らんは保健室で待っていたすちとみことを迎えに行き、3人で自宅へ向かう。
外は夕暮れの柔らかい光に包まれ、少し肌寒い風が頬をなでる。
家に着くと、静まり返った玄関に3人は首を傾げる。
普段はにぎやかなリビングも、なぜかしんと静かだった。
そっとリビングを覗くと、ひまなつといるま、こさめが寄り添い、眠っている姿が目に入る。
いるまはひまなつに体を預け、こさめはその隣で丸くなっている。
らんは思わず笑みをこぼし、息を殺して言った。
「めちゃくちゃかわいいじゃん……」
静かにスマホを取り出し、そっとその姿を写真に収める。
シャッター音も小さく、寝顔を邪魔しないように配慮して。
すちは少し肩の力を抜き、みことをそっと抱き寄せる。
「みんな、今日はよく頑張ったね」
らんは微笑みながら、写真を見返し、静かに呟く。
「……この家族、いいな」
その夜、奏家には静かな安堵と、ほんの少しの幸福が満ちていた。
そのとき――
みことがそっと近寄り、いるまの肩や腕をつんつんと小さく触る。
いるまは目を開け、薄暗い光の中でみことを見つめる。
「ん…帰ったのか、みこと…怪我はないか?」
いるまは心配そうに声をかける。
その声にひまなつも目を覚ます。
みことは無言のまま、そっといるまの頬に唇を寄せてキスをした。
その瞬間、いるまの体が一瞬硬直する。
リビングの端にいた、らん、すち、ひまなつは思わず息をのむ。
「え……なに……?」
みことは次にひまなつに視線を向け、ムスッとした表情で言った。
「…俺達のいるまくん、取らないで」
初めて見るみことの表情に、らん、すち、ひまなつは驚きを隠せない。
その無垢で少し拗ねた顔に、思わず誰も言葉を失った。
「取られねぇよ……馬鹿…」
いるまは静かに、でも力強く言うと、みことを抱き寄せた。
体を小さく丸めるみことをその胸に包み込み、安心させるように背中を撫でる。
悩んでたのが馬鹿みたいだと笑いそうだった。
ひまなつはそっと微笑み、いるまの肩に手を置いた。
「よかったな、いるま」
こさめは眠ったままだが、その温もりを感じ、静かに夢の中で安心した表情を浮かべる。
らんとすちもその光景に微笑み、家族の絆がまた一歩深まったことを感じていた。
___
その後食事や風呂を終え、それぞれが寝る準備を整えていく。
パジャマに着替え、歯磨きを済ませ、布団を敷く音が静かに響く。
みことは、右手でいるまをそっと握り、左手でそっとすちの裾を引っ張る。
「……どうしたの?」とすちが優しく尋ねる。
「……どした?」と、いるまも心配そうに目を細める。
みことは無表情のまま、ぽつりと小さな声でつぶやく。
「…一緒に寝たい」
その言葉に、すちは微笑む。
「いいよ、もちろんだよ」
「…しゃあねぇな」
その様子を見ていたこさめは、にまーっと笑いながら茶化す。
「みこちゃん甘えただ~」
みことは小さく頷き、肯定の意思を示す。
こさめは笑顔をさらに大きくし、両手を広げて言った。
「じゃあ、こさめも一緒に寝るー!」
ひまなつとらんも微笑みながら、布団を広げる。
やがて、リビングには6人分の布団が敷かれ、家族全員が自然に寄り添う形で寝ることになった。
みことは安心したようにすちといるまの間に挟まる。
こさめはらんの隣で丸くなり、ひまなつはいるまの肩に寄り添う。
夜の静寂の中、6人はようやく心から安らぎ、重なり合う温もりに包まれて眠りについた。
___
みことはすちといるまの間に挟まれ、深く安心したように目を閉じていた。
しかし、ふと目を覚ましたみことは、まだ眠れない様子で、そっとすちの肩に頭を預ける。
同時に右手でいるまの腕を引き寄せ、さらに密着する。
「……すち兄ちゃん、いるまくん、離さないで……」
か細い声でつぶやくみことに、すちは驚きつつも優しく微笑む。
「うん、離さないよ。安心して」
いるまも少し照れたように目を細めながら、みことの背中を撫でる。
「大丈夫だ、俺もずっとそばにいる」
こさめは既に寝ていたが、寝言でくすくすと笑い、ひまなつとらんも小さく微笑む。
誰も邪魔をせず、みことが安心して甘えられる時間が静かに流れる。
みことは両手で2人を抱きしめ、体を小さく丸めながらも、初めて心からの安堵と幸福を感じていた。
夜のリビングに、穏やかで温かい家族の空気が満ち、みことはようやく安心して眠りに落ちていった。
コメント
2件
ええもう黄さんかわいすぎます😏💋 でれでれで紫さんと緑さんに甘えてるのがかわいすぎます🧏🏻♀️🩷