テラーノベル
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火に包まれたトリニティを1人の少女が走る。
レイサ「はっ…はっ….」
口から出かける吐瀉物を堪えながら走る。しかし逃げるのに必死でもつれた足は小石に吸われ、転んでしまう。
レイサ「ケホッゴホッ….」
震える足を無理矢理動かし立ち上がる。昨日「友人」から貰ったばかりのマカロンを大切にバッグのポケットに入れ、また走る。彼女もまた、何が起きているかは理解出来ていない。夢。悪い夢だと信じたかった。
レイサ「杏山カズサ…皆ッッ..!」
あたりに散乱する手足に血溜まり。それから目を逸らす様に走り、スイーツ部の部室へ。
レイサ「みん..な……ッッ..!!!」
緊張の紐が崩れたのか、はたまた絶望で諦めたのか崩れ落ちる。当然だ。見る人も居なかった、いや…あるはずのない部室に転がっていたのは1人の亡骸。その遺体も首から上がないため判別は難しかった。しかしその服装に小柄な体。…間違いない、ヨシミだったものと気付いてしまう。
レイサ「ぅッッ….」
淡い滝が流れるように吐瀉物が流れ出る。今までスイーツ部と居て恐怖を知らなかったが今、ここで絶望という感情を初めて知ったのだ。
レイサ「ヨシミ…!!」
どれだけ仲の良い友人だろうと、遺体を見ていたくはない。当然だ。それも惨い、余りにも惨い現場だったからだ。
レイサ「皆…みんな…!!」
既にいつもの元気さは失せていた。痙攣する足で走り、彼女が大好きな友人、カズサを探しに行く。それより先にまずはティーパーティーの元へ行こうとした。見えたが、人の気配はない。既に避難したのだろうか。生徒を置いて。しかし、何かにひっかかり転んでしまった。
レイサ「痛ッ…..」
足元を見れば…..
レイサ「はっ….ぇっ….?」
事態が飲み込めない。何も気にも留めなかった、自身が足を引っ掛けたものが彼女の最も大切な友人であったから。
レイサ「カズ..さ…?カズサ…カズサァァァ!!!」
泣き叫ぶがその惨い状況に吐き気が込み上げる。その声がまた感染者を呼んでしまう。
レイサ「逃げ…なきゃ…逃げ..なきゃ…」
既に理性を失った体と脳は考えることすら辞めてしまった。体を支える命綱のようなか細い希望が、あっけなく、自分の中でプツンと儚い音を立てて消えてしまったから。
やがてとある建物に着いた。よかった、人がいると安心できるはずの状況だが何かおかしい。
あの制服….ゲヘナ…なのだろうか、そんな人物が椅子に縛られるトリニティの生徒に何かを刺す。その瞬間トリニティの生徒はさらに暴れ出し、やがて意識を失う。
レイサ「ッ!!」
足元のガラス片が音を立てる。こちらに気付かれゲヘナ生がこちらに近付く。しかしその瞬間窓を何者かが突き破りゲヘナ生を襲う。それを見て助けが来たんだ、と安堵した。だがガラスから入ってきた者。それは紛れもない、感染者だった。
レイサ「ぁ…嫌…」
こちらに近付く感染者。レイサはその中でも最後の希望を、現実逃避とも言える希望を持ち独り言をこぼす。
レイサ「きっと…すぐ誰かが助けに来るんです…他のみんなはまだ生きてるんです….カズ….」
言いかけたところで止まる。笑も込み上げる。
レイサ「そうでしたね…」
一筋の涙を流しこう一言。
レイサ「キャスパリーグはもう…居ないのに…」
そこで意識は途切れた。
報告書
死亡一名
宇沢レイサ
放課後スイーツ部の一員とも言える彼女。現状を理解できず走っていた頃、友人の惨い現場を見る。最後はそんな現実逃避も無駄だと思い、感染者に呑まれ死亡。
コメント
16件
Oh…Mama Mia…って何マリオなってんねん俺() マリマドブルアカでもしっかりとした描写考えんとな
…クロコォ!早く来てくれぇ!
れ、レイサァァァァ!久し振りだったし、恋愛が多かったからすっぽ抜けてた…櫻さんはこういう描写も得意だった。クソッ!先生は何をやってるんだ!生徒が○んでるんだぞ! 椅子に縛られたトリニティ生でナギサ様かと思ってしまった…次は誰が犠牲になるのかな?