テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「あ、起きた。おはようすず。よく寝れた?」
目が覚めるとそこは保健室のベッドで、隣には椅子に座っているはるさんがいた。
「んー、顔色まだちょっと悪いね。頭は?まだ痛い?」
「―まだ、少し、いたい、です」
「わかった。声も枯れてるけど大丈夫そうだね。じゃぁ最後に一個。すず、来たときから体調悪かったでしょ」
「・・・・!?」
気づかれていたとは思わなかった。
朝はまだ体調がマシだったから違和感なくできていたはずなのに。
(いつから、気づいて…?)
「真面目なすずが部活に遅れてくるなんて、僕が部活にいた頃にはなかった。ダンスもいつも真剣にやっててすごく上手なのに、今日はちょっとしたミスが多かった。あとは…なつみかな?」
「―え?」
ここでなつみちゃんの名前が出てくるとは思わずに反応が少し遅れる。
「すずがトレーニングしている間に話したんだけど、いつものすずとなにか違うってなつみちゃんに言われたんだ」
うまく隠していたつもりだったが、なつみちゃんの勘がなにかおかしいといっていたらしい。
「それと、飛びついたときにすずがよろけてたのにも驚いてたよ。『すず先輩体幹しっかりしてるからこれでよろけるなんてなかったのに!』って」
「…そこ?」
たしかにいつも飛びつかれてもあまりよろけていなかったかもしれない。
ただ、全然予想していなかった理由で呆気にとられる。
「それだけすずのことが好きなんだって」
「そしてそれは、僕も一緒」
「――ッ!!」
「だから頼ってくれないと信頼されていないみたいで悲しくなる。しんどいときは心配されるのが嫌なときもあるかもしれない。でも、本当に無理なときは私に甘えてほしい」
「〜〜!!!」
そう言われてこれまでこらえていた涙が溢れてくる。
私が泣き止むまではるさんは優しく頭を撫でてくれていた。
「そうそう、すずが寝てる間にお医者さんに来てもらって診てもらったんだけど、原因は『ストレスによる心の病』かもしれないって」
私が落ち着いて少ししてから、はるさんがそう教えてくれた。
「―それって」
「そう、あの子と同じ。っていっても細かいところは違うらしいけどね」
この病気には個人差があるらしく、症状も人によって違うらしい。
全体的に寝起きや疲れているときに頭痛や動悸が起こる人が多く、適切な対応をすれば症状は軽くなるが、逆にストレスを溜め込みすぎると悪化するのだとか。
「今日来た理由も実はなつみに頼まれたからなんだ。すずがもしかしたらお姉ちゃんと同じ病気かもしれないから、一度様子を見に来てくれって」
ただ顔を見たかったっていうのもあるけどね。と言って笑顔を見せるはるさん。
『先輩の症状もしかしたら―!』
もしそうなら私はいつからなつみちゃんに心配をかけてしまっていたんだろうか。
私が気づいていない間にたくさん迷惑をかけてしまっていたかもしれない。
「―じゃあ最近朝起きれなくて遅刻しちゃうのも、やる気がないわけじゃないってことですか?」
「むしろ頑張りすぎた結果だから逆なんだけど…。何それ、誰に言われたの?」
(やばい、はるさんがガチで切れてる)
はるさんが怒っている姿は見たことがあるが、ここまで怒っているのは初めてだ。
すごくいい笑顔なのが余計に怖い。
「は、はるさん?」
「僕のすずに手を出したのを後悔させるのはまた今度にするとして…」
「何しようとしてます?」
聞いてもニコッと笑うだけではぐらかされてしまう。
「まぁ、ひどいことはしないから大丈夫だよ。すずは気にしなくていい」
それよりも と真剣な顔で目を合わせてくるはるさん。
「すずはもっと自分を気にかけてあげて。リーダーの代わりにたくさん頑張っていることも、家があまりうまくいってないことも知ってる。だからこそ一人で抱え込まずに周りにも頼ってほしい」
「―でも、迷惑じゃ…」
「迷惑とかじゃないし、すずはそう言って全部溜め込んじゃうから。ダンス部のことかなつみに言いにくいんだったら僕がいるしね」
はるさんの言葉を聞いていると緊張がとけてきて眠気に襲われる。
それに気づいたのか、私が寝やすいようにと頭を撫でてくれる。
「もう大丈夫だから、安心して眠ってて」
そうして私は再び眠りについた。
ruruha
584
#都市伝説
柘榴とAI

287
コメント
1件
保健室のシーン、すごく温かかったです…!はるさんがすずの違和感に気づいていた理由をひとつずつ挙げていくところ、なつみちゃんの「よろけてた」発見も含めて「見られてるんだな」と感動しました。すずが「迷惑じゃ…」とこぼす場面には胸が締めつけられましたが、はるさんの「僕がいるしね」が本当に優しくて。読んでいて自分も撫でてもらいたくなりました(笑)。