私の名前は、アリス・ウォーカー。
お父様とお母様に愛されて育ちましたわ。
私にとって一番大切なものは、家族。
それ以外のものなんて、全てゴミクズ同然よ! さぁて、今日は何をして遊ぼうかしら。
「おい、そこの女!」
あら、下品そうな声ね。
「お前のことだよ!」
「何かしら?」
「ちょっとこっちこい!!」
えぇー……面倒くさいから嫌だわ。
「早く来いっつってんだよ!!!」
あ~もう、うるさいわねぇ。
仕方がないから行ってあげるけど。
「んで、なんの用事かしら?」
「へっ、俺はお前みたいな生意気な女が大好きなんだよ!!だから俺のものになれ!!」
はぁ!?何言ってんのコイツ!!頭おかしいんじゃねぇの! こっちだって好きでこんなことやってるわけじゃねーんだよバーカ!!! お前らみてぇなヤバそうな連中なんか相手にしてられっかよ!!! テメェらの相手なんざオレ様ひとりで十分だぜ!! さあかかってこいよ!!オレ様がぶっ潰してやるからよぉ!!! ハッハァッ!!おもしれえ!!! てめぇみたいな根暗野郎こそオレ様が直々に叩き潰す価値のある奴なんだよ!! 覚悟しろオラアアッ!!! クソッタレ!! マジでうざいんですけど!! いちいち人のこと見てニヤついてんじゃねえよ!! もう二度と顔見せんじゃねぇぞボケナス!! 誰がお前の言う通りになんてするかっての!! アタシは自分の意志でここに残ることにしたんだから!! そっちこそいい加減しつこく付きまとうのやめてくんないかな!? 迷惑だしウザいしキモいんだけど!!……ったく、しょうがないわね……分かったわよ。アンタの話に乗ってあげる。その代わり、ちゃんと最後まで面倒見るのよ?分かってんでしょ?途中で投げ出したりしたら許さないかんね。あとそれから、たまには遊びにも付き合いなさいよね。約束だからね。破ったら承知しないから。いい?絶対だよ? ホント最低……
あの子たちと一緒にいた方がよかったかも……
アイツらに会えただけでも良かったと思うことにしようっと。
ああ、また今日もこの時間がやってきたか。
退屈な授業の時間だ。
眠気を誘う単調な声色とリズム。
教壇では生徒たちの目を引きつけるために様々な工夫がなされるものだ。教師は黒板に大きく文字を書いてみせたり、スライドを使って説明してみたり……。時にはジョークを交えて笑わせてみることもあるだろう。
しかしそれはあくまで手段であって目的ではないはずだ。生徒たちから注目を集めること自体を目的にしてしまうと、本来の授業の目的を見失ってしまいかねないからだ。
だからと言って全く授業内容に触れずに進めても意味がない。たとえ表面上だけでもきちんと授業をしているように見せかけることは必要だ。……とはいえ、僕だって別に真面目な生徒じゃないんだけどね。
「じゃあ今日はこの辺にしとくけど、テスト前にはちゃんと復習しておくこと!」
「うぃーっす」
「わかってるよ~」
先生の言葉を受けて教室中からまばらな返事が上がる。いつも通りの光景だった。僕は教科書を鞄に入れながら隣の席へと目を向ける。
「なぁ」
「ん?」
「お前さっきの授業聞いてたか?」
僕の問いかけに対して目の前にいる彼女はこう答えた。
『……さぁ?』
『それは私にもわからないわ』
『だってあなたたち、みんなそうなんでしょ?』
僕たちは言葉を失った。彼女の言う通りだったからだ。
僕らが沈黙を続けている間も彼女は話し続けた。
『別に気にすることじゃないと思うけどねー。私たちみたいな存在なんて人間たちの価値観からすれば存在しないようなものだもの』
僕は気になっていたことを尋ねた。
『どうして、こんなことになってしまったんでしょうね?』
『それは、きっと……』
『もう、誰も信用できなくなってしまったからですよ!』
『では、君はどうするつもりなのだ?』
『わたしですか? もちろん、復讐してやりますよ! 絶対に許さないんですから!!』
『しかし、君には力がないだろう。どうやって、あの二人を倒すつもりだい?』
『簡単ですよ。あの娘さえ倒せば、あとはどうにだってなりますもの』
『確かにそうだが、それだけの力を得る前に彼女は君を殺しにかかるぞ』『君は本当に自分の力を過信していないと言えるかね?』
『あの子はきっと君のことを待っているよ、君のことをね……』
『もうこれ以上、あの娘を傷つけたくないんだよ……』
『だからさぁ! なんでわかんねぇかな!』
『お前のやり方じゃ誰も救えねえんだよ!!』
『おめぇみてーな奴がいるからみんな苦しんでんだろうが!!』
『アンタなんかにわかるもんですかッ!』
『アンタなんかにわかるわけがないわ』
『アンタみたいな奴には理解できないでしょうね』
『アンタみたいな奴じゃあわからないわよねぇ?』
『アンタなんぞに理解できるはずもないさ』
『アンタごときでは、到底理解できっこないだろうけどなぁ』
『アンタには一生かかっても無理かもしれないけれどねぇ』
『アンタみたいなバカには一生かかったってわかりゃしないさ』
『アンタみたいに愚鈍な輩には永遠にわからんだろうな』
『あんたにぃ~!分かるわけぇ~ないじゃないのぉおおお!!!』
『あなたたちなんて、もう知らない!!!!』
『君たちの事なんて、もう知りたくないんだよ……』
『おまえらのようなヤツらに……オレの気持ちが分かってたまるかッ!』
『お前たちに……私の苦しみが……分かりようもないじゃないかっ……』
『アンタのやってる事は間違ってるわよッ! だから……正してあげるから……覚悟なさいッ!』
『アンタがこんな事をするのは……自分の為でしょ!? だったらアタシだって同じことをするまでの事よッ!!』
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