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次に竜馬はハムスターのゲージを覗き込んでいた、活動時間中のゴールデンハムスターのハム太郎が、軽快に回し車の中で走り、カラカラ回している、それをやはり竜馬が顔をしかめて見ている
「それじゃあ、何かしら折り合いをつけよう」
竜馬は腕を後ろに組んでさりげなく言った
「折り合い?」
「実は君に教えて欲しい事がある」
それが人にものを教えてもらう態度かしら?ジェニは心の中で思ったが、あえて口にはしなかった
「(ファンタスティック色白)の動画広告を作った人物に会いたい」
竜馬の単刀直入な質問に、ジェニが目を何度もぱちくりした
「私よ」
竜馬が大きくため息をついて力なく笑った
「おいおい・・・ちょっと待て、いくら社長の妹だからといって、他人の手柄を横取りするのはモラル違反だよ」
「まったく同じ意見よ、初めて気が合ったわね、正確に言うと私が企画立案して、絵コンテを作成して、あとはうちのクリエイターチームに作成させたの」
いきなり竜馬に手を掴まれてジェニはギョッとした、竜馬はジェニの手をマジマジと見つめている
「爪はちゃんと落としたんだな・・・」
「誰かさんが細かくネイルまで規則に入れるからね、ええ!落としました!これでご満足?離してっっ」
バンッと壁に背中を押しつけられ、そのまま彼が覆いかぶさってきた、彼がジェニの顔のすぐ横の壁を大きな音を立てて叩いたものだから、思わずその音にジェニの体がビクリと跳ねあがる
―かっ・・・壁ドン?―
「僕を怒らさない方が良いぞ!」
すぐ近くに彼の顔が迫る、なんなの?これ、怖いんですけど、皮肉も一切通じない彼の全身から発散される男らしさと怒りに身がすくみあがる
ジェニは素早く考えを巡らせた、ここからコイツを突き飛ばして出口までダッシュしたら逃げきれるだろうか
「脅されてばっかりじゃ良い関係ができないわ、あなたってもっと和気あいあいとした雰囲気って作れないの?」
「そんな幼稚園児みたいなことを言ってるから、会社を買収されるんだ」
彼の自信に満ちた言い方が癪に障る、しかも彼の言う通りなのが悔しい、たしかに兄はもっと早く対策を講じるべきだった、ただ、それを松下竜馬に指摘されるとなぜか素直に受け止められない
だけど、ああ・・・近くで見ると、彼はどうしてこんなにハンサムなの?
竜馬は、怯えながらも怒りに瞳を燃やしている自分よりも頭一つ分小さいジェニのしなやかな体のラインを、淫らな視線で一瞥した、そしてさらにふくよかな唇に目をとどめた
今朝の会議で濃いメイクに勢いづいていた彼女ではなく、今は髪を高い位置でポニーテールにし、周りにふんわりほつれ毛を垂らしている、顔を洗ってノーメイクの彼女は、茶色いまん丸な目をさらに大きく見開いてこちらを見ている
桜色のぽってりした唇は、かすかに震えている、まるで生まれたての赤ん坊の様に無垢だ、それか捕獲したバンビだ、今朝彼女に初めて会った時に感じた欲望が燃え上がる、実に興味深い
不意にあたりの空気が息苦しいほど熱くなったのをジェニは感じた、じっと見つめてくる松下竜馬の目は、磁石のようにジェニの視線を逃さない、彼の目に激しい炎が浮かんでいる、きっと自分に怒ってるんだ
不思議とその真夜中色をした瞳を見つめていると、ジェニの体の芯がとろけそうになった、内心動揺したが、こんなに怒りっぽい男性も初めてだと思った
「人を解雇するのって楽しい?自分の力を誇示できるから?解雇された人の人生や生活なんて、あなたは何も考えていない、自分達の会社のために人生を捧げてくれた社員に対して、まるで使い捨てのゴミ扱いをするなんて人間じゃないわ!あなたは鬼よっっ!」
「鬼で結構!!社員が解雇されたら君達兄妹の責任だと自覚するんだな!」
竜馬が燃える様な眼差しでジェニの瞳を覗き込んだ、21階の窓に移されている夜景が彼の瞳に反射してキラキラしている、次の瞬間、オフィスの景色が彼の逞しい肩幅に遮られた
彼の顔が近づいてきている、何をしようとしているのか疑う余地はない、ぐいっと片手で顎を掴まれて上を向かされた、次の瞬間、竜馬はジェニに唇を押しつけて来た、不意を突かれたジェニが思わず彼の胸のシャツを掴んだ
竜馬の唇はジェニの口のすべてを貪りつくすかのように荒々しく探る、それは恋人達がするようなキスでなかった、完璧に自分の方が上だと相手に分からせようとしている、そんな支配的なキスだ
―冗談じゃないわ!この買収計画にキスが含まれているなら、受けて立ってやる―
竜馬が両手の力をゆるめて吐息をつき、ジェニの唇を離した、そして何か言おうとした瞬間、ジェニが彼のネクタイをぐいっと引っ張ってさらに唇を重ねた
ジェニは彼の首に両腕を回してさらに引き寄せた、口を開いて舌を滑り込ませてやった、途端に彼の体がこわばった、さずかにこれは予想していなかったらしい、するといきなり
「んんんんんっ!」
竜馬が本気のキスをジェニに返してきた
―ああ、すごい、何?これ!―
竜馬に情熱的に舌を絡めら取られ、腰をぐいっと硬い体に力いっぱい引き寄せられたものだから、ジェニの体がのけぞった、舌を絡め合っているうちに、二人を包む熱が一気に燃え上がり、そこに電気が走った
ジェニの世界が回り、クラクラした、それでも初めこそ暴力的だったキスは、次第に心地よい舌のダンスを踊り出した、キスを続けたくて彼に必死にしがみつく
なんとジェニは自分が興奮して濡れているのがわかった、こんなのは間違っている!しかしおなかに当たる、彼のスラックスの中で起きていることを見れば、彼もまたジェニと同じ様に興奮しているようだ
プハッ・・・と突然唇を離したのは竜馬だった
理性の力を総動員したような顔をしている、硬直したままどちらも動かない、ジェニは彼の両腕に挟まれ、唇が触れ合うほど近くの状態でお互いの唇を見つめている
ハァ・・・「言い争いをしている相手全員にこんなキスをするのか?」
彼が荒い息でジェニに尋ねた
ハァ・・・ハァ・・・「これまでこんなに言い争いをした人はあなたしかいないからそうかもね・・・」
酸素が足りなくてクラクラする、ジェニは酸素を求めて肩で息をしていた。心臓が爆発しそう・・・そこで彼のスマートフォンが鳴り、ジェニは解放された
去って行く彼を見つめながら・・・ズルズルと壁伝いに尻もちをつく
そしてジェニは今初めて気が付いた、自分が腰を抜かしていることを
コメント
1件
第15話、めちゃくちゃ熱かったですね!壁ドンからの強引なキス、でもジェニがネクタイ引っ張ってやり返すとこが最高でした。竜馬が「予想外」って顔してたのもツボ。怒りと興奮がごちゃ混ぜになって、最後に腰抜かすオチまでちゃんと笑わせてくる構成、好きです。続きが気になりすぎます!