テラーノベル
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晴明視点。
「……逃げた」
朱雀が不満そうに言う。
静寂。
みんなの視線が朱雀にいっている。
でも、
朱雀の視線は僕に来ている。
その視線。
暖かくて、
僕を包んでくれてるみたいな。
僕の中の緊張が解け、下を向く。
『………はぁー…』
息を吐く。
息を吸う。
繰り返す。
前を向き直した。
映るのは、さっきより距離が近い朱雀。
「晴明くん、大丈夫?」
いつもの声。
でも、目は少しだけ鋭い。
『……うん。大丈夫』
朱雀の視線が僕を射止める。
「嘘だね」
笑う。
「そういうの分かるよ~?」
少しの間。
「……僕には。ね。」
更に力が抜けた。
膝から崩れそうなほど。
「ちょっ…危ない……」
朱雀が駆け寄り、
僕の体を支えてくれた。
『……ありがとう』
一瞬、きょとんとする。
それからふっと笑った。
「なにそれ」
嬉しそうな声と表情。
体が引き寄せられ、
ぐい、と距離が詰まる。
『……わっ』
抱きつかれる。
熱い。
炎じゃなくて体温で。
「ちゃんと呼んでよ」
「最初から。」
肩に顔を埋められ、
ぎゅっと腕が締まる。
「僕、来るんだから」
その一言。
安心する。
僕も腕を朱雀の背に回した。
『……朱雀』
名前を呼ぶ。
朱雀は少し満足そうに笑う。
「うん?」
顔を上げる。
近いのがさらに分かる。
目が合う。
いや、逸らせない。
………でも、
それが心地良かった。
こんなに真っ直ぐ今の僕を、
僕自身を見てくれる人は。
『……僕を見てくれるのは』
『朱雀しか居ないよ…』
朱雀の目が一瞬見開かれる。
でもすぐに、細くなった。
子供のように笑った。
否定しない。
否定されない。
それが、
胸に染みる。
「そっか」
「僕しか居ないんだ?」
コメント
2件
共依存?かなすごい尊かったよ〜!晴明も朱雀しか居ないってとこすごく好き!これからもがんばってねー!応援してます!