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皐月side
それから看護師さんが出てって……。
室内はシンっと静まり返った…。
初めに口を開いたのは遥だ。
桜「…良かったのかよ、お前、何か隠したかったんじゃねぇの?」
遥の言葉に俺はぐっとシーツを掴んだ。
皐月『…本当なら…嫌、なんだ、でも、いつまでも隠し通すのも嫌だし、そりゃあ皆隠し事はあるだろうけど……、ここまで世話になって、迷惑掛けて……、それなのに隠すのも嫌なんだ…。』
遥は静かに聞いたまま無言で俺の目を見ている。
皐月『……、話すより見てもらった方がいいな。』
俺は上着を脱ぎ始める。
桜「ばっ!きゅ!急に脱ぐなよ!!」
遥の声を無視して上裸になり背中を向けた。
桜「…ッ!」
遥の顔が見れないが、きっと穢わらしい背中を見て気持ち悪くなっただろう…。
皐月『昔の事故で背中爛れてんだ、ケロイドってやつ?この背中の怪我で神経が可笑しくてさ、徐々に身体蝕んでくらしい…。治すにはドナーがいるけど、俺はそれを望んでない。』
桜「…何でだよ、生きたいって思ってるはずだろ…。」
皐月『確かに生きたい、でも、誰かの命を無くしてまで生きたくない、俺は奇跡的にこの歳まで生きれた、それだけで十分!それに遥とも風鈴に出逢えた、俺はそれで満足だよ。』
桜side
どうしてそんな顔できるんだよ…。
この先ずっと生きたいハズなのに…、何でそうやって諦めた顔をするッ!!
気に入らない、何で諦めてんだッ!
桜「…ッ!ふざけんなッ!お前が!皐月が居なくなったら残ったヤツはどうなるッ!俺も風鈴のヤツらも悲しむに決まってんだろ!!命を甘くみんなッ!生きる事を諦めんなッ!!」
俺の言葉に皐月は…。
皐月『……、俺…生きたいって、思ってもいいのか?生きる為には誰かの命を削るんだぞ…、そんなの、そんなのあんまりだろ……。その人には愛する人たちが居るかもしれない、愛して貰える家族が居るかもしれない…、それなのに俺が生きたいって…思ったら場違いだろ…。』
桜「なら、生きて欲しいって思う俺らの考えは無視かよ。」
俺が皐月に告げると
悲しそうな、苦しそうな顔をして……。
皐月『……ッ、い、生きたいッ、まだッ!お前らと隣に居たい!』
皐月は静かに涙を流して話してくれた。
桜「俺も、皐月に生きて欲しい、また、触れて、話をして欲しい。」
俺はそのまま静かに皐月を抱き締めて
ワンワン泣く皐月を黙って見届けた……。