テラーノベル
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晴明視点。
「じゃあさ」
耳元で囁かれる。
「もっと呼んでよ」
とろけるような声。
その様子を、少し離れた場所で全員が見ていた。
誰も口を挟めない。
異質すぎて。
「……ねぇ?」
低い声。
隊長さんだった。
さっきまでの軽さはない。
表面上だけの笑みさえも消えている。
「晴明くんから、離れてくんない?」
朱雀を睨んでる。
でも朱雀は、振り返りもしない。
「えー?」
わざとらしく、不満そうに言う。
「やだよ」
腕の力が、さらに強まる。
思わず
うっ。
と声を漏らしてしまった。
「せっかく晴明くんが僕を呼んでくれたのに」
朱雀はようやく
横目で隊長さんを見る。
2人の目が合った。
朱雀はにこっと笑う。
でもその笑みは。
完全に、煽っていた。
「ね、晴明くん」
わざとらしく、名前を呼ぶ。
「僕のこと、必要でしょ?」
答えを、誘導するみたいに。
空気が、ぴり、と張る。
隊長さんの気配が、一段下がる。
静かに。
でも、確実に冷える。
学園長も、何も言わない。
もうとっくに立っていて、
隊長さんの隣に立つ。
……ありえないものを見ているみたいに。
そりゃあそうか。
ここに朱雀が居るんだから。
僕は、息を整えて。
『……うん』
『必要だよ』
はっきり言った。
一瞬。
隊長さんの空気が、凍る。
朱雀は、嬉しそうに笑う。
「でしょ?」
当然みたいに言う。
「だからさ」
また、耳元に近づく。
「僕だけ見てればいいよ」
甘い声。
でも、その奥にあるものが何か。
僕は知ってる。
目を逸らさなかった。
「離れてって言ってんだけど」
低い声。
怒鳴りはしない。
でも、完全にキレている。
隊長さんが近寄る。
靴音が、やけに響いた。
朱雀は、やっとそちらを見る。
「んー?」
相変わらず、腕は僕の首裏に回したまま。
「なに、妖の烏天狗」
柔らかい声。
でも、向ける目は冷たい。
隊長さんの黒い瞳が、細くなる。
「それ以上、晴明くんに触んないで」
朱雀はぱちくりと瞬きした。
一瞬だけ黙って、
ふっと、笑った。
「ああ」
納得したみたいに頷く。
「やきもち?」
その一言で。
空気が底まで冷えた。
「そもそも」
学園長が口を開く。
「なぜ朱雀がここにいるのか」
「理解できませんね」
「意味分かんないでしょ」
隊長さんも重ねる。
2人が朱雀を見下す。
飯綱くんたちは、ただ呆然と見ている。
朱雀がにんまりと口角を上げる。
不気味な程に。
「言われたことやっただけ」
「というか。」
「別に、意味分かんなくてよくない?」
当然のように言う。
「結局は助けてあげたんだし」
ぐっと、更に腕がきつく締まった。
「ね!晴明くん?」
『ぐぇ……』
『ちょ……朱雀……』
ぎゅっと更に腕に力を込められた。
コメント
2件
うっひょぉっ、隊長と朱雀が晴明を取り合っているっ、何と素晴らしい👍👍👍👍大好きです。BIG LOVE♡朱雀のなんか余裕ある感じ大好きです!そう言えば神は妖怪を嫌ってるらしいし、朱雀も隊長を嫌ってるのかな?更新してくださってありがとうございました!応援してます!