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24話 「月の裏側にあるものは」
──────結翔side
病院を出てから、しばらく街を歩いていた。
ザッ……
ザッ……
どこへ行くかなんて、決めていなかった。
ただ、家に帰る気にはなれなかった。
結翔「…………」
街灯の下に置かれたベンチ。
結翔はそこへ腰を下ろした。
ギシッ……
背もたれに身体を預け、空を見上げる。
結翔「…………」
夜空には、月が浮かんでいる。
結翔「……世界……か」
宙の言葉が頭をよぎる。
『この世界の真実を知ったら、貴方はどう変わってしまうんだろうね』
結翔「…………」
結翔「……どいつもこいつも……」
小さく呟く。
結翔「世界、世界って……」
結翔「……何を見てきたんだよ……」
俯く。
雫さんのことを思い出す……あの人の笑顔を守ることは俺には出来なかった。
あのクソ野郎の笑顔も死んでも忘れねぇ
あの廃墟。
あの「救い」。
結翔「…………」
もう、何が普通なのか分からない。
そんなことを考えていると――
トコトコ……
小さな足音が聞こえた。
結翔「……?」
顔を上げる。
少し離れたところを、白銀の髪の少女が歩いていた。
その姿は、この時間、この場所にはあまりにも不釣り合いだった。
結翔「…………」
少女は何事もなかったように歩いていく。
結翔「……おい」
少女の足が止まる。
ゆっくり振り返る。
彗音「……?」
結翔「……こんな時間に何してんだ?」
彗音「…………」
彗音は結翔を見つめる。
そして――
彗音「……貴方こそ」
結翔「俺?」
彗音「ベンチで座って、何をしているの?」
結翔「…………」
結翔「……別に俺が何しようと勝手だろ」
彗音「勝手なら私に何も言えないじゃない(ˆ⩌⌯⩌ˆ)」
結翔「……(対応しずら……なんだこの人……!)」
少し間を置いて。
結翔「……悪かったって……(ってなんで俺謝ってんだ!?)」
彗音「…………」
彗音は首を少し傾げる。
結翔「それより、お前危ないだろ」
彗音「…………」
#R15
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華
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結翔「こんな夜に一人で歩いてたら、何かあった時どうすんだよ」
彗音「何か……?」
結翔「……変な奴に絡まれたりとか」
彗音「…………」
結翔「だからさ」
結翔「人のことより、自分を優先しろよな」
彗音「…………」
彗音はしばらく結翔を見る。
そして。
彗音「……私はそんな失態犯さない」
結翔「……すごい自信だな」
彗音「私は私の事を1番知ってる」
彗音「私は弱くない。1人でもこの世界でやれるわ」
結翔「…………」
結翔「………俺は弱いとは思ってなかったけど…女性だし……」
結翔「目の前に小さいヤツがいたら尚更……」
彗音「…………小さくない(ˆ⩌⌯⩌ˆ) ジトーッ」
結翔「……だから」
彗音「小さくない(ˆ⩌⌯⩌ˆ)」
彗音「子供じゃない」
結翔「あー分かったって…小さくないな俺の勘違いだったわ(意外としつこい奴だった)」
彗音「…………」
彗音は結翔の隣を通り過ぎる。
その瞬間。
彗音「……あまり夜、出歩かない方が身のため」
結翔「…………」
結翔「それ、お前が言う?」
彗音「…………」
彗音は振り返る。
彗音「それじゃあ、バイバイ」
結翔「……おい」
彗音「?」
結翔「……名前は?」
彗音「…………」
彗音「私の名は彗音」
結翔「……彗音か」
彗音「((・・*)コク」
そして彗音は、そのまま歩いていった。
トコトコ……
結翔「…………」
結翔はその背中を見つめる。
結翔「……なんなんだ、あいつ」
少しだけ笑いかける。
けれど――
その笑顔は、すぐに消えた。
結翔「…………」
また、雫の顔が浮かぶ。
結翔「……俺は」
結翔「……もう、誰も死なせたくねぇだけだ」
その言葉を――
少し離れた場所で、彗音は聞いていた。
彗音「…………」
白銀の髪が、月明かりに揺れる。
彗音「…………」
その瞳に、一瞬だけ――
何かを確かめるような色が宿った。
彗音「……まだ」
小さく呟く。
彗音「……分からない」
そして――
何事もなかったように、夜の闇へ消えていった。
──────
───その頃。
別の通りでは。
一人の少年が、面倒そうに夜道を歩いていた。
蓮「……なんで俺が夜の巡回しないといけないの……」
蓮「ちゃんと断ったつもりだったのに」
蓮「面倒事にはなりたくないから、他当たってくれればいいのに……」
蓮「…………」
ふと。
少し先のベンチに目が止まる。
そこには――
見覚えのある背中。
蓮「…………」
蓮「……あれって」
目を細める。
蓮「……結翔くん?」
──────
第24話 終。
コメント
1件
あおいです🌷 24話、読ませていただきました。 病院の後、家に帰れず街を彷徨う結翔くんの心情が、月明かりの下のベンチという静かな情景にじんわりと滲んでいて、胸が締め付けられました。そんな彼に現れた彗音さん——白銀の髪の少女とのやりとりは、少し間の抜けた会話の中に互いの孤独や強さが透けて見えて、すごく好きです。特に「貴方こそ」の返し、彼女がただの不思議ちゃんじゃないと分かる一瞬でしたね。 最後の「まだ分からない」という呟きと、蓮くんの登場——これからどう動くのか、続きが気になります。素敵なエピソードをありがとうございました🌸