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竜巻貝を倒した翌日……
ウィンベル王国の王都・フォルロワ―――
そこの冒険者ギルド本部で、私は家族と一緒に
依頼達成と竜巻貝の発見・討伐を報告していた。
「んで、その貝はどうしたんだ?」
「ツボ焼き……もとい、殻ごと火にくべて中身を
食べました。
お土産に一部冷凍してもらって持って来て
いますので、後でどうぞ」
本部長、ライオットさんが書類に何やら
書き込み、
「聞くところ、魚の卵の加工食品も出来たとか」
「ますます楽しみですねえ」
童顔の、腰まで伸びたブロンドの髪を持つ
女性に―――
秘書のような眼鏡をかけたミドルショートの
黒髪の女性が、ラッチの手を人形のように
振ってあやしながら話す。
「寄生虫対策として冷凍しなきゃいけないから、
すぐ食べられるってわけじゃないけど」
「3日もすればギルドの食堂に出るであろう。
それまでの辛抱じゃ」
同じ黒髪を持つ女性、アジアンチックな
幼い外見の女性と、モデルのような体形の
妻二人が『たらこ』について語る。
「そういやシン、貝殻はどうしたんだ?」
「以前、カリュブディスの貝殻を提供した漁村が
欲しいと言っていましたので……
今はその隣りに置かれているかと」
白髪交じりのグレーの短髪を持つ、アラフォーに
見える本部長は、トントン、とテーブルを指先で
叩き、
「もしかして、何かに必要でしたか?」
「ん? ああ、そういう事じゃねぇんだ。
ただ新しい漁場を作るって話だったし、
その目印にちょうどいいと思ってよ」
なるほど―――
確かにあの巨大なサザエの貝殻は目立つ
だろうし、シンボルとしてはぴったりかも
知れない。
「そういう事でしたら……
後で私が交渉しましょうか?」
「おう、頼むわ。
そこを中心に漁場のための拠点を広げるって
事になるだろうし、ちゃんとそれなりの利益や
利権は渡すつもりだから」
さすがに組織のトップ。
そういう根回しや話の持って行き方は
心得ているようだ。
「それでシンさんたちはいつまでこちらに?」
サシャさんがラッチをあやしながら
聞いてきたので、
「2・3日はこちらにいようかと。
王家直属の研究機関から、いくつか見て欲しい
物があると頼まれていますし―――
それに『たらこ』も食べられるように処理
してから、公都に戻ろうと思っていますので」
「なるほど……
ではその間、ラッチちゃんは王都にいると
いう事で……」
ジェレミエルさんがニヤニヤしながら語る。
「まーここにいる間はお任せしますけど」
「ラッチは公都でも人気であるし、あまり
おらんと子供たちに寂しがられるでのう」
メルとアルテリーゼが呆れ気味に答え、
依頼完了の手続きを終わらせた。
「おお! シン殿ですか。
お待ちしておりました」
王都の中にある施設で、研究者のような白衣を
まとった複数の人間が出迎えてくる。
ここは王家直属の研究機関であり―――
以前ソーメンや、鑑定などでお世話になった
事もある。
魔導炊飯器や扇風機も彼らの手によるもので
あり、私の知識から元の世界の品物を再現して
もらってもいた。
「乾麺ですが、今はソーメンの他にソバ、
ウドン、パスタなども製作出来ましたよ」
「ホット・ストーンを用いた暖房器具も、
間もなく完成の見込みです」
話しかけられ、それに対応しながら……
この研究機関のトップ、所長の部屋へと
足を進めた。
「来てくださいましたか、シン殿」
「ええ。いろいろと頼んでおきながら、
めったにこちらに来ないので申し訳なく」
痩せた白髪の老人―――
リオレイさんに会釈する。
この人がここの研究機関の所長であり、
またあらゆる王家の計画を知る立場にも
あるという話だ。
そして私が異世界人であるという事を知る、
数少ない人物でもある。
なので室内は今、この人と二人きりだった。
「おや? 今日は美人の嫁さんたちは
来ていないのかね?」
「はい。
王都での買い物があるとかで」
メルとアルテリーゼは公都の女性陣から頼まれた
買い物のため、私は単独でここへ来ていた。
「ははは、今や王都もいろいろと物が増えた
からのう。
じゃがそのほとんどは公都から来た物……
欲しい物があるかのう?」
「そうでもありませんよ。
作り方や実物さえあれば、人はいろんな
手を加えるものです。
現に服や食べ物も、見た事が無いものが
たくさんあって面白いです」
実際、王都で見回った時に見た料理の中に、
具を卵でとじたオムレツらしきものや、
麺類をご飯にのせた丼ものや、またキャラ弁当の
ように外見重視の創作料理もあった。
「それじゃ、一通り見てもらおうかの」
そこで私はリオレイ所長の案内で―――
研究結果もしくは研究中の物を見せてもらう
事になった。
「チョコレートバーですか。
もうこんな物まで」
「比較的簡単な物から取り組んでおります
からな。
しかし塩と砂糖が保存効果が高いのは
知っていましたが……
油もそうだとは」
カカオもすでに王都周辺で栽培されており、
それにドライフルーツを混ぜた物を試食する。
「基本的に物が腐るのは菌と空気によってです。
極論すれば、そのどちらも存在出来ない
状態にすれば、保存期間は長くなります」
「腐敗と酸化ですな。
いやしかし、新たな知識で先人の知恵が
証明されているようで、わしゃ年甲斐もなく
ワクワクしておりますぞ」
老人の言葉に私はうなずく。
異世界とて、先人から築き上げてきた経験や
技術というものがある。
例えば連作障害なるものも知られていたし、
その対策もしていた。
試行錯誤をしながら、判明した方法を子孫に
伝えてきたのだ。
ただ地球とは異なり、魔物という存在が
いる以上、生産に割けるリソースはどうしても
少なくなり―――
魔法、もっと言えば攻撃魔法至上主義となって
いったのだろう。
いくら物を作ったところで、奪われたり
殺されたりしたら終わりだからなあ。
それと成人さえしていれば食事は必ずしも
必要ではない、という事情も後押しし……
食料生産は二の次となり、料理が発展しなかった
のは仕方の無いところだ。
「そういえば、各地への技術移転はどんな
感じですか?」
「穀物や野菜、また魔物鳥である『プルラン』、
水路で増やせる貝などは今のところ順調に
各領に導入されています。
ただ土地の向き不向きがあるので―――
そこは事前調査と相談の上ですな」
公都『ヤマト』には土精霊様がいるので、
どんな作物でも基本育つ&収穫が早いのだが、
さすがに各地になるとそうも行かず、
育成に向いた土地ごとに種類を分けている。
そして現状では、
・公都で何かしら作る
→王都へフィードバック・再現確認
→各領地へ推奨
という流れになっていた。
「以前はドーン伯爵領まで、各家が人を
派遣していたものですが……」
「ははは、懐かしいですなあ。
ですが今となっては、そうも言っておられん
でしょう。
各国や海の向こうまで相手にしなければ
ならないのですぞ」
元々はランドルフ帝国の脅威に対抗するために、
こちらの大陸各国で連合を組んだのだが―――
結局、戦争は回避され……
国々の結びつきが強化されただけに終わった。
そしてドーン伯爵様は前々から王国内の
取り引きに忙殺されていたのだが、
国同士の関係にまで発展すると―――
もはや一領主の手に余る状況となり、
またファム様を通じて王家と縁続きになった
事で、国家計画として格上げされ、王家が
主導する形になった。
正直ドーン伯爵様、何かの機会で会う度に
過労で『命削ってます』状態になっていたし……
それはそれで良かったと思う。
「ですがこうまで急激に技術や料理が
広がったのは、一重にシン殿のおかげで
しょう」
「いえ、そのような事は―――
それに、あれらは自分が思いついたわけでは
ないので」
私は腰を低くして答えると、
「ご謙遜なさいますな。
普通、あのような技術は独占するものです。
それがシン殿ときたら、何もかも
『来れば教える』ですからな。
しかも伝えるにあたり、その問題点……
メリット・デメリットについても言及する。
ドーン伯爵様や王家の信頼が厚いのも、
うなずけますよ」
それも元はといえば、魔法前提のこの世界―――
なるべく目立たないように、魔法を否定せずに
組み込むよう用心したのと……
またもしそれで生活している人がいた場合、
職を失わせて恨みを買わないようにとの配慮だ。
いわば保身・そして揉め事を回避しようという
日本人気質―――
それがそこまで褒められると何というか。
私が気恥しく思っていると、彼は模型のような
物を取り出して、
「これは?」
「シン殿が使者として行ってきたという、
天人族の里……
その水路を元に作ったものです。
現在は各地を結ぶ大型水路建設のため、
構想が進んでおります」
大型水路、いわゆる運河構想である。
確かに、今は陸路で馬車か歩きが交通の
メインだ。
ドラゴンやワイバーンはいるが、彼らは
航空戦力。
本来ならそうおいそれと、移動や輸送に
使うべき存在ではない。
魔狼ライダーもいるにはいるが、それこそ
護衛に回っても―――
荷物運びはさせられないものなあ。
「シン殿の知識の中に鉄道というものは
ありましたが……
今の技術を考えますと、再現は難しいと
思われます。
何より蒸気機関ですか。
構造そのものは非常に単純なので、
出来上がってはおりますが、
シン殿の言われる、それが世界にどういう
影響を与えるか―――
その予測がつくまでは王家から封印せよと
言われておりますので」
これも自分の意見が取り入れられている。
実際、地球では産業革命をもたらした
蒸気機関だが……
それを支える安い労働力を求め、子供や奴隷が
大勢犠牲になった。
ましてや人権という考えが無いこの世界で、
その技術を広めた時……
どれだけの事が起こるか、ある程度は想像が
ついてしまったのである。
物資についても可燃の燃料が多く消費され、
環境破壊を引き起こし―――
これはまあ火魔法があるので、何とかなるとは
思うのだが、
いわゆる温暖化問題がここでも起こらないとは
限らないので、見送りにしてもらっている。
「ただ流通に関してはまった無しなんですよね。
『ゲート』はあっても、大量の人員や荷物を
移動させるには限界がありますし、そもそも
緊急事態用ですので……
何とか通常の方法で、大量に物資を運ぶ方法を
早く構築しませんと」
「ええ。その切り札としての水路です。
土魔法と水魔法があれば容易に作れますし、
往復分に2つ用意すれば、流通がスムーズに
出来るでしょう」
私がふむふむ、とうなずいていると、
リオレイ所長はもう一つ模型を出してきて、
私は思わずそれを見て息を飲んだ。
「これは……」
「はい。シン殿の知識にあった―――
水道橋です。
これで各所を繋げる事が出来れば、
地上を関係なく進むことが可能になるかと」
その模型は文字通り水道橋。
つまり橋をかけるように高所に水路を作り、
日本の高速道路よろしく、高架上を船で往来
させるというもの。
これなら彼の言う通り、確かに地上制限を
受けない流通が出来上がるのだが、
「物資の問題は……」
「ラミア族の協力が不可欠でしょう。
そうでなければ、こんな計画は思いつきも
しません」
ただでさえ石材・木材は新たな町や都市作りに
使われる予定であり―――
そこに来て大量にインフラに消費する余裕は
ないだろう。
ラミア族は水魔法・土魔法が得意であり、
公都の簡易住宅はほぼ彼らの手によるもので、
内装以外の物資を必要としない。
そんな種族の協力を得られれば、
計画の実現レベルは格段に高まる。
だが問題が無いわけではない。
一つの種族に流通が握られるというのは、
今後ずっと彼らとの関係を維持しなければ
ならないのだ。
しかも彼らに定期的に土魔法をかけてもらい、
メンテナンスしてもらう必要も生じる。
そしてそれは同時に、彼らに主導権を譲るという
事でもある。
私がその危惧を彼にやんわりと伝えると、
「なるほど、そこは盲点でしたな」
「多少負担はあっても、石材や従来の物資で
作るべきだと思います」
「そうですな。やはりシン殿に話してよかった。
この構想は再考しましょう」
別にラミア族を信用していないわけではないし、
神経質過ぎる気もするけど……
新生『アノーミア』連邦のような失敗は出来れば
避けたい。
『境外の民』による顛末を聞いている
以上、慎重にならざるを得ないのだ。
(■124話
はじめての いせかいじん(かこ)参照)
模型を片付ける所長に、私は続けて
声をかける。
「コンクリートの再現は出来ましたか?」
「おお!
砂や砂利、その他の素材で混ぜると非常に
固くなるというヤツでしたな。
残念ながらまだ素材が判明しておりませんが、
それがあれば可能になるかも知れません!」
リオレイさんは素早く私の言葉をメモに取ると、
「あ、そうそう。
それと後で、畜産状況についても見学して
いって欲しいのですが」
「魔物鳥『プルラン』とかですか?」
「いえ、新たに家畜化出来ないかという事で、
ボーアやリザート、魔物系の牛や羊なども
飼っているんですよ。
それに魚のように巨大化出来ないものか……
という研究も行われております」
動物性たんぱく質の確保か。
それにプルランを飼う事が出来るのなら、
他の魔物も、と試すのは当然か。
巨大化はどうかと思うけど。
そして私は彼と一緒に、家畜研究施設へ
移動する事にした。
「おー、ボーアですね。
しかし巨大化させると言っても、どのような
方法で実験を?」
体高一メートルほどのイノシシ系の魔物を見て、
私はリオレイ所長にたずねる。
「魚は魔法の水で満たす、というのが判明して
おりますから―――
飲み水は水魔法で、後はなるべく水魔法の水で
育てた穀物などを与えています」
そうきたか。
考えとしてはその通りだと思う。
こちらの世界の穀物は水魔法で育てているが、
野生の魔物がその恩恵に預かれるはずもなく。
自然物でなく人の手と魔法が入ったもので
育てたら、結果は違ってくるだろう。
「……アレ?
さっき見たボーアって、ジャイアント・ボーア
ですか?」
「ええ、おそらくそうかと。
冒険者に依頼して生け捕りにしてもらった
ヤツです。
それがどうかしましたか?」
そこで私の頭に一つの疑問が浮かぶ。
ジャイアント・ボーアはこの世界に来て初めて
出会った&倒した魔物だけど、
結構大きかったような気が―――
それがさらに大きくなったら?
「だ、大丈夫なんですか?」
「ははは、万能冒険者でも心配ですか?
ですがここは王家直属の機関です。
万一に備えて、ゴールドクラスの冒険者の
方々も常駐しております。
まあいざとなったら、シン殿にお頼み
しますかな」
彼は笑いながら答え、羊や牛、ヤギなどの
魔物を見て回り、その後所長室へと戻った。
「ほお、魚卵ですか!
また新たな味が増えるのですね」
部屋に戻った私は、先日の依頼で『たらこ』が
新たに作られた事を話していた。
「鬼人族が作ってくれたんですけどね。
冷凍技術はすでにありますので、間もなく
食べられるようになるかと」
「なるほど。
そういえばシン殿、冷凍すれば大丈夫で
あるのなら……
川魚もいいのではないですかな?」
リオレイ所長に私は首を横に振り、
「実は川の方が寄生虫の種類が多いんですよ。
確かに冷凍すれば川魚も生で食べられると
思いますが、海の魚の何倍もの時間、
冷凍させないとダメだと思います」
というより、塩水=海水の中でも生きる事が
出来る生き物の方が特殊なのだ。
塩はそれ自体殺菌作用があるし、淡水なら
その分だけ生息出来る種類も多い。
「ふむ、そういう事情もございましたか。
それは残念―――」
と、そこで地響きのような音と共に部屋が揺れ、
「じ、地震!?」
「お、落ち着いてくださいリオレイさん」
彼に声をかけるのと同時に違和感に気付く。
普通の地震なら、ドン! と来て揺れが続くか、
それとも徐々に揺れてくるかだが、
今回は一回大きく揺れて後が無い。
何が起きているのかと窓に目をやると、
「え、アレ……」
そこには十メートルはあろうかという、
ジャイアント・ボーアがいて―――
特撮とかで巨大怪獣に出会ったらこんな感じ
だろうか、と思っていると、
「おお! ジャイアント・ボーアか!?
巨大化に成功したのか!!」
「いやあの、そんな場合では」
目を輝かせている所長に私はツッコミを
入れるが、
「それは大丈夫ですよ!
言ったでしょう、ゴールドクラスの冒険者に
待機してもらっていると……」
そう言う彼の前で騒ぎと共に、何人かの声が
聞こえてきて、
『オイ! ゴールドクラスはどうした!?』
『それが、冒険者たちを待機させていた部屋が、
最初のあの巨大化で吹き飛ばされて……!』
『くそっ!!
誰か冒険者ギルドと騎士団に連絡しろー!!』
そのやり取りを聞いた私とリオレイさんは
顔を見合わせ、
「あの、私がちょっと行ってきましょうか?」
「お、お願いします!!」
私はさっきまで見学していた現場に駆けだした。
「うわー……」
文字通り見上げる形でジャイアント・ボーア、
いや超ジャイアント・ボーアに近付く。
周囲を見渡すと他の魔物が入った柵や仕切りまで
破壊されており、このままだと被害は拡大する
一方だろう。
「ケガ人は!?」
近くにいた職員に話しかけると、
「わ、わかりません!
ただ待機部屋にいた冒険者たちが出てきて
いないところを見ると―――」
少なくとも動けない状態なのは間違いない
だろう。
これは一刻も早く事態を収拾しなければ。
「あなたはケガ人の救助、それに避難誘導を
お願いします!」
「シ、シン殿は!?」
「とにかく、アレを何とかしますので」
そして私は超ジャイアント・ボーアの足元まで
走って行くと、
私の存在に気付いたのか、ボーアもこちらへ
振り返った。
だがその様子を見るに、ボーア自身もまた……
巨大化した事に困惑しているのが窺える。
それはそうかも知れない。
誰だって自分がいきなり巨大になったら、
そりゃ混乱もするよな……
しかしそうも言っていられない。
巨大な事はイコール、被害も大きくなると
いう事だ。
そして相手は魔物、話し合いや説得に
応じてくれる可能性は限りなくゼロに
近く―――
「……すまない。
その巨体で、四肢のサイズ比で―――
自身の体重を支え、歩行出来る事など、
・・・・・
あり得ない」
謝りながら『無効化』の能力を使うと、
同時に“べきぃ”という嫌な音が聞こえた。
「プギィッ、ブゴッ、ピッ、ピイィーッ!!」
おそらく四本脚全てが折れたのだろう。
そのまま横たわり、悲鳴をあげる。
すると空から、
「シンー!! 大丈夫!?」
「そのボーアは何じゃ!?」
騒ぎを聞いて駆けつけてくれたのだろう、
ドラゴンのアルテリーゼに乗って、メルが
上空から私に向かって叫ぶ。
「メル、アルテリーゼ!
よく来てくれた!
相手はもう動けなくしたから、
とどめを頼む!」
私の言葉に彼女たちは地上へ降り立ち、
横たわった超ジャイアント・ボーアを見ながら、
「あー、まあ相手が悪かったねー」
「苦しみを長引かせる事もあるまい」
アルテリーゼはドラゴンの姿のままボーアの
首に嚙みつくと、巨大な魔物は絶命した。
「ありがとう。後は救援に回ろう。
壊れた建物や瓦礫があったら取り除いてくれ。
生き埋めになっている人がいるかも知れない
から、慎重に」
「りょー」
「わかったぞ」
その後一時間ほど、私たちは救助と支援の
手伝いに回った。