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おはよう

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おはよう

1 - 白色のアジサイ

♥

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2024年05月12日

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あーーー緊張するぅ…

やっぱ病室入るのは苦手だなぁ。

「…やっほ〜」

「? どちら様ですか?」

あー、この感じ苦手だ。病室を開けると”きょとん”とした表情でベットに座る彼女がこちらを振り向いた。

前回みたいにいきなり「は?誰?」とか言われて蹴られなくて良かったと思う反面、今回はこの慣れないタイプを相手しないといけないのかと思うと少し気が滅入る。

「あぁ、君と会う事自体ははじめてだね。俺は山華輪璃羅。他の奴からはりらって呼ばれてる。今回から君のお手伝いをさせてもらう予定だよ。よろしくね」

「あぁ、看護師のお方ですね。すみません把握出来ていなくて…。また入れ替わったんですね。私は浦咲零です。よろしくお願いします。」

「看護師…とはまた違うんだけど…いや、看護師で良いや。浦咲さんね。よろしく〜。 (まぁこっちは君の名前知ってるんだけどね〜…まずとして扉の隣に書いてあるし。)」

ほわほわしてんなぁ…見てる分にゃ癒しだわぁ。てか今までのが酷過ぎたんだよコンチクショウ!!!まぁみんな同じカンジャサマだから優しく接したけどね!?あぁもう…だって可笑しい思わない?俺アイツらに何回蹴られたと思ってんだ??

「んじゃ、取り敢えずそろそろ朝食の時間だし持ってくるわぁ。…大人しくしてろよ?」

「? 別に暴れたりしませんよ?これでも今日からお世話される身ですし」

お世話される身の奴でも暴れるのが居るんだよぉ!!!てか居たんだよぉ!!!蹴られた頬が未だに痛えよぉ…。

「あぁ、…そうだな。オーケイオーケイ。数分くらいで戻ると思うわ〜。」

「えーと…いってらっしゃい?」

「ふはっw行ってきます?w」


「美味いか?」

俺は広間の端に停めてある配膳車から”浦咲様”と描かれたお盆を取り戻ってきた。因みに当たり前ながら俺の飯はナイ。何故だ…。

「病院食を美味しいと言って食べる人は居ないと思いますけどね。やはり何か物足りないと言うか…味の濃い物が食べたいです。」

「だよなぁ…。俺も今まで色んな奴見てきたけどここで「美味い」って答えた奴は未だに1人だけだよ。」

「逆に1人居たんですねぇ…相当の薄味好きだったのか、それとも気を使ってか…。」

「まぁどっちでも良いだろ。」

正直ここの病院の飯はかなりマズい。いや、マズいことはないんだろうが…味が薄過ぎてもはや水だ。俺も食べた事あるけど、想像を絶する薄さだった。まぁ美味いって答えた奴よりマズいって答えた奴の方が多いくらいだからな、どうにかならんのかね…。

「そういえばさっき看護師とは少し違うって仰ってましたけど、りらさんはどういう人なんですか?」

「呼び方はりらでいーよ、ついでに敬語も外しな。…あー、それ聞いちゃう?」

「いや、リラが話しにくいなら別に良いんだけど。気になるじゃん?」

「わーお敬語外して良いって言われてすぐ外せちゃうタイプか君。中々に強いネ」

「まぁ看護師じゃ無いといえどやってる事は殆ど変わんないからなぁ。因みに一言で言うならフリーターだよ」

間違ってないからね。フリーターだからネ。アレだよ?世間一般で言う無職とはまた違うんだからね?チャントハタライテルヨ?…良いんだよ別に金なんていくらでもあるんだから。働かなくて良いのサイコー!!!あ、無職じゃないからね!!!

「…触れないでおきます」

「あぁ是非そうしてくれると助かるよ」


朝食を食べ終えた後、俺の誘いで敷地内の広場に来ていた。

「そろそろ桜咲きそうだね〜」

「もうそんな季節なんですね。病室に居ると季節の移り変わりがあまり実感出来ないですから。」

「…あーそっか、君は前回まで別の看護師だったのか。俺はいつも他の奴と来てたからそういうのねーんだよな。毎日自然とコンニチハしてるから毎日季節を感じてるよ。」

「健康そうな生活送ってて良かったです。なんだか家に篭ってゲームばかりしてそうな感じがしたので。」

「それは…どう言う意味だい君!?」

いつの間にか口調が敬語に戻っている事に気がついた。まぁ俺としてはどっちでも良いんだが…。いや、あまり堅苦しいのは好きじゃないから解けた口調の方が良いかもしれない。あと地味に引きこもりだと思われてたのキツイな。これでも健康的な生活心がけてるってのに。

「そっかぁ…自然…。そういえばりらさんの名前はなんだか季節を表している感じがしますよね。山華輪璃羅…山は紅葉の綺麗な秋を、華は春に咲く花を、璃は瑠璃の誕生石…12月ですかね、冬を、羅は読みを変えれば夏の季語ですし。輪はそれを繰り返す、という意味にも捉えられますね。」

「へ〜羅って他の読み方あったんだ。全然知らなかったわ…。ってか良くそんな事知ってるね。俺考えたことも無かったや。」

「まぁ病室でいつも暇してますから…本とかよく読むんですよね。そこで得た知識です。」

「なるほど?」

「うーん名前。浦咲零…浦に咲く零か。零は…君の名前は梅雨を思い立たせるね。じめじめとした嫌な暑さと湿気の裏に隠れて咲く名花、アジサイみたいだ。君にプレゼントするならそうだな。白のアジサイかな」

「りら、もしかして口説きにかかってる?」

「あはは、….バレた?」

「そんな簡単にひょいひょい付いて行きませんよ〜こう見えてガード固いんですからね私」

「ちぇ〜…」


「おやつの時間だぞ〜!!!!!」

散歩と言う名の俺の口説きタイムを終え、昼食時に一度分かれてから俺はまたこの病室に来ていた。

病室に向かう途中ルンルンでスキップをしながら鼻歌を歌っていると「ここは病院だ」と叱られてしまった。

だが反省などする訳が無い。

そんな事はどうでも良いと言わんばかりに俺は止まる事無く走りだした。そして勢い余る事なく病室手前でそう叫んだ俺はその辺のナース達からまた叱られてしまった。無念。

「叱られていたリラさんの情けない声が病室まで響いてましたよ?」

そうやって彼女は少し困った様に眉を下げながらケラケラと笑う。その顔に満足した俺は先程叱られた事も忘れて、大きな声で目の前の天使に先程のナースの愚痴を溢した。ドア越しに鬼の怒号が聞こえたがきっと気のせいだろう。

「プリンとシュークリームとあるけどどっちが良い?」

「ならプリンでお願いします」

「…おっけい買ってくるね!!!」

「ある」と言いつつ何も持っていなかった俺はニコニコで部屋を飛び出してプリンを買いに向かった。あれだから、別にさっき叱られた時に奪われたの忘れてたとかじゃ無いから(自白)。何も持ってないのにカバンガサゴソしてたのなんか恥ずかしいんですけど〜….。

「廊下は走るなぁ!!!!???」

「ごめんってば〜!」

「謝る前に止まらんか!!!!」

「えへっ☆」

廊下を走るなと注意されたが、特に反省する様子もなくごめんとだけ返しそのまま廊下を走り抜ける。後ろからもっともな正論が聞こえてきたがやはり俺は走る事を辞めなかった。

…後で部屋に拘束されて叱られない事を祈ろう。正座は嫌いなんだ☆


「モキュモキュ….」

俺は目の前で蕩けている天使(零)を引くくらいのニコニコ顔で眺めていた。目元をトロンとさせてプリンを口に運ぶその姿は美しい以外にどう表現すれば良いと言うのでしょうか、ねぇ神様?

「…そんなに見ないでくださいよ…食べたいんですか?」

「いやー?別に」

「そーですか」

そして零はまたプリンを食べ始めた。やはり彼女は天使だと思う。俺は信じてる。

その後も3時間くらい2人で雑談を交わしながら間食をしていた。間食をしながら、と言うよりも間食を挟みながら、という方が正しいかもしれないがまぁそんな面倒くさい表現の話は隣の部屋にでも置いておこう。

外はもう冬という季節も相まって暗闇に包まれていた。本来の面会ならばもう家に帰らなければ行けない時間帯なのだが、俺はトクベツに許可を貰っている為日が移っても部屋に居座る事が出来る。いやぁ館長最高☆

…あぁ別に金を積んだ訳じゃ無いぞ?決してな。そもそも俺に医者を納得させられる程の金は無い。それくらいなら生活費に当てて一生ニートしてたいからね。誰にも渡さないよ。俺の金は俺のもんだ!!!


そんなこんなで雑談を交わしていると、扉の外側からこんこんっとノックが聞こえた。

『夕食の時間です。』

「あぁ、もうそんな時間か。」

ふと隣にあるデジタル時計を見やると、18:06を表示していた。病院での規定夕食配膳時間は18時と決まっている。ここの病室に来てからもうそんなに時間が経ったのかと少し考えていると、いつの間にか隣にいたナースが2食分のお盆をテーブルの上に置いていた。

「良かったじゃないですか。リラさんの分もありますよ」

「おーマジか。たまには気きくじゃん。ありがとなナース」

いやまぁ俺食費分の金出してるから用意されない方がおかしいんだけど。勿論3食分。俺朝も昼も用意されて無かったんだけどなぁ。いやマジで…俺が訴えたら捕まるぞお前ら???

「早く食べましょ!」

盆を置いて扉に向かうナースに礼を贈り、彼女はそそくさと夕食を食べる準備をし始めた。

病室の住人である零はベットに、俺は扉横にある椅子を移動させて、ベットの上にある机に向かう形で座った。

「んじゃ、いただきまーす!!」

「いただきます。」

パチンッと音を鳴らし、即座に目の前のさほど豪華では無い飯に喰らいつく。

「うん!!美味くない!!…薄い。」

「まぁ…いつもの味ですね。」

まぁ期待などしてはいなかったが…。後で料理長に文句言いに行こ。…あぁそうだった思い出したよ俺この前もそれしてメシ出されなくなったんだった。危ない危ない同じ過ちを二度繰り返すところだったよ☆ただこれ栄養バランスは大丈夫なんだろうけど流石に味薄すぎやしねぇか?俺が濃い好きなだけ?

「……」

横を見るとなんとも言えない表情で食べ物を口に入れている零が見えたので、多分同じ事思ってんだろうなぁとか思いながら食事を再開した。


「ごーーちそーさまーー」

「ごちそうさま。」

夕食を食べ終えた今の時刻は18:50。先程見た入浴予定表では19時からの30分、風呂の時間が空いてたはず。というより空けてもらってるんだけど。

この病棟に30分丸々使って風呂を堪能する奴は居ない(と思われる)為、今から向かっても問題は無いだろう。…居たら居たで相浴だよ相浴。

「よーしじゃあお風呂入ろうか!勿論俺と一緒n」

「ごめんごめん俺が悪かった、俺が悪かったからそんな『あ、コイツ変態なんだな』みたいな目でこっち見ないで本当に冗談だから、、、ね?」

冗談だって冗談☆半分本気とか別にナイヨ?

「….なんかキャラ変わりました?」

oh…。リアルの人にキャラ変わったって言わない方が良いよ君。そりゃあ変わりますよだって一日中一緒にいるじゃんっ!!??最初と比べれば少しくらい変わるのも普通じゃん?

俺は猫を被っていた訳でもキャラを作っている訳でもないのだと弁解をした。

「まぁ確かにそうなんですけど…」

「取り敢えず俺脱衣所の外で待ってるから服持って行ってきな。」

「覗いたりしませんよね?」

「それはちょっと保証出来ないかな。」

そんなこと言われたら覗きたくなっちゃうのが男でしょ。バレなきゃ犯罪じゃ無いんだゼ☆(犯罪者予備軍)

「今日お風呂やめておこうかな…」

「嘘だから入ってこい。特に今日は外出たんだし。」

さっきの散歩でちょっとは汚れてるだろうからな。と付け足して風呂に入る事を勧めると、絶対に覗かないで下さいね!と念を押されてしまった。


「…まぁ約束は出来ないけどね♪」

数十秒後、俺はドアノブに手を掛け閉まった扉に向けてそう言い放つ。

……..

扉を開けたその瞬間脱衣所の扉近くから甲高い悲鳴と怒号が響いた。

……..

「いや…あの…りらさん?」

頬を赤く染めながら脱衣所の前で蹲って泣いている所を風呂から出てきた彼女に見つかってしまった。因みに頬が赤いのは照れている訳ではなく、物理で叩かれて腫れ上がってるという意味だ。照れや羞恥からくる赤みであればどれだけ良かったことか…。

「何があったんです?」

…そう。俺の頬を叩いたのも悲鳴を上げたのも彼女じゃない。お前ら俺が零に叩かれたと思ってただろ、俺もそっちを想像してた。

「いやぁ…ね?…あはは」

俺が脱衣所を覗こうと扉を開けた(覗くとは?)直後に後ろから来たナースに叩かれたのだ。つまりあの高い悲鳴は俺のもの☆HAHAHA☆いやぁ…急所蹴られなくて良かったよ。頬いてぇ。結局見れなかったし。

「覗こうとしてたのは許すんで早く立ってください。めっちゃみんな見てますよ。」

「え?」

彼女からそう言われてハッと周りを見渡すと、何人かの患者らしき人達がこちらを興味津々な表情で見つめていた。ヤバい恥ずかしい。リラ恥ずかしいシリーズ本日二度目ですよもう。

「あう….部屋行こ。」

すっかり大人しくなった俺を見てクスクス笑いながら彼女は部屋に足を向けた俺の後ろを歩き始めた。

因みに俺はいつも零が寝た後に近くの銭湯に行って入浴するぜ。(謎情報)

部屋に戻る前にデイルームで他の患者との交流を楽しんだ後に俺等は部屋に戻った。


「りらさんって意外と有名なんですね。意外と」

部屋に戻るなり失礼(?)な発言をされた。

意外とはなんだ意外とは、普通に有名だよ。…どんな意味でかは伏せるけど。

「意外とってところにはあえて触れないでおくけど。この病棟では結構有名人だよ。」

「だって部屋で引きこもってゲームとかしてそうだし」

「君それ好きだね…..折角俺が触れなかったのに掘り返さないでよ…..。」

偏見が酷いよ!?これでも毎日お外出てるんだからね?(デジャヴ)こんな健康男子に引きこもりなんて….リラたん泣いちゃうよ🥺(?)

「と、今何時です?」

「んーと…あ、そろそろ消灯だね。」

俺の隣にあるデジタル時計は20:55の数字を映し出していた。…俺等デイルームに1時間強居たのか….。

「トイレだけ行ってきな〜。消灯後出歩くと後でぐちぐち言われるから”俺が”(ココダイジ)」

「なら消灯後に行きましょうかね。」

「この悪魔め…..」

「ふふふw行ってきますね」

ちょっとしたイタズラもこの笑顔で許しちゃうんだから俺も相当だよなぁ。彼女が扉を閉じるまで見送った後、先ほどの事を思い出しふと顔を綻ばせる。ほら、俺こんな日々を送ってるし、色んな奴を相手にしていたらそりゃ嫌になる事も勿論ある。それでも、アイツの笑った顔を見るとやっぱり…。

「幸せ….か」

いつかまた….なんて。

「….そんな『俺カッコいい』みたいなポーズしながら窓の外眺めて何してるんですか。」

なんか見られてたらしいわ泣きたい。ナルシストじゃねぇしたまたま『俺カッコいい』みたいなポーズで窓の外眺めてる風になった時に零が戻ってきただけし。

「10秒くらい前から帰って来てはいたんですけど…話しかけるのもなんか…ダメなのかなって。」

やべーーーー言い訳破綻した☆てか女の方に気遣われてたのかよ男失格だろ俺☆悲しい人じゃねぇかただの。

「…気のせいじゃないかな」

「…そうですか。」

懲りずにまためちゃめちゃに厳しい言い訳をしながら俺は目を逸らしシーツを整えた。長い事ここに居たからな、流石にレディーにシーツがよれているベットで寝かせる訳にもいかない。

「あの、」

シーツと掛け布団を整えていたら隣から声が聞こえた。どうしたー?と問い返すと、お前はいつ帰るのか、という内容だった。確かにここに居る事は許されているが勝手に女性の部屋(病室だけど)に泊まる事はあまりよろしくないだろう。まぁ俺もどうするか特に決めている訳でも無かったので無難に、君が良いなら泊まるつもりだよ、と返した。

「別に私は良いですよ。流石に患者に変な事するとも思えませんしね。」

ヘタレだし、という言葉が聞こえた気がしたがあえて無視をした。別に図星だから反論できなかったのではない、断じて。

俺は少し離れた所に自分の分の寝具を用意して零の横に座った。

「じゃあ。おやすみ。」

「はい、おやすみなさい。また明日。」

「良い夢を、*good night*零。」

また明日、と言い残して彼女は眠りに付いた。

深い深い眠りに。

「…明日は、俺に会いに来てよ。”雨零”」

もし、別の世界があれば。幸せな未来があれば。IFを信じるのであれば。俺がこの横で寝ている世界があるのと思っても良いのだろうか。…そんな世界があるならば、それは何よりも幸せな事なんじゃないだろうか。

ふと隣の瑠璃に手を伸ばした。

ふわっとしたウルフの髪が手に絡んで、あぁ これだなぁ、なんて懐かしくなった。

元はと言えばこの髪型は、リラの髪とお揃いにするんだ!って折角綺麗な長髪を短くしようと駄々を捏ねた彼女への妥協案として出したものだった。

今じゃもう手入れなんてしていないから、伸びっぱなしで倍ぐらいになってしまったのだけど。 また今度寝てる時に切ってやろうとか、勝手に切っても怒らないかなとか色々考えて、結局そのままにしてある。彼女自身が言い出すまで勝手に触るのはよしておいた方が良いだろうしな。

「ねぇ、アジサイの花言葉って知ってる?」

俺は眠る君にそう問いかけた。

いつの日か、同じセリフで君に問われた事を思い出す。知らないって返事して、そう、その日に君から赤薔薇の花束を貰ったっけ。その花束は俺にとって世界有数のダイヤモンドよりも、世界一の演劇よりも、きっとこの世界にある何よりも美しいと感じるモノだった。

桃色のスターチスに囲まれた45本の赤い薔薇。中心にあった一段と綺麗なものを取って君に渡したのは良い記憶だ。45本の赤薔薇が示す言葉は祝福、きっと天使はこの淡空色の天で微笑んでいたのだろう。

でも俺は気が付いてしまった、でも気付いた頃にはもう遅かった。その花束の本当の意味を。知らない方が良かったかもしれない、知られたく無かったのかもしれない。でもそれでも、気付いてしまった。だからこそ俺は、君に渡さないと、返さないといけない。

《 一途な愛 》

君に贈るよ、2つの純白の紫陽花を。

だからその時は

あの時の俺と同じように

微笑んでそっと

「俺に一つ、渡して欲しいな。」

彼女が少し微笑んだような気がした。

〜fin〜

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