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タイムアウト中、息を整えてると烏野が視界に入った。思い詰めたような雰囲気もあるけど、何より「負けたくない」という気持ちがひしひしと伝わってくる。
侑「にしても摩浪」
摩浪『はい?』
侑「さっき叫んだな〜」
摩浪『あ、』
思い出した。俺あの時、くっそ生意気な口調で先輩らにヤバいことを言ってしまった。
摩浪『申し訳ありません(・-・)スンッ』
角名「オホッw」
銀島「驚いたで。あんな大声出せたんやな」
摩浪『あの時、あっちに流れを持っていかれる予感がしたんです。ブレイクでもマッチポイントでもない、あの1点、取られたらヤバいって』
立ち上がり体を軽く動かしてると烏野側から翔陽の声が聞こえてきた。そんで烏野全員が笑っていた。
摩浪『アレなんだよ、俺も、何回もあの明るさに助けられた』
タイムアウト終了
サーブは俺から。右手に力を込め相手コートにボールを叩き落とす。
西谷「よっしゃあい!」
摩浪『ナイスレシーブ!』
何でだろ悔しくない。むしろ興奮してギア上がってきた。これは良いかも。あっちのスパイクが決まった後、笛が鳴りメンバーチェンジ。北さんが持っている札には8番、俺の背番号があった。
北「ギアが上がって来た頃やろ?」
摩浪『正解です』
北「それでええ」
摩浪『アンタが入るのは守備強化じゃない。監督の、いや、稲荷崎最大の攻めです』
北「ふはっ笑。そこまで言われたんなら期待を裏切る訳にはいかんな」
摩浪『ファイト』
北「おん」
北さんがコートに立つ。長いラリーが続き、飛雄と蛍の速攻が合わずミス。この試合、蛍は白鳥沢戦に比べかなり飛んでいてそろそろスタミナが限界に近くなっているのかもしれない。でも次は修正してきた。
そして東峰さんのサーブ。こっちがリードしてるしプレッシャーはかなりあると思う。サーブくる、勢いがさっきの比じゃない。これには北さん達も動けなかったみたい。結果はIN[20-19]
もう一度東峰さんのサーブがくる。次は確実に拾えるって分かってるけど俺は叫んだ。
赤木&摩浪『信介ッ!/北さん!』
上げた、やっぱり北さんは凄い。そこから、またも双子速攻が発動された。でも合わない。
摩浪『フォロー!!』
叫んだ瞬間、北さんがフォローに入り相手コートに返る。そして烏野シンクロ攻撃。跳ぶ、跳ぶ、そして最後に跳んだのは澤村さん。北さんがレシーブしたボールは横断幕に当たる。[20-20]
あーヤバいヤバい。会場中の熱気と、コート内外に立っている選手から伝わるヤル気。これが俺の中でガンガン響いて、俺を奮い立たせてる。
東峰さんサーブ、ネットインで入り赤木さんがレシーブ。でも前衛の蛍に叩かれ落ちる。[20-21]
摩浪『(早く俺をコートに立たせて、ここに立っていたいんだって言わせて)』
タイムアウト終了後、こっちの攻撃が決まり治さんにサーブが回ってきた。しっかり烏野コートに入りラリーがはじまる。
摩浪『あはっ!(やるって思うだろ?でもな)』
治さんがトスを上げた先には尾白さん。
侑「(ブロック1,5枚や!!)」
強烈に決まった[22-21]
摩浪『ナイスキー!』
2回目のサーブ。烏野もやられっぱなしでは無い。田中さんのスパイクもブロックアウトで烏野が得点[22-22]
あっちは今ブレイクしたいはず。でも簡単にブレイクさせない。侑さんのツーが決まった[23-22]
黒須「摩浪、行ってこい」
摩浪『はい』
監督に背中を押されコートへ。
摩浪『勝ちますよ』
北「おん」
すれ違いざま短い会話をする。彼のおかげで今の稲荷崎は良好だ。尾白さんサーブは東峰さんを崩した。返ってくる、この勢いをそのまま俺の武器に。
床を蹴り、ボールを打つ[24-22]
摩浪『ナイッサー!』
尾白「ナイスキーや!」
烏野がサーブを上げ飛雄のトスから田中さんの攻撃へ。3枚ブロック揃え跳ぶ。大耳さんの手に当たりコートへ落ちる瞬間、西谷さんがスーパーレシーブ。
またボール上がる走れ、次に上がるのは絶対アイツだ。これは勘でも想定でも無い、確信だ。
日向「お前速すぎ!!」
摩浪『お前にだけは言われたくねぇ!ワンチ!』
直ぐに着地し助走にはいる。レシーブ乱れたけど侑さんはえげつない体勢からセット。
日向「ふんぐっ…!」
摩浪『遅くなってんじゃないぞ翔陽!』
日向「うっせぇ!」
クロスに打ったボールはまた西谷さんが繋ぐ。次はブロックしないと。速く走れ、走れ。
飛雄のアンテナまで伸びるトス
影山「(スパイカーに選択肢を)」
摩浪『(あぁ、来る来る。ヤバめのストレート)』
田中さんは、この崖っぷちで際どい1本を決めてきた。この終盤で、あんなスパイク打ってきた、しかも飛雄が変わった。
稲荷崎マッチポイント。飛雄は集中を切らすことなくサービスエースをもぎ取る。2本目、サーブを前に落としてきた。治さんが出遅れたがレシーブし烏野のチャンスボール。そっから、ど真ん中変人速攻が再び決まる。
3本目は尾白さんが上げた。俺は助走に入り侑さんに声をかける。攻め時はいつだって今なんだ。
摩浪『レフト!』
侑「摩浪!」
何回だって跳ぶんだよ俺は。俺らが勝つまで跳ぶことをやめない。ストレートに打ち得点[25-25]
長いラリーが続く。俺も跳んでスパイク打つ。上がって上がって飛雄が翔陽に繋ぐ。一瞬、失敗かと思ったけど足を使ってコートにボールを落としてきた
影山「文句を言えよ」
日向「文句?なんで?次もくれ」
翔陽のこの言葉を聞いて俺は笑ってしまった。
摩浪『あっはは!』
稲荷崎&烏野「?」
摩浪『お前、本当に容赦ねぇなw』
日向「そうか?おれからすれば摩浪もだぞ」
摩浪『だろうな。さて、ラストスパートだぞ翔陽!楽しもう』
日向「おう!勝つのはおれ達だ!」
摩浪『勝てるもんなら勝ってみろよ!』
ワンプレーごとに俺と翔陽のギアが上がる。侑さんのサーブターンがやってきた。澤村さんがオーバーで触れた瞬間、彼の手元でボールが浮きコート外へ[27-26]
澤村「毎回こんなのばっかだなぁ!」
摩浪『(笑ってるよ。でも、俺も笑ってる)』
ああいうのを見ると俺も心が奮い立つんだ。深呼吸をし目の前を見る。侑さんサーブ、次は拾われた。ネットを越えかけたボールを飛雄は上げる。
摩浪『10番!』
角名「上げんのかーい」
ブロック跳ぶけど中央突破された[27-27]
侑「ハッ」
治「何なん」
侑「アイツはセッターを信じとるんやない。ただ思っている、上がってくると思っている。「お前は上げるやろ?」って」
治「それの何が変なん」
侑「……。どいつもこいつももっと他人を慮れ!!」
摩浪『おぅ』
治「…?…オモロないで。人でなしが言うとるん…?」
侑「ボケたわけやはいわっ!!」
侑さんの言うことも一理ある。でも翔陽はちゃんと飛雄を信じて飛んでる部分もあると思うな。
「前、前っ!」
「治!」
角名さんのスパイク。蛍は叩き落とすまではしないけど、1セットと2セット目を使って伝えたから。
後ろには翔陽がいるんだ。
3セット目終盤、そろそろ終わりが近づく。でも止むことのない熱気と躍起は“宴”を盛り上げる。