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冷え込む冬の京都。上杉謙信は朝廷を守るという大義のもと、京都の政治を完全に掌握していた。彼の統治は厳格ながらも公正で、乱世にあって一抹の安定をもたらしていた。しかし、その平穏の裏側には陰謀と策略が絡み合い、さらなる混乱の予兆が漂っていた。
二条御所で謙信は、朝廷の重臣たちと面会を重ねていた。戦火を避け、朝廷を守るという彼の意志は揺るがない。
「この乱世において、朝廷の安定こそが民を救う光となる。私はその道を切り開く。」
謙信の言葉に重臣たちは頷いたが、その目には不安の色が見え隠れする。朝廷内部でも、武士の台頭を快く思わない者たちが謙信の力を削ごうと画策していたのだ。
その頃、東北の雄・伊達政宗が突如として上洛を果たした。精鋭部隊とともに京へと現れた彼は、謙信との面会を求めた。
「上杉殿、私がここに来たのは野心ではない。東北の地を守りつつ、乱世に終止符を打つためだ。」
その熱意に謙信は微笑みながら応じた。
「政宗殿、志、確かに受け取った。我らは共に戦乱を鎮める同志だ。」
この会談をきっかけに、上杉家と伊達家の絆は深まり、さらに北陸の雄・前田利家も加わり、三国同盟が締結されるに至った。
一方、南の地では、島津義久が九州全土を掌握し、その勢力を揺るぎないものとしていた。島津軍の猛攻により、九州の反抗勢力は次々と壊滅し、その地は完全なる統一を果たしていた。
義久は、南から天下の動向を見据え、密かにその力を広げていた。
「北は上杉、東は織田、西は武田――そして南は我ら島津が握る。いずれ全てが我が手中に落ちるだろう。」
彼の目は冷静かつ鋭く、戦乱の全てを見通しているかのようだった。
京都の平和が続く一方で、織田信長と武田信玄の対立は激化の一途をたどっていた。信長は上杉の守りを揺さぶるべく忍びの活動を強化する一方、武田家の背後を狙うための諜報活動も進めていた。
しかし信玄もまた、東海道を制圧することで信長の進軍を封じる計画を密かに進めていた。
第八話「三つ巴の序章」
北陸・東北三国同盟が誕生し、上杉謙信の勢力は一層の拡大を見せる。一方、織田信長と武田信玄は互いの策略を読み合いながら、決戦に向けた準備を進める。南からは島津家の影が忍び寄り、日本全土が三つ巴の戦乱へと突き進む。果たして、次に動き出すのは誰か――そして、天下の覇者となるのはどの勢力なのか?