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ゲヘナ学園
カスミ「…それで、これからどうするんだメグ。」
メグ「部員の皆が避難してる事を信じようよ部長。私たちは…こんなパニック終わらせてまた温泉掘るんでしょ?」
メグが辛くも笑い、カスミに問いかける。そう言うメグの腕は既に治療こそされているが感染者に肩まで裂かれていた。
カスミ「ハハッ、こう言う時でも変わらないな君は!..だが、無茶はするんじゃあないぞ?君が死にさえするならば私とて….!伏せろっ!」
突如辺りを銃撃が襲う。その弾幕は荒く、暗い紫色だった。
ヒナ「…耐えれてはいるものの…このままじゃ不味いわね、でも..アコに避難指示は任せたし..ッ」
肩にかすり傷を負いながらも相変わらずの弾幕で感染者を寄せ付けないヒナの姿は、今までよりも本気に見えた。しかしその時、背後から飛び込む感染者。
ヒナ「しまった.,!」
しかしその瞬間感染者の上半身が燃え上がる。
メグ「さっせないよー!」
カスミ「馬鹿..!よりによって今..いや、今はそうも言ってられないが…味方となれば心強い!」
怯えた顔ながらも少し雰囲気を切り替えヒナに近づくカスミ。
ヒナ「あなた達は…私は良いわ、早く避難なさい。」
カスミ「ハッハッハッ!何を言うんだ、今だってメグが居なければ死んでいたかも知らないぞ?」
ヒナ「…笑えない冗談ね。それもテロリストの。」
メグ「とにかくヒナちゃん、今は協力させて!」
ヒナ「..今だけは、手を借りるわ。」
そうして三人は学園前を張るのだった。
アビドス地区
既に二人の後輩を失った今目の光も無くなったホシノと、後輩を失い余裕などとうに消えたノノミとシロコが、少しずつゲヘナへ移動する。
ホシノ「もう少しだね、二人共。..絶対に二人は守るから。」
ノノミ「ホシノ先輩がこんな雰囲気だと頼もしいです、シロコちゃん、行きましょう!」
シロコ「ん…必ずセリカとアヤネの分まで、感染者は残らず排除する。」
すると2体の感染者が背後から迫る。ホシノが真っ先に気付き盾で防ぎ、二人もそれに続き応戦する。
シロコ「..ん、やっぱりあんまり銃が効かない…けど、どうやら頭部は多少弱いみたいだね。」
ノノミが愛銃を振り回して感染者の全身を撃ち抜く。動きが鈍くなった感染者に上からシロコが飛び銃で頭部を殴り、乱射する。そこまでして一体は動かなくなる。ホシノはもう一体の感染者の猛攻を軽く弾き、手元の愛銃を顔に放ち、盾で殴打する。最後は後ろから拳銃で足を撃ち抜き、背後から感染者の頭を吹き飛ばす。
ホシノ「二人とも大丈夫?…さ、行こう。まずは…シャーレを目指そう。何も報道されないはずがないよ、一度乗っ取ろう。」
正気を保っているようには見えたが、既に頭はどこかおかしくなっていた。しかし実際、連邦生徒会から何も通達がないのだ。この空気感に逆らえないノノミとシロコも後に続く。
ホシノ「…?ゲヘナ学園の所に誰かいるね。まぁ…通らせて貰おう。」
ヒナ達はひとまず片付いたのを見て周囲を警戒していた。
ヒナ「次いつ来るか分からない…とりあえず今は、人を通さないで。シェルターに入ってから変異する可能性もあるからね。」
メグ「ヒナちゃん強ーい!!5人くらい一気に襲い掛かったのも倒してたし..」
カスミ「これがいつも味方なら良かったのだがな…」
ヒナが遠くから近づく三人に気付く。知っている顔だと気付いたが警戒は解かなかった。
ヒナ「あれは…小鳥遊ホシノに..待って、二人足りないわね。」
二人いないことがおかしいと思ってしまったヒナは念の為と構える。それが目に入ったホシノも銃を構える。
ホシノ「…あれ、君は..ヒナちゃん?悪いけどさぁ、私たち生徒会まで行くんだ、通してくれない?」
ヒナ「連邦生徒会…確かに音沙汰無いわね。けど、生憎今は通せないわ。あなた達でも万が一を備えての事だからね。今は検査をして避難を…」
しかしホシノも意見は曲げない。
ホシノ「悪いけど時間が無いんだよねぇ、そっちこそ避難してれば?何故私たちにそんな警戒するのさ。」
後輩を守るようにヒナに迫るホシノ。
ヒナ「…そう、引くつもりはないのね。…悪いけど、こっちも貴方たちばかりに構ってる暇は無いの。さっさと避難所まだ向かってちょうだい。」
ホシノの目が冷たく光る。
ホシノ「…人の話を無視するんだ、そっか。…そっちがその気なら、無理やりにでも通してもらうよ〜。…二人とも。」
話し合いは無理だと思ったヒナはデストロイヤーを構える。
ヒナ「…悪いけど二人とも、今はこっちの二人を相手していて。」
温泉開発部の二人と対策委員会の二人も対峙する。ホシノの素早い射撃で始まった。
ホシノ「っと…結構今早かったはずなんだけどなー、..ならこれは?」
冷静に手榴弾のピンを抜き少し時間を置いて時間差で投げ、その間に乱射する。回避と猛攻が主流のヒナにとって手榴弾が邪魔で回避しようと避けた。しかし手榴弾は不発だった。ホシノは手榴弾の飛ぶ位置まで考え、バランスを崩したヒナに散弾を浴びせる。その猛攻にダメージを受けたヒナだがまだ本気ではなかった。
ヒナ「こほっ….やるわね。でも….遊びは終わりよ。」
直後物凄い勢いでホシノに突進したヒナは至近距離で弾丸を浴びせる。その踏み込みの速さに反応が遅れたホシノもまたダメージを受ける。しかしまだ終わらなかった。ヒナは盾で防ぐのに必死なホシノに足をかけ、バランスを崩させた。
ホシノ「しまっ…」
ヒナ「チェックメイトよ。」
ギリギリで盾を展開したホシノがヒナの弾丸を受ける。しかし至近距離と先ほどのダメージも加わり押されていた。しかし、ホシノもついにキレる。
ホシノ「いい加減にしろ。」
突如盾を投げ捨て、気付けばヒナの頭上に飛んだホシノはヒナを掴み地面に叩きつけ、上に乗る。
ホシノ「ほら、早く降参しないと…いくらヒナちゃんでも骨いっちゃうよ?」
膝を体に沈められるヒナは苦痛に顔を歪める。しかしただでは終わらなかった。
ヒナ「油断したわね…ッ!」
ヒナはデストロイヤー本体をホシノの後頭部にぶつけ、よろめいた隙にゼロ距離で放出。盾さえも投げたホシノはガードする方法がなかった。
ホシノ「ッッ…!!」
その横でまた四人が戦う。ノノミの広範囲な射撃にメグとカスミは防戦一方。遮蔽物に隠れて転機を待つしかなかった。ノノミのリロードに入った隙にノノミに近づくメグ。しかし当然シロコがそれを許すはずがない。
メグ「部長っ今だよ!」
カスミ「ハハッ、見てろお嬢ちゃんたち!これが温泉開発部なりの闘い方だ!」
カスミが手元から出した起爆装置。先程から仕掛けていた爆弾を起爆する。
カスミ「発破だ!!」
ノノミはその衝撃で武器を落としてしまい、メグに火炎放射器を突きつけられる。
メグ「流石に撃たないけどさ…動かなかったら、ね?」
ノノミ「シロコちゃん、ホシノ先輩すみません,‘!」
カスミ「さて、ここからだが…いくら何でも私一人でタイマンは勝てないだろうな、爆弾のストックも今はない。さぁ、正面から来いお嬢ちゃん!」
どこか楽しそうに笑うカスミに容赦なくシロコがドローンでミサイルを飛ばしながら近付く。
シロコ「一度倒れて。」
強烈なシロコの回し蹴りがカスミの腹を捉える。その衝撃に動けなくなるカスミ。
メグ「ぶ、部長!」
カスミはフラフラの状態で立ち上がる。シロコも容赦なく畳み掛ける。
シロコ「まだ動けるの?…遅い。」
無防備なカスミをシロコの弾丸が何度も捉える。
カスミ「はーっ…はーっ…ふふ、これは中々…だが生憎、私もこれ以上持たないし長引かせたくないからな!」
カスミが震えながら目の前のシロコ目掛けて弾丸を放つ。が当然当たらない。
シロコ「ん..,手応えも無かった。あとはホシノ先輩に加勢…」
カスミ「させないぞ!ハッハッハッ!」
シロコ「何..?…ッ!」
シロコが反応するまでもなくシロコに何かが落下する。ゲヘナ校の瓦礫だ。
シロコ「まずい、避け…,」
カスミ「ははっ、予測済みさ!」
気付けばシロコの足をロープで結んでいたカスミはそのままもう一度瓦礫を撃ち、シロコに瓦礫が直撃する。当然無事では済まない。
シロコ「っ,…」
ノノミ「シロコちゃん!!」
メグ「安心しなよ、部長は好戦的じゃないから…ただ、暫くは動けないけど。」
カスミ「戦いには頭脳も大事だぞ?お嬢ちゃん!」
その頃すぐ近くで更にヒナとホシノの戦いが激化する。互いに先程の攻撃で動きは鈍くなっている。しかし今はヒナが優勢だった。
ヒナ「…今考え直せば辞めてあげるわ。」
そう提案するがホシノの耳には入らなかった。
ホシノ「…こっちは後輩失ってるんだ、これ以上邪魔するなら…例えゲヘナトップのヒナちゃんでも、命の保証は出来ないよ。」
場の空気が一気に冷たくなる。しかし、通す訳にも行かないヒナは、
ヒナ「そちらこそ、引いたらどう?これ以上抵抗するなら…感染者と同類とみなすけど。」
互いに疲弊した身体だったがその瞬間体勢が逆転する。盾を使いヒナを弾き飛ばす。ヒナは限界の様子だった。
ヒナ「…ここで体力使いすぎたら、後で後悔するわよ。」
ホシノ「別に構わないよ。シロコちゃんとノノミちゃん以外に失える物なんてないんだからさ。」
ヒナ「ッ..,!私だって先生を失って何も思ってない訳じゃない。けど….死んだら二度と戻ってこない。現実から逃げても結果は変わらない。」
その言葉にホシノの自制心を繋ぐ糸が切れた。
ホシノ「…二度とその口開けなくしてあげるよ。」
ホシノの蹴りがヒナを捉え、動きが鈍くなる。ヒナもそれに応じて弾丸を浴びせる。これ以上続けば互いに死んでしまう。それでも互いに譲れなかった。その瞬間、決着が付いた。
ヒナ「….私の負けよ。…行くなら行きなさい。…私を地面に倒れさせられたらね。」
ヒナも何かを括り、ホシノに襲い掛かる。突撃にホシノも地面に倒され、ホシノは防御が出来なくなる。
ヒナ「…申し訳ないけど、これ以上は時間の無駄よ。」
ヒナがそう言い放ち、ゼロ距離でホシノを撃ち抜く。既に満身創痍だったホシノだが、アドレナリンの影響が痛みを忘れヒナの首を掴む。ギリギリと無情に締め上げ、ヒナの息が荒くなっていく。しかしホシノ自身も疲れで力が弱まっていく。ヒナがホシノを突き飛ばし、互いに銃口を向ける。しかし互いに地面に倒れる。暫く沈黙が続いたが、どちらも起き上がらなかった。その様子が目に入った他四人は驚く。
カスミ「ヒナ..!?不味い、相当の怪我だ、これ以上は続けるんじゃない、君ら二人のどちらかが死ねばそれこそ本当にキヴォトスは終わるだろうッ!」
救護班が全員を運ぶ。その間にも魔の手は迫っていた。結果的に決着は付かず死者は出なかったものの、キヴォトストップレベルの二人が一時的に戦闘不能になってしまった。
報告書
重傷2名
小鳥遊ホシノ 後輩を失った影響かどこかおかしくなり、連邦生徒会を襲撃する考えに至ってしまう。その道中対峙したヒナと戦闘になり、最後は遅れてやってきた疲れと怪我の影響で倒れる。怪我のほとんどが超火力のデストロイヤーによるものであり、神秘によって軽減されたものの重傷。
空崎ヒナ ゲヘナ学園正門前で感染者を捌き切った後、ホシノと対峙。ホシノの偽手榴弾やホシノの得意距離からの銃撃、そしてホシノによって腹部を踏み潰されかけ、圧迫骨折などの重傷。
コメント
14件
バカヤロッなに争ってんねんって思いました() 様々ンなところで犠牲出てるってんのに衝突してりゃ無駄足だ、戦力が削がれる。焼け石に水だとしても、キヴォトストップの実力を持つ二人が協力すればかなり希望となるはずだが⋯争ってちゃあムズいっすねぇ。そして戦闘描写うまっ。文豪!天才!粉砕!玉砕!大喝采!() までも、況が況じゃあれだな、厳しいな。まあ確かに絶望を希望で染める時、それは新たな絶望の始まりだって言うけど(!?)、うちのマリオはね、そこにいるだけ0.1%の勝機を生み出し、さらに戦ってみろ、その勝機を100%掴み取るんだ、キヴォトス人のようなイカれた防御力や銃撃戦能力こそ無いけど、希望を不思議と感じられる存在だからね()(マリオ「おい途中から俺語りだぞ。」 長文失礼おっすおっす
ウワァトップレベルが二人倒れた…カスミが死ななかったから嬉しいんだけどヒナが戦えなくなるってのはツライなぁ…驚いたのが精神が崩壊しかけてもホシノが動けて動きが全く鈍って無いことよね完全に崩壊してたならこうは成らなかったかもしれないのに…そして相変わらず戦闘描写が上手すぎる…アビドス3章でのヒナホシの戦闘を更に極限状態の場合はこんな戦闘に成るだろうと言うのがすごく伝わった!推しを悪くいうようでなんだけどカスミの戦闘は小賢しい戦法で勝つのが解釈一致で凄い嬉しかった。メグは何でそうなったかは今までの話に有ったっけ?有ったらすまんね…さて…これからの戦闘は誰がトップ戦力として動くのか……楽しみですねぇ 長文失礼したニダ