【能力者名】口裏痛見
【能力名】 とてもいたいいたがりたい
《タイプ:友好型》
【能力】 話しかけた能力者にタイマンバ
トルを強制させる能力、および 痛みを感じる度に回復する能力。
【以下、細菌達の記録】
(小テストの翌日の放課後、米津高校生徒
指導室の影の中にて)
ロカ先生は最悪の事態を想定し、影踏先生の
影の中で赤点を取った痛見の能力を破壊することにした。
「『エンプレス•ディスコ』。」
バリィィンッと何かが壊れる音がした。
「ぐぅッ……..ああッ…….!!!!」
ロカ先生は赤点を取った痛見に心をへし折る能力『エンプレス•ディスコ』を使い、彼の能力を破壊しようと試みた。
《能力と心の強さには強い関連性があり
心が折れた能力者は能力を使えなくなる。》
これはこの世界では小学生でも知っている
常識であった。
そのためロカ先生に心をへし折られた痛見は
能力が使えなくなる…….はずであった。
「……..心が折れたことなんて一度もなかったからなぁあ!!!!こんな最悪な気分は始めてだぜぇ!!!!!これが絶望ってやつかァ!!!?
新ッ鮮な 痛みをありがとう!!!!これで俺は
もっと強くなれる!!!!!!!!」
そう言って痛見は笑いながらロカ先生に殴りがかった。
痛見は右肩の間接を無理やり外すことで腕のリーチを伸ばしてみせた。
ロカ 先生はこれを 危なげなく躱した。
「はっはーー!!!!やっぱり疾いなぁ先生はァァ!!!!新技が全然通用しねぇぜぇ!!!!!」
そう言って痛見は自分の歯を砕いて勢いよく
ロカ先生に向かいそれを飛ばした。
ロカはそれを見もせずに手で全部掴んで
みせた。
血のついた歯を捨ててロカは シュッと素早くアルコールスプレーをし、 純白のハンカチで手を拭いた。
歯は影の中に沈んで消えていった。
ロカ先生は心の中で冷や汗をかいた。
(やはり、この男に『エンプレス•ディスコ』は通用しないッ……!!!)
口裏痛見は、教師ロカにとって天敵だった。
痛見を殺すだけならロカにとって造作もないことだった。
痛みを感じることなく殺す 方法などいくらでもあるからだ。
しかし、今のロカは教師であって軍人ではない。
そのため、生徒を殺すわけにはいかず 痛みを感じる限り 何度でも復活する 口裏痛見は、彼女にとって 天敵の内の一人 だったのだ。
(しかし、身体だけでなく、心の痛みも
回復できるなんて…….なんという潜在能力
……!! 異常な精神性……!!!)
ロカ先生は痛見の潜在能力と危険性にいち早く気付いていた。
そのため能力ボクシング部でスパーリングをしていた彼に声をかけ、彼を悪鬼退治の盾役として 起用したのだった。
「もっとだ!!!俺はあんたと戦えばもっと強くなれる!!!!!さぁロカ先生!!!!!!!殺し合おうぜぇ!!!!」
「…….はぁ……..。」
ロカ先生は緊急手段に出た。
ロカ先生は貫手で瞬く間に
痛見の 肩、肺、胃、肝臓、腸、睾丸、左の大腿骨 を貫き破壊した。
「ッ!!!!!?…..ガハァッッッ!!!!!???(激しく吐血する)」
何が起こったか分からないという風に
痛見は血を吐いて倒れた。
もちろん《とてもいたいいたがりたい》の
能力で痛見はみるみる内に回復していく。
そこで倒れた痛見のこめかみにヒールを突き立てながら言った。
「今日はここまでよ。また相手をしてあげるから今日は敗けを認めなさい。さもなければ殺すわ。」
そう言って鋭いヒールで倒れている痛見の こめかみをぐりぐりした。これはロカ先生なりのハッタリであった。
痛見はその殺気に恐れおののき能力を
解除した。
「俺の敗けだぁ…….!!全然勝てる気がしねぇやァ…..!!!教えてくれ先生!!!!俺はどうやったらもっと強くなれるんだ!!!!!?」
あれだけボコボコにしたのに随分とキラキラした目で痛見は言った。
痛見の身体は みるみる内に回復していった。
ロカ先生はしゃがみこみ口裏痛見と目を合わせて言った。
「…….いいかしら、まずはしっかりと勉強しなさい。そしたら貴方はもっと強くなれるわ。」
「…..おう!!!分かったぜぇ!!!!死ぬ気で勉強してやらぁ!!!!また勝負してくれよな先生ェ!!!!!勝負勝負勝負勝負勝負勝負勝負勝負勝負ゥゥゥゥゥ!!!!」
そう言って完全回復した痛見は勢いよく影の中から出ていった。
はぁ……。とロカ先生は溜め息をついた。
危ういほどまっすぐで純粋な向上心、そして
他人を傷つけることも、自分を傷つけることもまったく厭わない異常な精神性。
口裏痛見は果てしなく純粋で、だからこそ
善にも悪にもなりうる危うさがあった。
(この子が取り返しの付かないことを
してしまう前に私がしっかり教育しなければ
……..。)
そう決意したロカ先生は口裏痛見に特別補修メニューをこなすかわりに一週間に一度だけ
痛見のスパーリング相手になるという約束
を交わした。
こうしてロカ先生と口裏痛見の 師弟関係が始まったのであった。
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