「やはり、 あれ が来たか」
紫藤縁(しどうゆかり)ーー教師にて、忍びの指導官。
彼は報告を受けた楓にむつるを前に、渋くうなずいた。
「分身体とはいえ、あの術の気配……敵組織《影廻》のものだな」
「影廻……ついに動き出したんですか」
楓の声が低くなる。
「今回の標的はーー ほのか の可能性が高い」
「やっぱり… 」
むつるが無言のまま拳を握る。
「だが、まだ彼女を巻き込むわけにはいかない。」
楓、むつる、お前たちは日常を保ちつつ、彼女を影から護れ。任務コード《紅環》として扱う」
「はい……!」
昼休み・中庭
「ねぇ楓、最近さ……ちょっと様子変じゃない?」
ほのかの問いに、楓は一瞬、息を飲んだ。
「……え?」
「なんか、よくむつる君と抜け出してるし……
昨日の放課後も、ちょっと遅かったでしょ?見かけたよ、裏門の近く」
(見られてた!?)
「……ちょっと先生に呼ばれただけだよ 」
「ふーん……ならいいんだけど
ーーそんな二人を、遠くから響夜が見つめていた。
( ほのか ……予想以上に中心に近い)
(本部へ報告だ)
彼の瞳が、一瞬だけ妖しく赤く光る。
一方ーー敵側・廃ビルの一室
「……分身体は敗れたか」
声を発したのは、仮面をつけている幹部ーー黒連。
その隣には、炎のような髪を持つ少年ーー焔丸がふてぶてしく座っている。
「まぁ、子供相手に様子見なら上出来じゃね?」
「だが、光龍がいたのは誤算だった。あの子……光の継承者にしては、制御が利すぎてる」
「問題ないよ。次は千種に動いてもらうんでしょ?彼女なら、毒を混ぜるのが得意だし」
「遊びはここまでだ。ーー響夜、次の指令を与える」
次回に続く
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