写真には、赤紫色の竜、緑色の麒麟、青色の龍が居た。
「これって…」
俺は青色の龍の目元を見てハッとした。
そう。赤い模様があるのだ。
「俺の父と、多分だけど麒麟はクルルの父じゃないかな。」
「いつか父が言ってたんだよ…先輩だって。」
俺は父のことをほとんど覚えていなかった。
だが全て思い出した。
「父さんだと思う。だけど、青い龍は…?」
「それはな、サーガラ龍王だ。」
先生が言った。サーガラという名は
何処かで聞いたことがある。
「サーガラは東海に住まう龍王で
天竜八部衆という仏を守る守護神。」
「で、サーガラは俺らの父と友達だった。」
サーフィーは先生の言うことを真剣に聞いている。
無論。俺もだ。だって謎しかない父の友達なのだから。
「兄ちゃん。何でそんな神様が親父と仲良いの?」
「それはな…」
「元々あった次元に関係がある。」
「親父は地界。サーガラ、クルルの父が天界。」
「真反対の中サーガラは地界まで行ったんだ。」
「すると親父は地界で医者をしていた。
徳を積んでいたんだ。だから地から天へ来た。」
納得した。地にいるであろう者は
徳なんて積む気がないからな。
それでも先生の父は医者をしたのか。
なら、なぜそんな善人が地に?
「そんな良い人なのになんで地に落とされたのです?」
「竜だからだ。見た目で判断されただけ。」
「え?」
驚いた。だがサーガラも龍神、何が違う?
「何故会いに来たかというと
サーガラはの子供は龍なのに仏になったからだ。」
「見た目じゃ判断は出来ないと
証明してここまで来たということなんだが…。」
「サーガラと親父は仲が悪かった。」
「えぇ…マジ?」
「マジすか…」
仲悪かったのかよ…助けてもらったのに。
俺なら仲良くなりそうなのに。
「一人でも助けたい親父と大勢の人優先のサーガラだ。」
「そりゃ不仲だろ。」
「あー、確かに仲悪そうかも。」
「だがクルルの父とは仲が良くてな。
先輩後輩だったらしい。」
「ほへぇ…俺と先生の立場が入れ替わったような?」
「そこは似てるかもな。」
「俺は…なんかサーガラと似てるね。」
「そう。そこだ。」
先生がビシッと指を差した。
「お前とサーガラは血が繋がっている。」
「え?」
「そ、そんな訳ないでしょ…ほら竜だし。」
「なら…失礼。」
先生はそう言い、サーフィーの鱗を取った。
「これはサーフィーの鱗だ。
そして鱗は花びらの形をしている。」
「俺の鱗は二等辺三角形。
サーガラの鱗も花びらの形をしている。どうだ?」
「確かに花びらの形ですね。」
「嘘…」
「母さん浮気したの?」
サーフィーが絶望した顔で言う。
「違う。いや…違くはない。」
「正確には親父とサーガラが入れ替わったんだ。」
「生まれている俺はいいとして、
サーフィーは腹の中。この瞬間反応が起きて
親父がサーガラだってことになったんだ。」
「分かりやすく言えばな……サーガラと母さんが
子供を作ったことになったってことだ。
入れ替わった副反応で。」
恐ろしい。何よりサーフィーが可哀想になった。
「あ〜〜〜〜なるほどねー!」
「ただの副反応だったのか〜安心ー」
本人のサーフィーは逆に嬉しそうだ。
多分腑に落ちたのだろう。
「…!お前は親父を恨まないんだな。」
「え?うん。逆に原因がわかって良かった!」
サーフィーは明るく言う。
俺は二人の気持ちになって考えていた。
弟が父親のせいで色が変わってしまった。
俺なら多分父親を恨むだろう。
先生も同じなのかもしれない。
だがサーフィーは恨んでいなかった。
そこに俺はとても驚いた。
「なら良かった。お前の回答次第ではお前の遺伝子を
親父と繋げようと思っていたからな。」
「え…そんなこと出来るんですか?」
先生は怖い。だがそれほど
本気だったのかと思うと納得ができた。
「お前、ここに来る前奇形の動物を見ただろう?」
「え?はい。」
「それは、遺伝子を他の生物と繋げられるかの実験だ。」
「今やっと成功した所だったのだが、必要ないな。」
先生は心から笑っていた。
多分先生は本当に昔からやっていたのだろう。
俺の見た奇形生物の数は数千といたから。
簡単に動かない先生の意志が伝わった。
「それほど本気だったのですね。」
「そりゃ本気だ。本人に苦しい思いさせたくない。」
先生は言う。それにサーフィーは言った。
「ペンキでも塗ってくれたらいいのにね。」
「ペンキなら消せるじゃん。」
「それ消すの大変ですよ…。」
「あ、そっか!」
サーフィーは笑った。
つられて俺も笑ってしまった。
だがここから、ある事実を知ることとなる。
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