テラーノベル
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楽屋に戻った瞬間、視界が滲んだ。
〇〇)あれ……
立っているはずなのに、床が遠い。
音が、遅れて聞こえる。
〇〇)一一つ
次の瞬間、足から力が抜けた。
??)危ない!
腕を掴まれた感覚。
でも、支えきれず、そのまま意識が沈んでいく。
〇〇)……っ
最初に名前を呼ばれた気がした。
??)しっかりして
??)おい、聞こえる?
重なる声。
焦りと怒りが混じった空気。
??)熱、ある
??)顔真っ白だぞ
渡辺)だから言っただろ
低く抑えた声は渡辺さん。
渡辺)無理してるって
岩本)すぐ横にさせて
岩本さんが指示を出す。
岩本)点滴準備、 楽屋、締める
阿部)呼吸は?
阿部さんが冷静に確認する。
岩本)ある、 でも浅い
深澤)大丈夫
深澤さんが私の手を握った。
深澤)今いる、 逃げないから
ゆっくり、意識が浮上する。
〇〇)……っ
目を開けると、見慣れた天井。
楽屋のソファ。
そして、視界いっぱいの九人。
〇〇)…..みんな?
声が掠れて、自分でも驚いた。
〇〇)喋るな
渡辺さんがすぐに言う。
佐久間)ほら、水。ゆっくりー。ここ
佐久間さんがストローを支える。
佐久間)無理しないで
〇〇)ごめんなさい……
迷惑、かけて……
その言葉に、空気が一瞬で冷えた。
目黒)それ、違う
目黒さんが言った。
表情は変わらないのに、声だけが強い。
目黒)迷惑とかじゃない
倒れるまで気づかせなかった
俺らの方が悪い
〇〇)……でも
岩本)でも、じゃない
岩本さんがしゃがみ込む。
岩本)守るって言っただろ
岩本)守れなかったら意味ない
私は何も言えなくなった。
向井)なあ
向井さんが、少し震えた声で笑う。
向井)君さ、 自分のこと、軽く扱いすぎ
俺らがどんな気持ちで見てるか
少しは考えて?
胸が、ぎゅっと締め付けられる。
〇〇)……そんな
阿部)そんな、じゃない
阿部さんが続ける。
阿部)君が倒れる確率…
俺たちの活動に直結する。
それくらい 重要な存在なんだ
理屈なのに、優しい。
宮舘)今日はもう帰ろう
宮館さんが静かに言った。
〇〇)仕事は私たちで調整します
ラウール)家、誰か行く
ラウールが即座に言う。
佐久間)1人はだめ……全員は行けないだろ
佐久間さんが言う。
佐久間)じゃあ順番ね!
「…..話し合い、後」 渡辺さんが即断する。
渡辺)今日は俺と目黒で送る
目黒)異議なし
目黒さんが短く言った。
車の中。
私は後部座席で毛布に包まれていた。
〇〇)…..すみません
目黒)謝るな
目黒さんが言う。
渡辺)頼れ
弱ってる時くらい
渡辺さんが続ける。
渡辺)俺らに甘える
信号で車が止まる。
渡辺さんが、少しだけ声を落とした。
渡辺)…..失うかと思った
その一言に、息が止まった。
目黒)次、無理したら
目黒さんが言う。
目黒)本気で怒る
目黒)それでも、 そばにいる
私は、何も言えずに頷いた。
知らなかった。
こんなにも真剣に、こんなにも深く、想われていたなんて。
倒れたのは、
身体だけじゃなかった。
心の距離も、
もう戻れないところまで、近づいていた。
コメント
6件
最高...。 みんな優しい(*T^T)
初コメ失礼します 最高だったのでコメさせていただきました!