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💙青椒肉絲🧡
99
#あべさく
うめぼし
439
楪羽*yuzuriha*
1,542
翌朝、カーテンの隙間から差し込む柔らかな光が、春菜のまぶたを優しく叩いた。
ゆっくりと意識が戻ってくる。
まだ頭のどこかに昨夜の恐怖の残像が揺らめいていて、春菜は小さく身震いした。
(あ、そうだ。昨日は……)
恐る恐る目を開けると、視界いっぱいに、優しく、どこかホッとしたような温かい眼差しが飛び込んできた。
「あ、起きた。おはよ、春菜」
すぐ耳元で聞こえた、少し低めの、寝起き特有の掠れた声。
驚いて手元に目をやると、春菜の右手は彼の大きな手にすっぽりと包み込まれていた。
指を絡め合うようにして、しっかりと。
夕べ、激しいパニックのあとで泣き疲れてそのまま眠ってしまった春菜を、佐久間はベッドへと運び、一晩中、片時も離さず手を繋いで守り続けてくれていたのだ。
少し汗ばんだその手の熱が、それを物語っていた。
「よく眠れた?」
「ごめん、私が寝ちゃったから…っ」
「ううん、俺が一緒にいたかっただけ。おかげで俺、一晩中君の可愛い寝顔を独り占めしちゃった」
悪戯っぽく口角を上げて笑う佐久間。
その表情には、これ以上彼女を不安にさせまいとする極上の優しさが溢れていた。
繋がれた手を少しだけ握り返すと、佐久間は嬉しそうに目を細め、春菜の額に優しくおでこをコツンと合わせた。
「朝ごはん、作ったよ。簡単なやつだけどさ。……あ、その前に、少しお喋りしよっか」
佐久間の表情が、少しだけ真面目なものに変わる。
昨夜の事件をこのままにしておくわけにはいかない。
2人は朝食の前に、警察へ連絡を入れることにした。
「俺が電話して、昨日のこと全部説明するから。春菜は横で聞いてるだけでいいよ」
電話を取り出そうとする佐久間を、春菜は慌てて止めた。
「待って、佐久間くん。警察には私が話す。……佐久間くんのことは、伏せておきたいの」
「えっ? なんでだよ、あんな奴しっかり捕まえてもらわなきゃ困る! 俺がここにいたってちゃんと言えば、警察だって真剣に――」
「ダメだよ。佐久間くんは日本中が知ってるアイドルなんだよ? もし万が一にでも、あんな夜中に私の部屋にいたってことが表に出たら、佐久間くんの仕事やグループにどれだけ迷惑がかかるか……」
「…っ、でも、だからって…!」
佐久間は怒ったように声を荒らげた。
春菜のことが心配でたまらないのだ。
けれど、春菜も一歩も譲らなかった。
佐久間の真っ直ぐな瞳をしっかりと見つめ返す。
「私は大丈夫、本当に何ともないから。だからお願い、佐久間くんの立場を守らせて。私のせいで、佐久間くんが傷つく方が、私はいや」
真剣な春菜の様子に、佐久間は悔しそうに唇を噛み締め、やがて小さくため息をついた。
「……分かった。春菜がそこまで言うなら。でも、絶対に無理はしないで。辛くなったら、すぐ俺が代わるからね」
結局、佐久間の存在を伏せた状態で警察へ通報した。
警察の対応は、宅配業者への聞き取りと、周辺のパトロールの強化を行うというものだった。
「こういった事案は、現行犯でないと逮捕は難しい」というのが、警察からの話だった。
電話を終えた春菜の顔は、不安からどこか暗く沈んでいる。
それを見た佐久間は、静かに電話 を取り出すと、マネージャーに連絡を入れた。
「もしもし? あ、俺。今日の昼からの打ち合わせ、別日に変更できない? ……うん、ちょっと外せない用事ができてさ。あとの撮影には遅れないようにするから。頼む!」
手早く仕事を調整した佐久間は、振り返って春菜に笑顔を向けた。
「よし! 朝ごはん食べて、それから出かけよ?」
「出かける……? でも、お仕事は……」
「 調整したから大丈夫! ほら、新しくできた水族館、春菜が行きたがってたでしょ? 今日は一日中、楽しいことで頭をいっぱいにしよう!」
彼の提案に、春菜の胸の奥がじんわりと熱くなった。
コメント
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第6話読み終えたわ! 佐久間が一晩中手繋いで寝顔見守ってたの、優しすぎて胸にきた……「独り占めしちゃった」って悪戯っぽく言うのずるいわ。 春菜がアイドルの立場を守るために自分のこと優先して警察に伏せる決断したのも、めちゃくちゃ健気で泣ける。 お互いを守りたいって思ってる2人の関係性に、じんわりあったかくなった🔥 水族館デート、絶対楽しんでほしいな!