テラーノベル
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愛されたかっただけなのに
「ねぇ、浮気してる?」
冗談っぽく聞いたつもりだった。
でも返ってきたのは、笑い声じゃなかった。
「……は?」
冷たい声。
その瞬間、
あ、終わったって思った。
電話越しの沈黙が痛い。
「なんでそんなこと言うの」
「いや、最近冷たいから」
「お前さ」
ため息。
それだけで涙が出そうになる。
「めんどくさい」
心臓がぎゅって縮んだ。
ごめんって言おうとした。
嫌われたくなかった。
でも先に通話が切れた。
暗い部屋。
スマホの画面には、“通話終了”。
その文字だけ。
数分後。
通知が鳴る。
期待して開いた。
でも違った。
『また泣かされてんの?』
送り主は、
私のことを嫌ってるはずの人。
なんで知ってるの。
怖くなって既読をつけないでいると、
また通知。
『窓』
意味分かんなくて、カーテンを開ける。
そこにいた。
街灯の下。
スマホを見ながら立ってる人影。
心臓止まるかと思った。
急いで電話をかける。
「なんでいるの!?」
『迎えに来た』
「は?」
『そのままだと、お前また全部許すだろ』
図星だった。
何も言えない。
『だから来た』
『今日は俺が連れ出す』
その声が優しくて、
涙が止まらなくなる。
気づいたら家を出てた。
夜のコンビニ。
缶ココアを渡される。
「……なんでこんな優しいの」
聞くと、その人は少し笑った。
「優しくしてんじゃない」
「弱ってるお前が欲しいだけ」
最低な言葉。
なのに。
どうしてこんなに安心するんだろう。
その時、スマホが震えた。
“好きな人”からの着信。
でもその人は私のスマホを取り上げて、
静かに電源を切った。
「今は見んな」
「せっかく、俺の方見始めたのに」
コメント
1件
読み終えました。第4話、とても心に残る回でしたね。「弱ってるお前が欲しいだけ」という台詞が、優しさと毒の境界を巧く揺さぶっていて興味深いです。なぜその人が彼女の状況を知っていたのか、という伏線も気になりますし、「せっかく、俺の方見始めたのに」という最後の一文が持つ支配と依存の構造に、ゾクッとしながら引き込まれました。続きがとても気になりますね。