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アッ(浄化) だいすこ
めろい、めろすぎる、だから好きなんだよ!!!!!
おっっっっっわ……🪦
紫のお部屋がいっぱいになったのでこっちで書きます……軽率に出せないための作戦……
ということで、ちみどろのキキョウくんに恋してた女の子の話です。レリゴー
その子は中学に入学した時から目立ってた。少し癖のある、ピンクから紫になっていくグラデーションの髪。色は全然違うけど狐みたい、と思っていた。妖艶な雰囲気なある美人。
でも、話すと全然違った。ずっと喋ってるし、やかましい。表情筋も柔らかそうだった。顔の変化がそこら辺の人間と同じ程度の私とは、 比べ物にならなかった。なのに頭は良くて親切。ずっとクラスの中心にいる人。
窓際の席で昼の光に照らされていた彼は、まさにクラスの陽の人物だった。でも、私はいつもひだまりと日陰の間にいた。どう頑張っても、好きなあの子が笑ってるひだまりには行けなかった。でも、自覚してしまえばさらに遠い日陰に飲み込まれる気がして。明るくて頼りになる『友人』を崩さないようにしていた。きっと、好意はバレていなかったと思う。
三年生に上がった頃、一年生が入ってきた。中でも、「ホルテンシア・ブルー」は目を引いた。彼女は美しい白髪と、綺麗に塗られたような黒い瞳が特徴的だった。同性の私でも美しいと感じるような女の子だった。当然、クラスでも惚れるものは多かった。そこまでは別にいつも通り。色恋話が好きな中学生なあるあるだ。でも、私に問題だったのはこの後。どうやらキキョウはホルテンシアに一目惚れしてしまったらしい。少しづつ心の中が暗くなってくのを彼の明るさで誤魔化した。別に、ホルテンシア、ホルは何も悪くないんだか、彼女だけには絶対バレないようにした。 随分とキキョウは熱狂的らしい。毎日のように彼女の教室に行って告白をしていた。暇なのかとも思う程、呆れるほど、沢山告白をし続けていた。ホルも毎日律儀に断っていた。毎回告白し、断り、友人達が謝罪する。それがある種の恒例行事となっていた。
ある日キキョウに「時間はあるか、あったら相談したい。」と言われた。まぁ十中八九ホルの事だろうと思い、教室で話を聞いた。想像通り、どうすればホルに振り向いてもらえるか、という話だった。もうこちら側が赤面するのではないかと思うほど惚気けてきたが、何とかこらえた。
「まぁ、そんなことだろうと思ったけどさ。」
「わぉ、バレていましたか。親愛なる友。」
「そりゃまぁ、毎日あんだけ告白してれば、ねぇ?」
「流石私、オーラから違う。」
「それは言ってない。」
こうやって茶番ができて、相談してくれることを嬉しく思う。でも、これがあの子相手なら真剣に話していたんだろうと。その事実が、信じられないほど重い。話している間、ずっと声が震えそうなのを我慢した。我慢して、アドバイスを続けた。
「なるほど、そうすればよかったのですね。」
「まぁ私が言えるのはこのくらい?あとは自分で模索してよ。」
「貴重な時間感謝します。貴女は本当に
頼りになる友人だ。」
……
「あははっ、そうでしょ?」
声が枯れるほど叫んで、涙が枯れるほど泣いた。きっと私はあの子に勝てない。あの子に勝てるわけが無い。でもそれでも、私があの人を好いていたという事実が消えるのは嫌だった。そんなにすぐ、諦めがつけれるわけない。頼りになる友人?信頼できる先輩?親身な優等生!?そんな訳ない!!
私だって、未熟なままの子供だよ。ワガママ言ってもいいでしょ。まだ大人になれきれてない、子供のわがままひとつ聞いてよ!親も、友達も、神様も、誰も聞いてはくれない。
もしかして、好きになったことがワガママ?私が誰かを好きになった事がワガママで、神様がそれを叶えたの?
……そっか。それなら___
朝になって騒がしい教室に入った。相変わらずにキキョウは居ない。そして彼の友人も。そこの状況から何も分からないほど、私も馬鹿じゃない。いつもならもっと黒い感情があったと思う。だけどもう、諦めたから。「諦めたフリ」をするから。
私は友人に尋ねる。
「友人」の居所を。
「おはよー!キキョウは今日も告白?懲りないよねぇ。」
その日のお昼休みの終わり際に、放送が入った。なんでも、今日は急遽午後の授業を無くし、このまま下校するらしい。教室は授業前の静かな様子から一変。また騒がしさに包まれた。担任がやってきてその空気を変えた。大人しく帰りの準備をすると、異変に気付いた。いつも騒がしい、あの子がいない。キキョウがいない。
胸の辺りが、ざわつく。
結局、キキョウのことは何も分からないまま、卒業の日を迎えた。キキョウは「行方不明」と説明された。そして同時にホルも「行方不明」だと。あの日は、体育館裏で数人が殺されていたらしい。それで午後の授業が消えたそうだが、二人については何も話されなかった。だが、どこから来たも分からない噂では、こう語られていた。
『あの日は体育館裏で、数人が殺されていた。そしてキキョウとホルテンシアは巻き込まれたのだ』。実際、説明はされながったが、ニュースはやっていて、そこには血痕が残っていたらしい。キキョウ達は、殺されたか、逃げたかの二択。
その答えは分からないまま、高校に入って、大学に入って、社会人になった。社会人になって一年目しか経っていないが、もう精神が擦り切れ始めた気がする。これを思い出したのも、もうガタが来だしたのかもしれない。そもそも私は、そんなに彼が好きじゃなかったのかもしれない。今飲み会で調子に乗って、帰る手段をなくして歩いて帰っていなきゃ思い出していなかった気がする。
とぼとぼ歩いていると、相当酔いが回っていたのかマンホールでつまづいた。あー、どんどん地面が近づいてくるなー、と酔いがあるせいで真剣に考えられなくなってると、体が空中で止まった。
「夜中は危険ですよ、レディ。」
覚えている。
懐かしい、声。
怪しくてしなやかな声。
私が好きな声。
「ありがとう、ございます」
「気を付けてくださいね、世の中物騒ですので。」
……キキョウ、だ。髪の長さも違った。雰囲気も、何もかも。でも、覚えていたんだ、私。
『人間が最初に忘れるのは声らしい。』
「なーんだ。」
私、まだ好きだったんだ。
書いてたらえぐ長だったよー!!!