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妖狐のおふとん
41
考え事しているうちに眠ってしまったみたいで、窓の外が明るかった。
着替えをさっさとすませて、折り紙を折った。迪くんは、いつも猫の文房具を使っている。猫が好きだけど家がペット禁止で飼えないって話も何度か聞いた。だから、あたしは猫の折り紙を折ったの。四回折れば出来るような、こんなやつだけど…
『ごめんなさい』
裏にそれだけ書いて、クリアファイルに挟む。あたしは学校に向かった。
迪くんは朝っぱらから本を読んでいた。その横顔が、やたらきれいに見える。
「迪くん」「澪ちゃん、おはよう」
顔を上げて微笑んだ迪くんに、折り紙を渡した。
「わぁ、これ、猫だよね ありがとう!」
その笑顔に、見入ってしまった。迪くんが怪訝そうにしたから、慌てて顔を背けて席に戻る。その日は、友達とのおしゃべりにも身が入らなかったし、迪くんがこちらを見るたびにうれしくなってしまった。
帰り際、迪くんがあたしの席に近づいてきて、言った。
「澪ちゃん、これから…僕ともっ、仲良くしてくれる?」
緊張しているのか、声が裏返っている。
「えっ、あっ…」
なんだろう。これまであんなに嫌いだったのに、今は…今は…!
「…よろしく」
消え入りそうな声だったけど、迪くんはちゃんと受け止めてくれた。一緒に帰ろうって言った方が、いいのかな…
「これ、仲直りのしるし じゃあ、また明日!」「あ、また明日…」
逡巡しているうちに迪くんは、あたしに小さな折り紙の箱を渡して、走り去ってしまった。
そっと蓋を取ると、赤い絵の具が入っていた。
「そうだ、昨日使い切っちゃったんだった」
絵の具の蓋には、可愛い猫が小さく描かれている。迪くんの絵だ。
またこの気持ち。なんなのかな?心がふわふわして、まわりにあるものがきらきら輝いて見える。病気じゃないよね?パパとママに聞いてみようかな…あれ?
「パパとママ、朝に帰ってくるって言ってたのに…」
扉を開けた瞬間、公園のぼろぼろのブランコみたいなにおいがただよってきた。
「パパー?ママー?」
においはリビングからだった。ランドセルを下ろして向かう。
スーツが二着、赤い池の中に落ちている。茶色い長い尾が、ゆらゆらと揺れていた。
速報です。民家にて猫゛が発見され、○○市在住の尾黒翼さん・晴香さん夫妻が襲われました。近年増加している猫゛による事件。今月で10人目、11人目となる被害です。国の対策は…
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