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第1話「俺も見た」わ
春。
窓から差し込む柔らかな日差しが、教室の床を照らしていた。
高校二年生。
いつもと変わらない昼休み。
凛は窓際の席で、一人静かに外を眺めていた。
玲王は凪と話している。
千切は友達と談笑し、雪宮は本を読んでいる。
蜂楽は机に突っ伏して、暇そうに天井を見上げていた。
「……ねぇ」
突然、蜂楽が口を開いた。
「ん?」
玲王が振り返る。
蜂楽は少しだけ考えるように眉を寄せた。
「みんなさ……最近、変な夢見ない?」
「夢?」
凛が振り返る。
「うん」
蜂楽は起き上がった。
「なんかさ、すっごく青い場所なの」
「青い?」
「そう。空も青いし、地面も青い。なんか……ガラスみたいに透けてるんだよね」
蜂楽は手を動かしながら説明する。
「でも、木がいっぱい生えてんの。普通の木。でも葉っぱが青い光を透かしててさ」
「……」
誰も口を挟まない。
「で、その森の奥に学校があるの」
蜂楽は笑う。
「めっちゃ変な夢でしょ?」
――その瞬間。
「俺も見た」
凪だった。
蜂楽が固まる。
「……え?」
凪は眠そうな目のまま続ける。
「俺も、その夢」
「マジ?」
「うん」
玲王が凪を見る。
「お前も?」
「俺も見た」
玲王が答えた。
「……俺もだ」
千切が静かに口を開く。
「俺も」
雪宮。
「俺も見た」
氷織。
「俺もや」
烏。
「俺も」
乙夜。
「俺も見たぜ」
士道。
そして――
「……俺も」
凛。
最後に冴が、
「俺も見た」
と言った。
教室が静まり返る。
蜂楽は目を丸くした。
「……全員?」
誰も答えない。
でも、誰も否定しなかった。
蜂楽は少しだけ笑う。
「じゃあさ」
ゆっくりと、続きを話す。
「その夢に……誰かいなかった?」
空気が変わった。
凛が眉を寄せる。
「……いた」
「俺も」
玲王。
「いたよ」
千切。
「……いた」
雪宮。
「俺も見た」
氷織。
「おったな」
烏。
「いたいた」
乙夜。
士道も笑いながら、
「いたぜ」
と答える。
凪は少しだけ目を細めた。
「……いた」
蜂楽は、みんなの顔を見る。
そして。
小さく笑った。
「やっぱり」
「……何がだ」
凛が聞く。
蜂楽は、その少年の名前を口にした。
「――潔」
その瞬間。
全員が黙った。
誰も、驚いて声を出せなかった。
なぜなら。
その名前を聞いた瞬間。
全員の頭の中に、同じ景色が浮かんだから。
青い森。
透き通る地面。
風に揺れる木々。
その向こうにある、静かな学校。
そして――
木の下に立つ、一人の少年。
黒い髪。
青い瞳。
優しく笑う顔。
夢の中で何度も見た。
忘れられない少年。
――潔世一。
「……なんで」
玲王が呟く。
「俺たち、同じ夢見てんの?」
答える者はいなかった。
誰も、潔という少年を知らない。
同じ学校にもいない。
クラスにもいない。
なのに。
夢の中では――
全員が彼を知っていた。
そして。
全員が、彼に恋をしていた。
ただ一つ。
誰も知らないことがあった。
潔世一という少年が、本当にこの世界に存在しているのか。
それを知る者は――
まだ、誰もいなかった。
コメント
1件
あっやば…これ、めっちゃエモいやつだ!!😭💕 「全員が同じ夢を見てる」って時点で既にゾワッとするのに、しかもみんなが同じ「潔」に恋してるって、もう運命的すぎて胸がぎゅってなった…!! 青い森とか透き通る地面の描写もすごく美しくて、夢の中の世界が鮮明に浮かんだよ✨ この先、潔っていう少年が実在するのかどうか、すごく気になる…! 続きが待ちきれないよ🌸💕