アルモニア村の中心広場。
玲央は、村人たちを前にして立っていた。
「——ってことで、俺はそろそろ行くぜ。」
玲央の言葉に、一瞬の静寂が訪れる。
「……行く?どこへ?」
リュカが眉をひそめた。
玲央は腕を組み、視線を遠くに向ける。
「俺の仲間のところさ。」
千空たちがいるはずの方向を見据えながら、静かに言った。
「ここに流れ着いたのは偶然じゃねぇ。俺にはやらなきゃならないことがある。」
村人たちがざわめき始める。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
「じゃあ、村はどうなるんだよ!?」
「玲央がいなくなったら、村を守るのは……」
みんなの視線が玲央に集中する。
玲央は軽く肩をすくめた。
「村は、もう十分に強くなっただろ?」
村人たちは顔を見合わせる。
「いや、そういう問題じゃなくて……!」
リュカが思い切って前に出る。
「だったら俺たちも行く!玲央を置いていくわけねぇ!」
「お、おいリュカ!?」「マジかよ!」
リュカが叫ぶと、村人たちも次々と声を上げた。
「玲央が行くなら、俺たちも行く!」
「そうだ、玲央に教わった戦い方を活かすんだ!」
「このまま村に閉じこもってるだけじゃつまらねぇ!」
玲央は驚いたように彼らを見つめた。
「お前ら……マジで言ってんのか?」
「当然だろ!」
リュカが笑う。
「俺たちは、玲央の仲間だろ?」
玲央はしばらく村人たちを見つめていたが、やがてニヤリと笑った。
「……ノってきたねぇ。」
すると、村人たちは大歓声を上げた。
「おおおおお!!」
「よっしゃああ!!」
エンリコが前に進み出て、静かに言った。
「玲央。アルモニア村の村長として、お前は村を導く責任がある。」
玲央は一瞬言葉に詰まったが、エンリコは微笑む。
「村をどこに導くかは、お前が決めればいい。」
「……じゃあ決まりだな。」
玲央は空を見上げ、大きく息を吸う。
「アルモニア村、総出で出発だ!」
村人たちは歓声を上げ、楽器を鳴らし始める。
こうして——玲央とアルモニア村の人々は、千空たちのもとへ向かう旅に出た。
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