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ードイツー
まだ初夏とは言え、ブランデンブルクに燦々と降り注ぐ正午の日差しは、一層シティをけたたましく輝かせるのでは、と思わせるほど麗かであった。
気温は11、12度であろうか。
この季節ドイツは、ヨーロッパの富豪や観光客が浪漫色の太陽を求め押し寄せる頃合いである。
大都市ベルリンはこの季節にこそ、ヨーロッパの大富豪たちの絢爛たる生活が繰り広げられることがすくなくなった。
だが、それらに気位と誇りと流麗な美しさは満ちていても、成り上がり者に見られがちな醜悪な派手さは少ない。
「おっわー!すっげー、!蓮見ろ!」
優斗は飛行機の小さな扁円から見下ろす。その眼差しは、太陽に負けない程に頑なな意志を貫いていた。
「、、、蓮?」
蓮の声が聞こえないことで、意識が彼の方に行く。
「え」
仕事の逆恨みでいつ56されても逃れはできない機内にて、目を閉じ今にでも寄りかかりそうな体制で寝ていたのだ。
そろそろ数分で着陸しそうな中、聞きなれないドイツ語が流れた。
俺は、英語もままならない公用語が英語でもない異国の地で、果たしてやっていけるのか。という不安があった。
ーベルリン ブランデンブルク国際空港ー
ドイツという馴染みのない地に、あしを着かせる。言語もわからないため、英語で記載されている書籍も看板も、目眩をするのにとっておきの場所である。
周りの気さくなお喋りも、優斗にとってはとてつもない圧へと変化するのも無理はなかった。
「なあ蓮。」
『はい』
「お前、英語いける?」
『いけるけど、、、?』
「だもんなあ、そうじゃなかったら海外の学校行ってないかぁぁ!」
ちょっぴり安心した。
安堵した束の間、すぐそばにいた恐らく案内人であろうお方は話かけに来た。
〈hello〉
「は、ハロー、、、」
蓮の背後にギリ隠れながら、あはは、、、と情けない声で答える。やはり、ALTの先生でもない完全にネイティブな人と話をするというのは、俺には向いていないのかもしれない。
『hallo. ich kann deutsch sprechen』
〈verstanden.also—〉
「???」
突然聞きなれた声が異国の言葉を話していた。
え、?
疑う様な目で、スラスラと話す黒瀬蓮の後ろ姿を見る。
この2日間、あっと驚かさられる此方の身にもなって欲しいものだ。など、共感を求める眼差しで訴える。
もはや何語なのかも分からない会話を、ひそりと聞き耳を立てるかのよう、挙動不審な動きをしながら待っていた。
『danke,schön』
〈bitte,schön〉
案内人だと思ってた人が、俺と蓮から離れていく。
「え、終わった?」
『終わりましたよ。』
「えなにお前ドイツ語いけんの?」
『4ヶ国語は』
「ひえ、、、」
改めてこいつの凄さを実感したものだ。
空港を出るや否や、蓮は辺りを見回した後愛しい人を見つけたかのように、その人のところへと歩いていく。
「、、、?」
『こんにちは。』
[はー待ちくたびれた。どんだけ待たせんだよ。]
え、、、っ
口悪!
陽キャ独特の癖ついたセンター分け、緑髪の如何にも不機嫌そうな顔をしている男が、射竦めるような眼で見てくる。
[なんだ、そいつは?]
「ぁ、、、っ」
『俺の友人です。』
[あー、あのなんだっけ、クワガタみたい]』
「久那山です。」
咄嗟に声が出た。
クワガタじゃないし、久那山だし!
一体誰なんだよ!
彼の目つきと口調が気に入らなく、苛立ちが蓄積されていた。
[乗れよ。置いてかれたいのか?]
『失礼しますね。』
「ぐぬぬ、、、。」
黒色のまるで高級車に属していそうな車に、運転席には緑男。後部座席には蓮と俺が乗った。
『慧兄さん、毎回毎回頼んでしまってすみませんね。』
[別にいい]
「、、、?」
“慧 兄さん”、、、だと?
似つかない2人を交差に凝視し、せっかくならと蓮に訊く。
「え、兄さん?」
『、、、?あぁ、俺も含めて周りの人は全員、“慧兄さん”って呼んでるんです。彼の血縁関係は、妹しか居ませんよ。』
チピチピチャパチャパ、、、ああいかん。宇宙にほっていかれそうになってしまった。
バックミラーからみる彼の顔は、フンと気取ったような表情を見たも同然、分からせたくなってきた、、、。
「あの、、、えっとぉ〜」
名前呼びにくっ!
[、、、前野 慧]
「慧さんって、、え、あ、何色が好きですか」
『?』
[は?]
「、、、?」
はっと目を見開き、慌てて口を両手で塞ぐも、時すでに遅し。同じ日本人として仲良くできたらなと期待を寄せて、何か質問してみようかと思った矢先、最も重要でないくだらない質問をしてしまった。
[緑]
あっ、答えるんだ、、、。まさか、クソ生意気そうな顔してるのに、答えるんだぁ。とむしろ感心してしまうほどだ。
[着いた。]
『どうもー』
街並みとて、たいそう賑やかであると思ったが雰囲気と家の形状が違うほか、変わりはなかった。
車を止められ、蓮に横から押されながら降りる
[んじゃ頑張れよー]
『色々とありがとうございました。』
「、、、え、俺どうすればいいん?」
『?同棲ですよ?』
「え、?」