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今日はどっと疲れたせいか、手も足も動かしたくないもの。しまいには眠くなってしまう。
部屋に差し込む淡い光を感じながら、フロアライトに身体の一部を照らされる。
「あぁ、、、明日にはもう異国へと向かうのかぁ」
なんともないただの平凡な日常が、一変するとわかる時点でなにかしら変わっていたのかもしれない。
前は、こう、毎朝7時に起きては学校に行く。そして、ペンを持ちチョークで黒板に書く先生の後ろ姿を模写する。
帰ったら、次のテストに向けて赤点がつかないように最低限の勉強をし、趣味に残りの時間をついやす
そんな凡庸な日常は今日で終わりだなんて信じがたい。
異国の言語が分からないドイツなど、知的で気品ある愁いをたたえた国であった。
何百年も昔の歴史が。現在も息衝いている。
2度目の人生を歩む感覚は、どれをとっても違和感がある。失敗は侮れない人生で、俺は一体なにをしたいのか。
『 い』
『 おい。』
『優斗、起きろ。』
頭の隅に、ひとつの聞いたことのある声が何度も響く。水中で出す声が、次第に段々鮮明に聞こえるようになった。
「zzz、、、ウガッッ!、、、い”った!」
『あやっと起きた。随分と間抜けな顔だね』
「、、、???へ、え、、、れ、蓮??」
『蓮ですよー』
いきなり腹部に大きな衝撃を感じて、一気に現実へと引き込まれる。
うっすらと目を開けると蓮が見えた。どうやら片脚を俺の腹部に乗っけて起こしてくれたらしい。
上半身を勢いよくあげて額を掻く。
、、、蓮だぁ
虚な目で顔を上げると、目と目が合う。彼の普段通りの顔を物憂げに見る。
「、、、え、何時いくの?」
『んー、あと20分後』
「な。え、ちょ、まって?ってことは7時半に出るってこと?」
『そうですね』
「まだお別れ会してないんだけど?!てか笑顔で言わないでよ怖いなぁ!」
『昨日の8時に連絡来なかった?リアンさんから連絡した気がするんだけど。』
「、、、。」
自分の服からほこりを払うように手を動かし、急いで脱衣所に向かう。冷水をバシャバシャ顔にぶっかけ、歯磨きをしながら髪をとく。
蓮は特に奇行せず、椅子に深く座って呑気に本を読んでいた。
「あーもう大変だよぉ。てかなんで家いんの?」
『鍵開けたままだったから。あ、一応後々、優斗の家のものも運ばれるんだよ。』
「ええ?え、え?ちょ、え、、、さ、さきに言ってくんない?それ。」
手をぴたっと止め、ドライヤーをオフにする。鏡越しに見える蓮と目を合わせながら、不満げな顔を晒す。彼の強キャラみたいな余裕ぶっこいている整った顔を、ちょっとばかり羨ましがった。
『ごめんね?説明不足でした』
「ちょっとじゃないもっとでしょ?」
こんな下らない会話をしてる時点で、時間ロスをしていることは知っている。さながら蓮が焦らないので、こっちまで落ち着いてしまうのだ。
「はぁほんと、イケすかない奴、、、」
『ははw』