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ずっと隠していたこの気持ち。

口にすれば壊れてしまうこの関係を、いつまで守り続けられるだろう。

楽しそうに笑うひびきとちはるを見て思う時がある。

私(りん)は何に縋っているんだろう。




学校のチャイムが鳴る。


担任:

はいじゃあ今日はここまで。

気をつけて帰れよ〜


ひろと:

いや〜数学むずすぎだろ。

sin cos sunshineだったら覚えられるのにな〜。


ひびき:

sin?なんだよそれ、、。

前回休んだからわかんねー

そんなこと言って、ひろとはいつもテストの点数高いじゃん。いいよなー頭いいやつは。


ひろと:

なんだよ、拗ねるなよ。教えてやるじゃん。

いつものようにからかう表情で続ける。

ひろと:

それにしてもひびきが事故ってなくてよかった〜

せっかくだから久しぶりに遊びにいこーぜ


りん:

あ、私も行きたーい。

ねぇひびき、行こ行こ?


ひびき:

ごめん。今日予定があるんだ。


ひびきはその日、ちはるをショッピングモールに連れて行こうと考えていた。そこは、ひびきとちはるが初めてのデートの場所だった。

ひびきの顔を見たりんとひろとは、それ以上引き留めることはしなかった。


ひびき:

悪い、また今度行こう。それじゃ。


静かにクラスを出て行った。


ひろと:

なんだよあいつ。

まあいいや、りん。ちょっと服見にいきたいんだけど一緒にこない?


りん:

えー2人で?またひびきも予定合う日にいこーよ。


ひろと:

最近新しいパフェの店できたらしいんだよ。

1つおごってやるからさーっ。


りん:

のった!



ひびきが家に着く。


ひびき:

ただいま〜。


ひびきの母:

おかえり。早かったわね。

ちはるちゃんもう着いてるわよ。


病院の手続きを済ませたひびきの母は、一時的にちはると一緒に住むことを承認され、用意を整えて家に帰っていた。

ひびきがリビングへ向かうと、落ち着かない様子のちはるが椅子に座っていた。


ひびき:

ねぇちはる。今日、よかったら近くのショッピングモールにいかない?

前に俺と言ったことのある場所でさ、何か思い出すきっかけになると思うんだ。


ちはるは静かに頷いた。


ひびきの母:

ひびき、ちはるちゃんはまだ万全じゃないんだし、どうなるかわからないから、目を離しちゃだめよ?

それに、お医者さんからは頭を抱えたり倒れたりする人もいるって聞いたわ。もし何かあったら近くの人か母さんにすぐ伝えるのよ?

ひびき:

わかった。まかせて。


そう言うと、用意を済ませ2人は家を出た。

何度も隣を歩いているのに、初めてのような感覚を覚えた。歩き方も、自分への視線もまるで違うように感じた。

しばらく沈黙が続いた。


ひびき:

あ、見えてきたぞ。

ここ、前に行った時もすごく暑い日でさ〜

あ、あのアイスクリーム屋おぼえてる?


ちはる:

んー………。

ごめんなさい。思い出せないです。

でも、すごく美味しそう。


ちはるは、たしかにアイスクリーム屋に惹かれていた。


アイスを食べたあと、2人は夕方になるまで買い物を楽しんだ。ひびきとちはるの間にあった壁は帰る頃には無くなっていた。


ちはる:

ひびきさん。ちょっとお手洗いいってきますね。


ひびき:

はーい。


ちはるを待っていると、ひびきの名前を呼ぶ声が聞こえた。


りん:

あれ?ひびきじゃん。

さっきのってちはるだよね?予定ってそうゆうこと〜? てゆうか、もう外出して大丈夫なの?


そこには、買い物袋をもったりんとひろとの姿ががあった。


ひびき:

ごめん。秘密にしたいとかじゃなかったんだ。

ただ…


ひびきはまだりんがちはるにあって欲しくなかった。ちはるがりんのことを覚えていようと、忘れていようと、どちらにせよそのことを考えると心が痛んだからだ。


ひろと:

まあお前なりの考えがあったんだろ?

でも、俺たちも頼ってくれよな。友達なんだから。


友達。その言葉を聞いたりんの目は曇っている。


ひびき:

うん。ありがとう。


ちはるが戻ってくる。2人の顔を見て反応がないちはるを見て、ひびきは悟った。ちはるが失った記憶の多さを。そしてそれは、ひろととりんも感じていた。

りんは小声で話す。

りん:

私のことも…忘れちゃったんだね。

ひびきは、平気なの…?


俯いたちはるを見て、ひびきは言う。

ひびき:

俺は…平気だよ。それに、仕方ないじゃないだろ。ちはるは何も悪くない。


りん:

じゃあ、なんでそんな悲しい顔なの。

たしかにちはるは悪くないよ…

でも…ひびきのそんな顔、見たくないよ…。


ひびき:


りんに…何がわかるんだよ。


そう言い放つと、ひびきはちはるの手を引っ張って帰っていった。


夕日が彼らを照らす。

どんどん遠くなっていく2人を見て、りんは気づく。自分が泣いていることに。

りん:

傷つけるつもりはなかったのに…。

ただ、笑っていてほしいだけなのに…。

私の言葉は、届かない…

私じゃ、ひびきを笑顔に……できないの…。


りんの声は震えている。


ひろとは、優しくりんの肩に手を置いて話す。

ひろと:

少なくともりんの気持ちは…俺に届いてる。


それは、すれ違う4人の心を見守るように、夏にしては温かい日でした。






















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