テラーノベル
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ギルド前の広場に、朝の光が差し込んでいた。静かだった空気が、次第にざわめきに変わる。
「……来た」
誰かが呟いた、その瞬間。
森の奥、街道の先、遺跡の影――
それぞれの方向から、仲間たちが姿を現した。
装備は新しく、立ち姿は以前よりも力強い。
纏う空気が、明らかに違っていた。
⸻
ギルドの前に立つのは、受付人の上田麗奈。
だがその表情は、もはや“案内役”ではない。
「全員、よく戻ったわね」
澄んだ声が、広場に響く。
「これより、正式に指令を出します」
その一言で、全員の背筋が伸びる。
「次の戦いは、これまでとは次元が違う。
相手は――“声を奪う側”そのもの」
「でも、今のあなたたちなら……戦える」
上田は、まっすぐ瑠璃子を見る。
「勇者を、支えられる」
⸻
その横で、中島由貴はしゃがみ込み、
広場に集まってきた動物たちに優しく話しかけていた。
「大丈夫だよ。
もう怖くない」
小鳥、犬、馬――
それぞれが鳴き声で応える。
由貴のランクカードが、静かに光った。
【レベルMAX到達】
「……全部、聞こえる」
「この世界の“命の声”」
由貴は立ち上がり、瑠璃子に微笑む。
「もう、迷わない。
私が、みんなを繋ぐから」
⸻
一方、訓練場。
息を切らしながら、最後の一撃を放つ磯部花凜。
「……はぁ……はぁ……」
魔物が倒れ、光が弾ける。
【レベルMAX到達】
花凜は、膝に手をついてから、ゆっくり顔を上げた。
「……体力も、気持ちも……
ちゃんと、追いついた」
「次は……守られる側じゃない」
⸻
やがて、全員がギルド前に揃う。
レオニ。
モモジャン。
ビビバス。
ワンダショ。
秋奈、ジェナ、文也、健人、土岐。
そして――勇者・野口瑠璃子。
瑠璃子は、みんなを見渡し、深く息を吸った。
「……ありがとう」
「私が倒れたとき……
みんな、前に進んでくれた」
拳を握る。
「今度は――
一緒に、取り戻しに行こう」
その言葉に、全員が頷く。
「準備は整った」
上田麗奈が、最後に告げる。
「出発よ。
暗黒の世界へ」
光と声が、重なり合う。
これは、再集合ではない。
決戦前夜の、完全な集結。
“負けない物語”が、再び動き出した証だった。
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