テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
上野文
9,610
都築七美
278
てく
1,872
「……どうした、いろり? やっぱり洋服は慣れねえから似合わ」
「写真を撮らせていただけますか」
「へ?」
「お写真をお撮りしてもよろしいでしょうかああ!!??」
「お!? お、おお、別にいいけどよ」
いろりはスカートのポケットから素早くスマートフォンを取り出すと、あらゆる角度から激しく連写した。それはもう、容量が大丈夫か心配になるほどの連写速度と回数であった。
「……あ、ああ、写ってます! 蛇珀様が写真に……!」
「どれどれ。……おお、本当だ、人間くせえ……って今は人間だったな」
スマートフォンに撮れた画像を確認しながら喜ぶいろりを見ると、蛇珀も嬉しくなる。
「……いろり」
「はい! ——んっ……」
同じ画面を見ていた蛇珀に名を呼ばれ元気よく振り向くと、不意に口づけされたいろりは驚きで一瞬固まった。
唇が離れると、蛇珀は少し意地悪そうに八重歯を見せて笑った。
「本物がいるのに画面に夢中だったからついな」
惚れ惚れする男ぶりにいろりは顔を真っ赤にし、頭から爆発音がした、気がした。
百恋と違い、蛇珀はいかに自分が魅力的な容姿の持ち主か無自覚である。
「じゃ、蛇珀様が心臓に悪い……」
「なんだ? 病なら治してやれるぞ」
「このままでいいです……」
「しかし髪がうっとうしいな、いっそばっさり切るか」
「え…………?」
いろりは世界の終わりのような顔つきで蛇珀を見た。