 面白い
顔も整ってる モテそうな
タイプだなと思った
でも5歳以上 年下だし
あっちから恋愛対象に見られる
ことはないだろと思ってた
うん なかなかの奇跡が
起きたと思ってる
彼は 思ったことが口に出ちゃう
タイプで嘘がない 悪く言えば
ノンデリカシー でもそれが
信用 できた
思えば 正面から思いっきり
喧嘩できるヒト は家族以外には
彼だけ だった
愛情表現もストレートで
大型犬ばりだ ハスキー犬って
感じ
要するに今 とても幸せだ
『良かったぁ! 正直 青桜と
いた時は心配してたんだよ』
『トビ大丈夫かな?って』
『そうだね まぁその節は
ご心配を おかけしました』
「..トビちゃん 聞いてる?
アイツ亡くなったって」
『は? え?無くなったって
何が?』
『なんかね 結構な持病が
あったんだってさ 随分前から
私達も詳しくは 知らないん
だけど』
『うそ..無くなった じゃなく
死んじゃったの?青桜が?』
「そうか 最近全然見かけなく
なったのは..そうか…』
『ごめんね 突然』
『う ううん 次見かけたら
コレ(指輪)自慢してやろう
と 思ってたのに』
『残念だな』
無理に笑ったら涙が 溢れて
なるみちゃんに背中をポンポン
された
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!