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#一次創作
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しがない佃煮
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うらうら
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「さて、と」
すずが眠ったのを確認して僕は保健室を出た。
もう少し居たい気持ちもあったがやるべきことは終わらせておかないといけない。
「それで、君たち二人はなにか言うことはあるかい?」
グラウンドのベンチ前につられてこられた二人は少し戸惑った顔をしている。
「え、急に呼び出してどうしたんですか?はるか先輩」
「もしかして、次のセンターの話ですか!?」
(―こいつら、正気か?)
すずが倒れている間、部活の副顧問がちょうど職員室に来ていたのでダンス部の練習を任せていたが、そのときにすずの具合が悪いことも聞いていたはずだ。
それなのにセンターだと?人を追い込んでおいてどこまでも脳天気な奴らめ。
「そういえば先輩ってなんですずのことをあんなに気にかけているんですか?」
「そうですよ~。リーダーが来なくなったのもすずのせいなのになんでそんな奴のことばっか―」
「それ以外に何か思い当たることはないのかい?」
キリがないと思って口を挟むと、二人は僕が怒っているのを察したのか口をつぐんだ。
「僕は君たちはとても良くやってくれていると思う」
キラキラな笑顔でそう言うと、予想外だったのか一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔になった。
「はるか先輩にそう言われるなんて光栄…」
「―根も葉もない噂を流してすずを苦しませたり、なつみのことを巻き込んだりするのはさぞ楽しかったかな?」
僕が言い放った言葉を聞いて、引きつった顔で固まる二人。
「『はるか先輩に取り入ろうとしてるのバレバレ』だっけ?僕が呼び出してからの君たちの行動は一体何だったんだろうね?」
「なんでそのことを知って…!」
「まぁそのことは置いといてさ」
「とりあえず、グラウンド5週してきな」
僕がそう告げると、呆気にとられた顔をする後輩たち。
「えっと、どういうことですか?」
「そのままの意味だけど?とりあえず全力で走ってきて」
僕にそういわれ渋々走り出す二人。
「―はぁ、はぁ」
「二人ともお疲れ様。…あれ、どうしたの?しゃがんじゃって」
二人からしたら急に走らされて疲れているだろうけど、僕はまだ満足はしていない。
「あ、もしかして頭痛い?それとも動悸が止まらないのかな?」
笑顔を浮かべながら詰め寄る僕。
身を持って感じないと伝わらない奴らに真摯に向き合う僕はなんて偉いんだろうね?
二人は不気味なものでも見るかのように僕を見てくる。
「じゃあ、今から今日やったダンスを踊ろ―」
「いい加減に、してください!」
片割れがなにか騒いでいる。
「何なんですか!?急に集まれって言ったり、走れって言ったり、今度は踊れですって!?いくら先輩でもしていいことと悪いことくらいありますよね!?」
そう言って立ち上がろうとしたようだが、目眩がしたのかすぐにまた座り込んだ。
「でも、これは君たちがすずにしていたことじゃないか」
自業自得ってやつだろ?と僕は笑う。
どうせこいつらはこのことの八つ当たりをすずにするのだろう。
なら、それさえもできないくらいに心を折ってしまえばいい。
「なつみから聞いたよ。すずが遅刻するたびに陰で色々言ったりしていたらしいじゃないか」
「それは…」
「すずは毎朝自分と闘って頑張って部活に来ているんだ」
それこそ、今の君たちみたいにしんどくてもね。と言うと、二人は僕がこんな事をした理由を察したのか青ざめていく。
「弱音を吐かずに頑張っているすずと、影でコソコソやっている君たち。そりゃあすずのほうが上手くなるに決まっているじゃないか」
「これにこりたら、ちゃんとすずに謝ることだね。」
そう言ってすずのもとに帰ろうとすると、陰で見ていたなつみが声をかけてきた。
「はるか先輩って本気で怒ると人格変わりますよね」
ちょっと引き気味の声でなつみが言う。
「ギャップがあったほうが面白くない?」
「面白いですかね?」
「まぁそれよりもうそろそろすずも起きるかもだし、様子見に行こっか」
「はい!」
その日からすずに関する噂や陰口は極端に減り、すずに本当に何したんですか?と問い詰められるのは、また別の話。
コメント
1件
めちゃくちゃかっこよかったです…!はるか先輩の怒り方が、普段の優しさとのギャップで怖いくらいに映えるんですよね。すずの陰口を流してた後輩たちに「身を持って感じないと伝わらない」と、同じ辛さを体験させるシーンは痛快でした。なつみの「人格変わりますよね」にも思わず頷きました。すずへの執着と正義感が入り混じったキャラ、たまりません。続きがすごく気になります!