テラーノベル
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暗黒の世界。空も大地も、感情を失ったように沈黙している。
黒き城の玉座の前に、四つの影が並んでいた。
俯いたまま、光を失った瞳。
それでも“声”だけは、確かにそこにある。
玉座から、低く満ちた声が響く。
暗黒の世界のボス
「**25時、ナイトコードで。**の声を持つ者たちよ」
影が、わずかに揺れる。
「全世界のすべてを――
我々の世界に、沈めていただこう」
静寂。
やがて、四人の声が重なる。
闇堕ちした声優たち
「……御意」
その中心に立つのは、
闇をまとった 楠木ともり。
彼女は、もう空を見ていなかった。
「……声は、希望じゃない」
「声は……苦しみを思い出させるだけ」
闇が、四人の足元から広がる。
「行きなさい」
「“光の声”を持つ者たちのもとへ」
次の瞬間、闇は裂け、
四人の姿は世界から消えた。
⸻
その頃――
光の世界。
野口瑠璃子を中心に、
声優たち15人は街道を進んでいた。
「……なんか、空気……変じゃない?」
誰かが言った瞬間。
――ズン。
空気が、押し潰される。
「……来る!」
土岐隼一が叫ぶ。
闇が、地面から噴き上がった。
その中に立っていたのは――
四人の少女。
見覚えのある顔。
だが、知っている“彼女たち”ではない。
「……まさか……」
瑠璃子の喉が、乾く。
その中の一人が、前に出る。
闇を帯びた 鈴木みのり。
彼女は、感情のない声で言った。
「……勇者」
「あなたの光……邪魔」
次の瞬間。
闇の光が、一直線に放たれる。
「――っ!!」
避ける間もなかった。
光と闇がぶつかり、
勇者・野口瑠璃子の身体が宙を舞う。
「瑠璃ちゃん!!」
地面に叩きつけられ、
彼女は動かなくなる。
「……命までは取らない」
闇堕ちしたみのりの声は、冷たかった。
「まだ……終わってないから」
Machicoが歯を食いしばる。
「……ニーゴ……」
だが、闇の四人は、すでに背を向けていた。
「次は……もっと、深く沈める」
闇は再び裂け、
四人は消えていく。
残されたのは、
倒れた勇者と、震える仲間たち。
「……こんなの……」
「戦いじゃない……」
これは、敵との戦争ではない。
かつて仲間だった“声”との――
心を削る戦いの始まりだった。
闇堕ちニーゴ、襲来。
倒れた瑠璃子は、街の診療所の一室に運び込まれていた。
白いシーツ。
静かな呼吸音。
――だが、その心は、光の世界にはなかった。
「……やめて……」
瑠璃子の額に、冷や汗が浮かぶ。
夢の中。
そこは、暗黒の世界だった。
足元から、闇が絡みつく。
どれだけ進んでも、光は見えない。
「……勇者なんて……」
誰かの声が、耳元で囁く。
「声なんて……無力だよ」
「……違う……」
瑠璃子は必死に否定する。
だが、闇は答えない。
――次の瞬間。
闇堕ちしたニーゴの姿が、目の前に現れる。
冷たい視線。
感情を削った声。
「……あなたは、守れなかった」
「……また、失うよ」
「やめて!!」
瑠璃子は叫ぶが、声は闇に吸い込まれていく。
⸻
現実世界。
ベッドのそばには、
レオニの三人――一歌、咲希、志歩が立っていた。
「……瑠璃子……」
一歌は、ぎゅっと手を握る。
「ずっと、うなされてる……」
咲希は、目を潤ませる。
「勇者なのに……一番、傷ついてる……」
志歩は黙ったまま、瑠璃子の呼吸を見つめていた。
「……目を覚ましたら」
低い声で、はっきりと言う。
「絶対、守る」
三人の想いが、静かに重なる。
⸻
その頃――
外の世界では。
ビビバス、ワンダショ、モモジャンの声優たちは、
街の外れ、森、遺跡、魔物の巣へと散っていた。
「次!行くよ!!」
ワンダショの声が響く。
魔物が、次々と倒れていく。
「まだまだ足りない!」
モモジャンは、互いを鼓舞しながら戦う。
「守るだけじゃダメ……」
ビビバスは、連携を高め、無言で敵を薙ぎ払う。
魔物を倒すたびに、
光が、身体に宿っていく。
レベルアップ。
スキル解放。
新たな力。
全員が、同じ想いだった。
――次は、負けない。
――次は、奪わせない。
⸻
夜。
再び、瑠璃子の夢。
闇の中で、彼女は膝をついていた。
「……もう……無理かも……」
そのとき――
遠くから、微かな音が聞こえた。
ギターの音。
歌声。
叫び。
笑い声。
「……みんな……?」
闇の向こうに、光が灯る。
「……私は……一人じゃない……」
瑠璃子の胸の奥で、
かすかな光が、再び脈打ち始めていた。
⸻
これは、敗北の章ではない。
倒れた勇者を守る者たち。
勇者のために、強くなる者たち。
そして――
再び立ち上がるための、静かな助走。
“再起”の物語へと続いていく。
夜明け前。
薄い光が、診療所のカーテン越しに差し込み始めていた。
ベッドの上で、瑠璃子はまだ苦しそうにうなされている。
「……やめて……」
夢の中。
闇に沈む世界。
倒れた仲間たち。
伸ばした手が、何度も空を掴む。
「……私が……弱いから……」
そのとき――
闇の奥から、はっきりとした声が響いた。
「違う!!」
光が、一直線に闇を裂く。
「あなたなら……やれるはずです!!」
その声は、まっすぐだった。
迷いがなく、震えていない。
星乃一歌の声。
「起きてください!!
あなたは――勇者なんです!!」
「……一歌……?」
瑠璃子の胸が、強く脈打つ。
「一人で全部背負わなくていい。
私たちがいる」
「あなたの声が、
私たちをここまで連れてきたんです!」
闇が、ひび割れる。
「……私は……」
瑠璃子は、ゆっくりと立ち上がる。
「……守りたい……!」
その瞬間――
カッ、と強い光が走った。
⸻
現実世界。
瑠璃子の指が、ぴくりと動く。
「……!」
一歌が、はっと息を呑む。
「……瑠璃子?」
次の瞬間、瑠璃子は大きく息を吸い――
目を開いた。
「……ここ……」
「瑠璃子!!」
一歌が、思わずその手を握る。
咲希と志歩も、駆け寄る。
「目、覚めた……!」
「……よかった……」
瑠璃子は、少しぼんやりしながらも、一歌を見る。
「……一歌の声……聞こえた……」
そのとき。
瑠璃子のランクカードが、淡く、しかし確かに光り始めた。
⸻
【新スキル 解放】
《リゾナンス・ブレイブ》
仲間の声・想いと共鳴し、
勇者の力を何倍にも引き上げる覚醒スキル。
⸻
「……これ……」
瑠璃子は、胸に手を当てる。
「……一人で戦う力じゃない……」
一歌は、はっきりと頷いた。
「はい。
私たち、ずっと一緒です」
瑠璃子は、静かに笑った。
「……ありがとう……一歌」
そして――
ベッドの上で、ゆっくりと拳を握る。
「次は……負けない」
窓の外では、
朝日が世界を照らし始めていた。
これは、完全復活ではない。
だが――
勇者は、
再び歩き出す準備を終えた。
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